24話.決着
王国無双編、決着。
これからも何回か王国が登場するかもです
今、目の前でありえない光景が広がっている。
....いや、嘘だわ、案外ありえるけど驚くことが起きている
俺の魔法が打ち消されたのである。まあ魔法が消える、消されるなんてことはよくあることなんだけどまさかね。いざ自分がやられると驚くもんだね
「どうしたんだ?そんなに驚いて」
「......魔法の解除、初めからやってないってことは発動条件ありってことか、それが俺に攻撃を当てることなのか...」
「よくわかったな、正解だ。模倣も魔法の解除もオレのスキル、『適応』によるのもだ」
「適応.....?」
「そう、オレはこの世のありとあらゆる事象に適応することができる、一度経験したことは完璧に理解し、使いこなすことができる。ストックができないってことが難点だがな」
....そういうことか、俺の攻撃と同じ属性の攻撃を返してきたのも、攻撃を2回連続で受けなかったのも『適応』によるものってことか
「じゃあ俺の魔法が消された理由を聞かせてもらおうか」
「お前だ」
「?」
「だから、お前だ、オレはお前に『適応』したんだ。オレはお前という存在を完璧に理解した、当然お前の使う魔法もな」
つまりもう俺の魔法はこいつには通用しないってことか、俺のスキルも魔術も使えるのか....?それはちょっと厄介だな
まあいい。
結局やることは変わらない、こいつを殺す。それだけだ
魔法が消されたと言っても俺自身の魔法の使用が封じられたわけじゃないなら...
「重力魔法『ゼロポイント』」
魔法を消されたことを考慮し、一応遠距離での攻撃を選択。
『ゼロポイント』は指定した一定の空間を重力によって圧する魔法だ
指定する空間はもちろんレオンがいる場所だ、立ち止まったままのレオンのいる空間を確かに俺は魔法で潰したのだが....
スッ....
レオンは大剣を少し動かすと俺の魔法は先ほどと同じようにかき消されてしまった
「んなっ...まじか」
「何かしたか?」
憎たらしい笑みを浮かべながら煽るように話しかけてくるレオン、まじでこいつ.....
このまま遠距離の魔法で戦って情報を集める......のは無意味だな、別の作戦を考えよう。
「なにボーっとしてんだよッ!」
斬りかかってくるレオンの大剣を俺は無剣で受け止める。
........ん?もしかして......
俺は頭の中で一つの作戦を思いつく、俺の魔法は解除されたが俺の手元には2つの魔剣がまだ残っているのである、召喚したものは消せないってことが分かれば.....
「『魔剣召喚』×『戦場変化』、『剣王の宴』」
周囲に数えきれないほどの魔剣が召喚される。魔剣召喚の魔法を拡張した魔法、これならレオンに消されない
「散々やってくれた礼をくれてやるよ!」
「フンッ、やってみろ」
剣に満ちた戦場で俺はレオンに向かって攻撃を仕掛ける
俺は左手に持った無剣・弐式をレオンに向かって投げる
...と同時に俺はレオンに向かって走り出し、蹴りを放つ。
レオンに向かって飛ぶ剣をレオンは避ける、その回避が隙となり、レオンは俺の蹴りをかわすことはできない。
「....グッッ、クソがッ!」
みぞおちに刺さるように蹴りが入る、がレオンは止まらない。反撃をしてこようと大剣を振るう
その大剣を俺は宙から降ってきた無剣を取り、大剣を受け止める。
かち合った剣を起点にレオンを飛び越える
レオンを飛び越える途中で再度降ってくる魔剣を掴み、レオンの背後を取り、レオンを斬るッ!
レオンは前に倒れこむように回避をするが、避けきれなかったようでかなり深めに入る。
「.....痛ッてーな、クソが、剣なんて持ってなかっただろーがよ、それも『魔剣召喚』か?」
「ちげぇよ、戦闘中にいちいち魔法なんて発動できるかよ」
「これはただのお手玉だ」
「...は?」
「だからお手玉だって、知らない?お前に向かって走ってる途中で地面に刺さってる剣を適当に投げてるだけだ」
俺はそれを受け取るだけ、なんとも簡単な仕事だこと
「だけだ...って簡単に言いやがるな、舐めてんのか?」
「いや?そうでもないぞ?結構必死さ、俺は魔法を封じられてお前は使えるこの状況、お手玉使うしかない状況になるくらいには追い込まれてるさ」
「追い込まれてる....ね、それで次は何が出てくるんだ?」
「次....??」
「あぁ、お前もわかってんだろ?オレの能力は『適応』。一度見た技にはもう完璧に対応できる、お手玉はもうオレには通用しないぞ?」
「あー、そうか.....確かにそうだな、もうこれできないのか」
「......??」
「次か......次、次ね~。どーしよ」
「余裕が過ぎんだろ、お前ホントに舐めてんのか?」
「舐めてるかどうかで言ったら舐めてるな」
「...は?、お前、自分がどれだけ絶望的状況なのかわかってんのか?」
「いやだって、一度見られた魔法、技に次からは完璧に対応される。たったこれだけの要素に俺が絶望する理由があるって言いたいのか?お前。お前こそ俺のこと舐めてんだろ?」
「絶望する理由がないだって?それじゃやってみろッ!!」
大剣の大振り、先ほどよりも速く感じるその大剣が自分に向かってくるその一瞬の時間で俺はその大剣が俺に到達するよりも前に攻撃を与える。
全てを滅ぼし殺す魔王の一撃を喰らうがいい
襲い掛かる大剣の間合いよりもより近くに入り込んでいく、魔術を宿した右手をレオンのみぞおちのあたりにそっと置き、俺は唱える........
(「『断絶の剣』)
............発動」
俺が触れた部分を起点に音もなく、消えていく。ただゆっくりと
たった今、この瞬間にこいつは死んだのだ。
「.....なんだよそれ......そんなもんあるなら....最初からだせばいいじゃねーかよ.........」
今にも消えそうな声でレオンが問いかけてくる
「そんな便利なもんじゃねぇんでね、ここぞって時まで温存してたんだよ」
「そうかよ........クソッ.....オレの負けかよ....」
俺がこの世界に来てから苦戦したことは何度かある。だが魔王となり、成長を重ねたが、よもや人間相手に傷を付けられ、苦戦をするとは思わなかった、新参『勇者』よりもよっぽど俺の命に迫っていた
「あぁ、強かったぞ、人間の間では最強だろうな」
「ははっ、俺が最強か.....光栄なこった、だがな.......オレは最強なんかじゃないさ......この世界の最強はな........」
ここでレオンは跡形もなく消えてしまった、最後にレオンは何を言うとしていたのか?この世界にレオンより強い人間がいるって言いたいように思えたが今となっては聞くことも叶わない。
「総員、放てぇぇぇぇぇ!!!」
...........ドンッッ!
衝撃が全身に走る。それと同時に不快感も全身を駆ける。
なんだこれ、せっかくいい感じに終わったってのに横やり入れてきやがって
少し冷静に周りを見てみるとそこには聖騎士と思わしき兵士が俺を囲んで俺に向かって魔法を放っていたのだ、その放たれた魔法に直撃したせいか砂埃が邪魔で仕方ない。
砂埃が晴れ、周囲をはっきりと確認できるようになると一人の男が騒ぎ出す。
「貴様、魔法の直撃を受けてなぜ無傷なのだぁ!」
焦り。怒り。困惑。恐怖。その男からは複雑な感情が見て取れた。
そんな男の言葉に微塵も興味のない俺は返事をする
「..........うるせぇ。」
....パチンッ
指を鳴らす、極限まで簡略化した魔法の発動動作で有象無象を処理する
「「「「「「「.......!!」」」」」」」
一瞬にして俺を囲んでいた兵士が消え去る。その場に人がいたと思われる血だまりだけを残して...
「転移」
....パチンッ
もう一度指を鳴らす。
この騒動にて、現場に向かったすべての王国聖騎士が消息不明、死体が確認できなかったため死亡判定ができなかったとされているが事実上死亡扱いとなった。
さらに王国の冒険者ギルドに所属するSランク冒険者クランパーティーである『神格の剣』の主要メンバー6人の死亡が確認された。
クランハウスは跡形もなく破壊をされていて、周囲は焼け野原となっていた。
この騒動の犯人は未だに確保には至っていない、そればかりか犯人の姿を確認した人物が一人残らず死亡してしまったため犯人の特定が困難となってしまった。
現場に残された犯人の手がかりは戦場に残った犯人と思わしき魔力のみ、その魔力を過去の犯罪者と照らし合わせてみたが該当者はなし。
この事件は王国の聖騎士団長、Sランク冒険者といった王国内でも1、2を争う強者が死亡していることから犯人は人間ではなく、魔物や、魔族なのではないか?といった説が立っている。
仮にそうならば、魔王軍による人類に対する全面戦争の宣戦布告を意味するのではないかなどといった説も浮上してきている。
およそ1週間後
「.......魔王軍...ね」
世界の情勢を記した新聞を捨てる。
俺は今王国を離れ、別の国を拠点としている。俺の行った戦闘は世界中で騒ぎとなった。派手に暴れた結果なので仕方ないと納得している。ほかの人に俺の姿を見られるわけにもいかなかったので転移の魔法でどこか遠くの国に飛んだのだ。
それがここ、夜の国、クラヤミ。この異世界の朝昼夜のサイクルの仕組みはわかんないけどこの国は常に夜なのだ
そこクラヤミで俺はホームレスをしている...............
「魔王がホームレスって.........笑えねぇ」




