22話.第2ランウド開始だ
♪無敵なんてなーいさ、無敵なんてうーそさ
俺が最後に見た光景は大男が大剣を俺と同じように構えるところまでだった。そこから先は何も見れなかった、ちょっと油断していたとはいえ少しの反応もできないとはな。
「終いだ」
そうつぶやく大男
「なんだ、強そうなやつだと思ったのに拍子抜けだな」
大男は力なく倒れる俺をもう見向きもせずに帰路につこうとしている。さっきまで俺らの戦いみて絶句していた偉そうな男は調子を取り戻したようで先ほどまでと同じようなテンションで叫ぶ
「どうだ見たかぁ!これが我が国の聖騎士団長様の力だ!!思い知ったか賊めが!もう聞こえてすらいないだろうがな!」
ガハハハと下品な笑いをする男、それにつられるように周囲にいた兵士も俺をバカにしたように笑いだす。口々に俺への悪口を浴びせてくる兵士たち。
まあこいつらがいい感じに調子に乗ったところでそろそろいいだろ...
「随分と言ってくれんじゃねぇかよ、雑魚どもが」
するはずのない俺からの言葉という名の音。それが聞こえたものの顔は驚愕、疑問、恐怖、様々な感情が入り混じった顔をしていた、先ほどまで罵声を浴びせていた首のない死体に首が生え、声を発したのだから摩訶不思議以外のなにものでもない。
俺は魔力による威圧を周囲にまき散らしながら、背を向けたままの大男に目を向ける、大男も当然驚いていたようだった、まあ無理もない。
「こんなもんで終わるわけねぇだろ」
ゆっくりと振り返るその背中に声をかける、大男の顔をよく見てみると驚いてはいたがその顔から恐怖な表情は見て取れない、どっちかと言ったらなぜ俺が生きているのか知りたいといった好奇心に満ちているように見える
「ネタ晴らしでもしてやろうか?」
「必要ねぇよ、てめぇが生きてる。その事実だけで十分だ」
飛びかかって襲ってくる大男、俺は振るうその大剣を自身の剣で受ける。ガンッとぶつかり鍔迫り合いの形になる、金属同士がこすれる少し嫌な音がその場に響く
「自己紹介をしようか、ヨツバだ。一応『魔王』を名乗っている、よろしく頼むよ」
「王国聖騎士団団長、レオン・デトロイトだ。ヨロシクな」
「自己紹介も終わったところで第2ラウンド開始といこうか」
俺は鍔迫り合いの形を崩し、仕掛ける。
「雷属性付与、『雷撃斬』」
2方向、左右同時からの攻撃とも思えるほどの速度での2連撃、レオンは最初の攻撃こそ何とか防げたものの、2撃目の攻撃はレオンの右肩あたりを切った。と思ったのだがこれもまたかすり傷を与えるに留まってしまう。さっきから完璧に攻撃を入れても寸前の所で回避されてしまう。十中八九ヤツのスキルが関係しているだろう、身体強化以外の魔法を使っている痕跡も見当たらないしな
これが一つ目の謎、そんでこっちが二つ目の謎ね
「模倣剣、『雷撃斬』!」
レオンが俺と同じ技を使ってくるのである、さっきのは気のせいではなく確かに居合『疾風剣』だったし、しかも斬撃を飛ばしていた。俺の使った技よりも高度な技術だ。
初見の技を見切り、次の瞬間には自身の技として放ってくる。模倣剣とは言っているが模倣の域を完全に出ている技(?)である。どうやっているのか不思議なもんだ
「もう一回首を斬ればお前は死ぬのか?」
「そうだと思うならもう一回切ってみろよ?」
「そうだなぁすべては斬ればわかることだ!」
レオンは俺の首をもう一度斬ろうと一歩踏み出す。....今更だけどこいつめっちゃ強いな、間合いの管理がチョーうまい。俺の剣のリーチと自分の剣のリーチ、俺と自分の間合い、手や腕、体の角度から計算し、俺は届かないけど自分は届くという距離感を常に保っている。
こちらが攻撃を当てるにはレオンの間合いに踏み込んで隙を見せることになってしまう。逆にレオン側は俺の間合いのギリギリそとからほぼノーリスクで攻撃を仕掛けてくる。やりずれぇ、聖騎士団とやらどれだけ強いかはわからんがその長をやっているというのは伊達ではないらしい
まあやりずらいとは言ったもののあくまでそれは剣士としての間合いを取った場合だ、知っての通り俺は別に剣を極めている訳じゃない、というか剣を持っての実戦はこれが初めてだ、多分。やりずらいならわざわざ剣での戦いに付き合う必要はない
というわけで戦術変更。レオンが俺の剣技を真似てくるというならば剣技以外で戦えばいいだけの話だ
「『魔力矢』」
高速かつ高貫通力、魔力消費も少ないといったなんともお得な攻撃である。剣での応酬の最中にいきなりの魔法使用だったのにも関わらずレオンはそれに反応、『魔法矢』を真っ二つに斬ってしまったのである。
「まじかい...これにも反応すんのかよ、自動迎撃機能付きロボットか」
「???、なんだそれ?何言ってんだお前」
疑問をこちらに投げかけると同時にレオンは大剣を突きの構えで構える。フンッと力強く空に真っ直ぐと突かれた大剣の先から魔力の矢が放たれる
「はぁ!?」
俺はただただ驚いてしまった。魔法も使えんのかよこいつ、何でもありかよ。魔法も使えるとなるとめんどくせぇな
しばらくレオンの能力について考えようと硬直しているとレオンの方から話しかけてくる
「ネタ晴らししてやろうか?」
俺の台詞をそのまま返されてしまったよ、ムカつくなぁ
「してくれって言ったらしてくれんのか?」
「いや?言ってみたかっただけだ」
めんどくさい奴やな、こいつ。友達いないだろお前、関係ないか。
そろそろ真面目に考えようか、模倣剣って言ってたよなあいつ。ってことは真似できるのは直前に見た技だけか?それとも一回見た技はそれからも使えるのか?コピーした技の使用制限なんかは?一回使った技をもう一回使わないことを考えると一回使ったらもう使えないと考えるのがいいかな?ともかく情報が足りないな、もっと技を小出しにして、あいつの情報を引き出してやるか....
「手始めに上位魔法はどうだ?上位土魔法『地形操作』発動」
土魔法によってレオンの足元を割る。地割れに挟まれたまま死んでくれれば楽なんだけどな
割れた地面に挟まれ、ほんの少しの静寂が訪れる、だがそれも長くは続かない。地を割る音を立てながらレオンが飛び出してくる、それに俺は反応する、拳を握り、振るう。そうすると地面から拳が飛び出し、宙に浮くレオンを正確にとらえる。
ドゴッ!
空中で踏ん張りもきかず勢いのまま飛んでいくレオン、だが着地するや否や高速でこちらに向かって飛びかかってくる。
「模倣剣、『地剣』」
そう唱えると地面から剣のような尖ったものが飛び出てきた。それも一つでは収まらず二つ三つと数が増える
「あぶなっ!」
ギリギリで避け続ける、地面からの剣を避けている間にもレオンからの追撃は止まらない
避けることは問題ない、ギリギリだが避けることができているからな、そんなことよりどうやって俺の魔法を真似てるかが問題だ....
「そんなにオレの技が知りたいか?」
「...顔に出てたか?」
「あぁ知りたいって顔をしてるぜ?まあ知られたところであんまり影響はないんだがな、無暗に教えるメリットもないしな、教えねーよ」
なんで言ったんだよ、なんて関係ないことはさっさと忘れよう
そういや同じ技をこいつに撃ったことなかったな、やってみるか
「雷魔法『雷鳴波』発動」
掌から雷が放たれる、雷を放つだけのシンプルな魔法。
「フンッ!」
斬られちゃったよ。だがここからが大事、もう一度同じ魔法を放つ。
「『雷鳴波』!」
「模倣剣『雷撃斬』!!!」
俺の背後にいきなり現れたかと思ったら先ほど俺に撃ってきた『雷撃斬』を繰り出す。やっぱり意味ないか?
......いや、今まで明らかに違う点が一つある。受けなかった。レオンはこれまで俺の攻撃を避けてはいなかった、見切っていたとはいえ掠るくらいでギリギリで避けていたのである。体、もしくは大剣で受けていたのである。これは案外有益な情報だ、つまりこいつは俺の攻撃を受けてから同じ属性の攻撃を撃ってくる、そして2回連続では受けない。
この情報からわかることはこいつの模倣剣とやらは1回受けて1回放つといったチャージ式的な仕組みだ。2回連続で受けないのか受けれらないのか......
可能性が見えてきたな、試したいことが出てきた。
「『戦場変化』魔法、『猛毒の戦場』展開」
文字通り毒々しい紫色の膜が俺たち二人を囲う
『猛毒の戦場』、一定の空間を毒で囲う魔法。囲ったものすべてに固定ダメージを与えるエリアを展開する。固定ダメージと言っても『毒耐性』などのスキルで無効化が可能。
俺が与えたいのは毒による固定ダメージではない、俺からの攻撃を与えたという事実。模倣剣とやらは俺の魔法を受け、その攻撃の強さに応じて反撃の威力も上がっていた。属性を付けていない魔法よりも付いている魔法の模倣のほうが威力は強い。
そして今回俺がレオンに与えるダメージは固定ダメージといった小さなダメージ、たとえ模倣剣の威力が受けた攻撃の威力に依存しているとしたら今回の模倣剣の威力はとても弱いものになるだろう
「.........気づいたのか?」
「正解なんだな?」
焦ってくれたようでよかったよ、こちらに問いかけをしてきたことで逆に正解だと証明してしまったのである。スキルの詳細はわからないままだが俺の選択は間違っていないようだ
「....チッ」
「お前の殺し方もわかってきたところで第3ラウンド開始といくか」
さてさてどんな仕組みなのやらね....気になるねぇ




