13話.助ける?...なんで?
魔族討伐していこう。
「よう、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
冒険者と魔族の戦闘が終わったっぽいので話を聞くために間に割って入った、ステータス上でも格下の相手の粗末な攻撃なんて防御するまでもない。魔族の放った攻撃は俺に当たった時点で消滅した。
「何者ダ?我の攻撃を防げるニンゲンなど、この世にいるはずガ...」
「ちょっと自惚れすぎじゃねーか?お前そんなに強くないぞ?」
『賢者』と比べたら、こんなやつただの雑魚だ。いや、比べるまでもないな。
「君、一体何者なんだい?冒険者ギルドでも見たいことない顔だね、どっか遠くから来た冒険者かい?あの魔物の攻撃を防げるってことはSランクかい?」
なんだ?いきなり話しかけてきやがって。俺が話したいのはあの魔族だけなんだけどなぁ。何も知らないやつが入ってくるんじゃねーよ。
「..........」
「え?無視?とりあえず助けてくれるってことでいいんだよね?」
「ん?助ける?誰が?...なんで?」
それまで全く興味のなかったボロボロの冒険者のほうを振り返り魔族に背を向ける。話しかけてきたリーダーの目を見てもう一度はっきりと質問をする。
「お前今、助けてくれるって言ったか?俺が?お前らのために?なんのために?助ける義理も理由も何もないだろ?」
「.....え?だって、今あの魔物の攻撃から私たちを守ってくれたろ?」
「いや、俺はあの魔物ってか魔族に話を聞きたくて来ただけだから、攻撃を消したのはたまたまね。別に俺からしたら見ず知らずのお前らの命なんてどうなったっていいんだよ。俺は聞きたい話を聞き終えたら帰るつもりだし、元々はお前らSランク冒険者の実力が知りたくてついてきたけどもう十分見たし、もうお前らに興味はない」
逆になんで助けてもらえると思ったんだよ。確かに俺ならこんな魔族程度一瞬で片づけられる。ができるかどうかとやるかどうかは別の問題だ。俺はメリットのないことはやりたくないし、ただ働きは御免である。助けてもらえると思っていた冒険者は絶望をしているように見えた。これは自論だが、他人に自分の命を預けるようなやつは元から生きる資格などないのである。
「我の前で背を向けるとハ随分と余裕ではないカ」
そう言いながら背後から殴りかかってきた魔族、殴りかかってくる右腕には黒い炎が燃えている。普通の人間には目視できない猛スピードで迫ってくる魔族に俺の目の前にいる冒険者は反応はできたもののもし、攻撃が俺ではなくこの冒険者に向かって放たれていたら避けることは叶わず即死だったであろう。だが今回狙われたのは俺だった。
猛スピードで迫りくる魔族、余裕で対処ができる俺はあえてギリギリまで魔族を引き付けた、放たれた拳が俺に到達する直前で俺は拳を受け止めた。ちなみに引き付けた理由は特にない、ギリギリで止めたほうがかっこいいと思ったからね。
「おい、なんのつもりだ?俺はお前と敵対するつもりはないぞ?」
「なんのつもりと言われてもナ、我の攻撃を止めることのできるニンゲンなぞヲ生かしておくことなどできるわけ無かろウ」
「だから俺はお前とは敵対しないって言ってんだろ、俺が聞きたい情報を聞いたらこいつらは好きにすればいい、俺は別に人間の味方じゃないからな」
「それでもこれから先、貴様は我ら魔族の脅威になる可能性ガある。我ら魔族の復権の邪魔になる者ハことごとく排除スル」
「はぁ、話通じねぇな。こっちはこっちで聞きたいことを聞かせてもらおうかな、『賢者』について知っていることを話せ」
「.........?その程度の情報を欲しがっていたのカ?いいだろウ。話してやる、我が最初に『賢者』と出会ったのハ100年程前だったナ。ニンゲンに『勇者』が生まれたと聞き始末をしようと『勇者』が生まれた国に襲撃をかけた時だっタ、年は20か30くらいの若い男に成すすべもなくやられてナ、あの森から出られなくなるといった呪いをかけられたのダ。その呪いが最近解かれたのでナ、以前の復讐をしにそこの国を滅ぼそうとして今に至るわけダ。」
なーるほどね、『賢者』、呪い、最近解けた。...........うん、俺のせいじゃね?いやいやいや、そんな訳ない偶然だ偶然、仮に俺のせいだとしても俺がこいつを殺す理由にはならない。はず。
「知ってる情報はそれだけか?」
「アア、これだけダ。他に知っていることは何もナイ。」
「そっか、じゃ!俺はもう要は済んだから、さいなら~」
そう言って立ち去ろうとした時、後ろから俺を引き留める声が聞こえた。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!まさかほんとに帰るのか?困っている人がいたら助けるのは冒険者の常識だろ!?」
「..........自分の身は自分で守る。人としての常識じゃないのか?なんで助けてもらえると思ってたんだ?そこが疑問だ。確かに助け合うのは大切なことだと思うぞ?だが、助けてもらうのが当たり前だと思っている人を助けたいとはたして思うだろうか?そこんところよ自分で考えてみるんだな」
最初に見た時の爽やかなイメージは今となっては完全に消え失せていた。必死に生にしがみつこうとしている。
「なんでそんなに必死になるんだ?人間どうせいつか死ぬんだそれが今ってだけだろ。それになんの不満があるんだ?」
「....まだ、やり残したことがたくさんあるんだ。それをやりきるために私たちは生きなければいけないんだ。」
「やり残したことがある...ね、具体的には?」
「世界平和」
少しの迷いもなく、即答だった。
「へぇ、その世界平和ってのは?魔王を倒すのか?」
「ああ、そうだ、私たちは勇者となり恐怖で怯えるすべての民たちの希望となる存在になる。そうなるまでは私たちは死ねないのだ」
私、ではなく私たち、ね。随分と傲慢な勇者だこと。こいつは今『勇者』になると発言をした、『魔王』である俺の前で『勇者』を名乗る、これによりある条件が達成される。
[条件が解放されました]
[称号『勇者』を得るに相応しい器を確認]
[適合者に相応しい武具を譲渡します]
突然響いた声に皆動揺する中、ウルディア・グリアスの手に光輝く聖剣が握られていた。
............ザンッッ..........
「はぁ!!!」
「なっ......いつの間二.........」
決着は一瞬だった、聖剣を手にしたウルディアがすぐさま魔族との距離を詰め、上段に構えた剣を振り下ろし、魔族を一刀両断した。『斬撃強化』『攻撃力上昇(大)』『聖属性付与』『速度上昇(大)』『不可視化』をまとめて発動した必殺の一撃。これが『神剣』と呼ばれる所以の一撃である。
神め、めんどくさいことを増やしやがって、ウルディアが急に聖剣を手にできたのには当然理由がある。今さっき突然聞こえた声の正体は『神の声』と言われる、言葉の通り神の声である。ある一定の条件を達成した者に対する褒美なんかを与えてくれる。今回の場合、『魔王』の前で『勇者』を名乗る。この条件が満たされたことにより、ウルディアは『勇者』の称号を得て、力を得たのだ。ちなみに今のステータスはこんな感じ。
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『ウルディア・グリアス』
体力 4,000/4,000
魔力 3,000/3,000
攻撃力 5,000/5,000
防御力 5,000/5,000
知力 4,500/4,500
運 2,000/2,000
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スキル
『斬撃強化』『攻撃力上昇(大)』『聖属性付与』『速度上昇(大)』『不可視化』『連撃』『聖剣』
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称号
『勇者』『Sランク冒険者』『Sランク冒険者クランリーダー』『神剣』
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強くなったなぁ、魔族程度なら瞬殺か。ステータスも結構上がったな、スキル『聖剣』を手にして称号でも『勇者』が追加されている。この瞬間をもってこの男『ウルディア・グリアス』は俺の敵となったのである。
「ねえ、終わったなら早く帰った方がいいんじゃない?ほら、あそこでぶっ倒れているお仲間とか早く治療受けさせた方がいいんじゃない?もうそろ死んじゃうから」
「..........................そうだね」
なんか言いたげな表情だったがそそくさと仲間を連れて国のほうに向かっていった。
「...............さて。俺は俺の仕事をしますか。」
ヨツバ君の魔王たる所以が見え隠れしたかもね.........




