12話.初仕事は戦闘だったっけ?
初仕事行きます。
「うし、行くか...」
俺は冒険者となって初仕事をするために『リア・フォレスト』に向かおうとしていた。今回の仕事は「魔草採取」。比較的簡単っていうか非常に簡単な仕事となっておりますね、本来なら魔草を入れるための袋なんかを用意するんだけど俺には『無限収納』があるから必要ないもし森で魔物なんかに襲われても俺なら撃退は簡単だろう、心配することは何もない。..................フラグじゃないよ?
ここでいきなりだが俺が今滞在しているこの国について説明しよう、この国の名は王国『リア・デザイア』俺がもともといた帝国『サン・ライズ』の隣の国である。俺は追放されたあの時、『サン・ライズ』と『リア・デザイア』との国境に位置する通称『不可侵の森』に飛ばされたらしい、正式名称は『デス・フォレスト』だが、両国の関係はそこそこ悪いらしくお互いがお互いに干渉しないようにと「不可侵」とした森を隔て、相互不干渉の契約を結んだそうだ。
よって『不可侵の森』。あの森に入るには国からの許可がいるらしく、その許可がもらえる人物も限られているのであの時俺が森の方向から歩いてきたので、門番はあんな高圧的だったのだろう。ちなみに国からの許可なしに森に入るとちゃんと罰せられるんだとか。たまに盗賊なんかが森で勝手に野営して身を隠しているらしいんだけど、ことごとく魔獣にやられているらしい、あの森の魔獣はこの世界の強さの基準で言ったら最強クラスで、一匹討伐するのにもいくつもの国が動かなければいけないらしい、たまに森から魔獣が飛び出してくるのだとか、そうなったらもう王国中パニックらしいよ。
アラーム(鐘)が鳴り響き、国民たちは逃げ惑う。ちょうど今みたいにね。
「魔獣だぁーーーー!!!!」
「みんな逃げろ!!」
「早く冒険者と騎士団を呼びに行け!」
...........え?魔獣?せっかく初仕事にいこうとしてるときに?この国の冒険者法では、森から魔獣や魔物が出てきて、国が危機に瀕した場合は、冒険者は現在受けている依頼を強制的にキャンセルされ、脅威の排除に協力しなければならないとなっている。つまり、俺の初仕事は、魔獣討伐となったのである。まじかよ、超めんどくさいじゃん。
「おい、待てよ。森から出てくる魔獣、多くないか?」
「どんどん増えてるじゃねえかよ。百匹はいるぞ、一体森に何があったってんだよ!」
「あの数はやばいぞ、俺たちも逃げたほうがいいんじゃないか?」
「何言ってんだよ、この国の法律忘れたのか?!この場合の緊急依頼を断ったら死刑になるんだぞ?!」
鐘をきいて集まった冒険者が話しているのが聞こえる。そう、先ほど言った法律は、緊急依頼と呼ばれ、もし緊急依頼から逃げたとこが発覚した場合は確定で死刑になるらしい、けどまあ、その気持ちもわからなくもない、森から出てくる魔獣は自分よりも強いから正面から戦えば確実に死ぬ。だから冒険者全員で数で圧倒して倒すってのがこの法の目的だ。
だが、森から大量の魔獣がこの国に向かっている。つまり、数では圧倒することは期待できない、少数で戦っても死ぬ可能性が高い。戦っても死ぬ、逃げても死ぬ。まさに雁字搦めである、だが、そんな絶望しかないこの状況に希望となる情報が入ってくる。
「おい!Sランク冒険者クランがこの国に滞在しているらしいぞ!」
「Sランクのクランだって?...........まさか?」
「そうだ!『神格の剣』だ!クランリーダーもいるぞ、あの『神剣』だ!あの人たちがいればあの魔獣もなんとかできるかもしれない!」
........誰なんだ?その厨二病全開の二つ名の人は?クランってものがあるんだな、Sランク冒険者か、強そうだな、どのくらい強いのかはわからないが、まあ期待してもいいのだろう、俺が戦ったAランク冒険者はそこそこ弱かった気がするが...........まあ気にしないでおこう。
「皆の者聞け!!!!!!」
突然広場に大きな声が響く、皆が声がした方を注目する。そこには8人ほどの冒険者と思わしき人たちが立っていた。なかなかに強そうな冒険者だな、こいつらもしかして.............
「我ら、Sランク冒険者クラン『神格の剣』!私は、クランリーダーのウルディア・グリアス。勝手ながら今回の緊急依頼の指揮をとらせてもらう、冒険者ランクがB以上の者は、こちらの副リーダー、カイラスの元に集まってくれ、そのほかの者で、遠距離での攻撃手段を持っている者は我らのクランの遠距離攻撃組の元に集まってくれ!そのほか、冒険者ランクB未満で遠距離攻撃が得意でない者は、逃げ遅れた民の避難の手助けと、他の冒険者のフォローをメインに立ち回ってくれ。以上だ!解散!」
なんとも綺麗な指示だこと、こんな状況でも冷静だね~、今の指示に従うのであれば今回俺は、避難の手助けと他冒険者のフォローが仕事だ、張り切って張り切っていきましょう。
「それにしても、『神格の剣』かぁ、随分とおおげさな名前だな~、しかもリーダーは『神剣』。まあ人間なのに『魔王』の俺が言うものなんだけど、人間の分際で『神』を名乗るのは烏滸がましいねぇ。」
この世界にはしっかり神が存在する、人間が作り出した想像の中の神ではなくちゃんといるのである、その証拠に出生の際、神に選ばれたものは神の声、いわゆる神託的なものを受けて誕生するなんてこともザラにある、教会に入信している者で『神聖魔法』なんてものを使える人も少ないらしいがいるらしい、発動条件は秘密らしいけどね、こんなもんでこの世界には『神』が存在している。
まあ何が言いたいかって話なんだけどただの人間が軽々しく神の名を使うことは許されないってことよ、たまに自分の実力を過信した愚かな冒険者なんかが自称するらしいけど、ことごとく粛清されるらしい、つまりSランクの冒険者で神の名を使えるってことは、あのクランは教会とも仲良しってことになる。よって、あのクランは教会も認めるほどの実力があるってことになる、森から出てきた魔獣も任せて大丈夫だと思う!........多分。
俺は『神格の剣』が門から出陣して魔獣討伐に向かったのを見届けたのち、避難の手伝いを一通り済ませ暇になったので、Sランク冒険者クランとやらの強さを確かめたくなり、ひっそりと魔獣が出てきた森の方へ向かっていた。彼らと共に魔獣討伐に向かった冒険者はBランク以上の冒険者、決して弱くはないがあまり興味はわかない、俺が興味あるのはSランクの冒険者だ、神の名を名乗る冒険者はどのくらいのものなのか気になるのだ。
門を抜けてちょっと離れたところに冒険者を確認、はっきり言ってすごいな。ここに来るまでに数えきれないほどの魔獣の死体があった。森から出てくる魔獣も弱くはないはず、なのに『神格の剣』の面々には疲れの表情が全く見て取れない、とてつもない数の魔獣を平然とした顔で淡々と処理している。ほかの冒険者にも死者は見受けられない、Sランクの冒険者は伊達じゃないね。
「おい!この調子だったらこのまま楽勝で終わっちまうんじゃねえか?」
「そうだねギコル。でも油断はだめだよ、冒険者は油断した瞬間に足元をすくわれるんだ、そのちょっとの油断が命を落とすことに繋がる。だから最後まで油断してはいけないよ?」
「そうだったな、最後まで気を抜かずにやりきるぞ!」
いい心掛けだこと、まあ言ってることはもっともだ。戦場では油断した奴が真っ先に死んでいく、そのことをこいつらはよくわかっている。
油断をしないことで救われるのは、相手が同格、格下の場合のみだ、相手が格上の時にのみ必要な心構えってものもある。お仲間の命を気にかけることも十分に大切なことだ、力のない人間はほかの人間と助け合いながら生きていく、そんなことは常識である。まあここまで無駄話をした理由はですね、これからこいつらに襲い掛かるデカい敵に対してどう対応するかってのがとても興味深いのである。
森には様々な魔獣がいる。魔獣だけとは言わずに様々な生き物がいる。『賢者』が住み着いていたのもその一つかもしれないな、つまり森に棲んでいる生物には想像もつかないような生物がすんでいるのである。それは例え伝説上でのみ語り継がれる.........魔族であっても普通にいるのである。
「脆弱なニンゲンどもヨ、そこをドケ。さもなくバ、コロス」
とてつもないオーラを放ちながら近づいてくる正体不明の生物、ただわかることはとてつもなく強いということ、冒険者たちの脳裏には死のイメージが明確に思い浮かぶ。Sランク冒険者といえど強力な未知の生物に遭遇した時には、動揺するのである。だが、さすがはSランク冒険者、動揺した心をすぐさま落ち着かせ目の前にいる敵へ向かう。
「どけだって?なんのために?」
「そこの王国ヲ滅ぼすノダ」
「なぜなんだい?何か王国に恨みでもあるのかい?」
「アア、遠い昔の話だがナ、賢者を名乗る男二あの森に封印されてナ、王国に攻め入った際に封印されたのでナ、この国にあの男がいると踏んで今からこの国を滅ぼそうとナ。」
「賢者?なんのことなんだい?そんな二つ名を持っている冒険者は初耳だよ?場所、間違ってないかい?それに遠い昔の話なんだろ?仮にそんな人がいたとしてもとっくの昔に死んでるんじゃないのかい?」
「今どきのニンゲンは『賢者』を知らないのカ、落ちたものダナ、もういい貴様らごときの雑魚に興味はない。ドケ、素直に従えば殺さずに見逃してやル。」
「そうはいかないよ、これから王国に向かおうってんだろ?お前みたいな危ない奴、私たちの生まれ故郷に近づけさせるわけないだろ?」
「そうカ、ならば................死ネ」
そう言うと魔族は腕を軽く振るう、すると豪風が巻き起こり『神格の剣』を襲う。8人中6人は風に吹っ飛ばされ少し遠くで気絶をした。残ったのはリーダーと副リーダー、なんとも心配だなぁあの程度の攻撃でダウンなんて、ほんとにSランク冒険者か?
そこからは冒険者にとったら地獄のような時間が待ち受けていた。なんと魔族の新たな情報解禁。魔族が仲間を呼びましたとさ。ここで魔族を『鑑定解析』をしてみた。
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『名もなき魔族』
体力 3,000/3,000
魔力 10,000/10,000
攻撃力 3,000/3,000
防御力 3,000/3,000
知力 300/300
運 500/500
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スキル
『黒炎』『召喚魔法(魔)』『身体強化(大)』
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称号
なし
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おぉ、高めのステータスだこと。Sランク冒険者様は勝てんのかね?吹っ飛ばされた冒険者のステータスはほっといてリーダーと副リーダーのステータスでも見てみるか。
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『ウルディア・グリアス』
体力 1,800/2,000
魔力 1,000/1,000
攻撃力 3,500/3,500
防御力 2,000/2,000
知力 4,000/4,000
運 1,500/1,500
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スキル
『斬撃強化』『攻撃力上昇(大)』『聖属性付与』『速度上昇(大)』『不可視化』『連撃』
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称号
『Sランク冒険者』『Sランク冒険者クランリーダー』『神剣』
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続いて副リーダー
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『ギコル・ハスティ』
体力 1,500/1,600
魔力 1,000/1,000
攻撃力 1,800/1,800
防御力 3,500/3,500
知力 2,500/2,500
運 1,000/1,000
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スキル
『大楯』『防御力上昇』『硬化』『重量増加』
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称号
『Sランク冒険者』『Sランク冒険者クラン副リーダー』
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うーん、なかなか絶望的なステータスだこと、2人とも勝っているステータスは1個ずつか....。まさに絶望的だねぇ、大丈夫か?リーダーは剣士か、『攻撃力上昇』と『速度上昇』を持ってることを考えると速度重視の剣士かな?その他にも気になるスキルを持っているけど、今はいいかな。
副リーダーは防御タイプか、スキルも防御特化って感じだな、防御スキルのおかげで何とか耐えれているがそれもギリギリだろう、圧倒的なステータスにかかれば人間の中で高いステータスを持っていたとしてもそんなもの塵と化す。
「フンッ、弱いナ。その程度の力で我の前に立ちふさがろウとしていたのカ?笑えるナ、ニンゲンはこんなにも弱いのカ?」
「私たちは人間の中では強い方だと思っていたんだけどね。自惚れていたかな?」
「リーダー、このままじゃ俺たちは」
「...........そうだね。」
「遺言はそれで終わりカ?ならば......死ネ」
魔族はもう一度腕を振るう、さっきよりも強い豪風が彼らを襲う。死んだ、と彼らは思っただろう。そんな絶望的な状況の中、彼らとの間に割って入る影が一つ。
「........よう、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
俺の初仕事は、魔族との戦闘になりそうです。
投稿だいぶ期間開いちゃってすいません。
これからもっと投稿していきます。




