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第十三話 決勝戦 二節。

 シルクの剣を2つの指でつまみ止める。


「貴様……ヨナ君の体に憑いているのか?」


 シルクは圧倒的な力の差に少し驚きながらもヨナの体を案じる。


「その前にどういう事や」


 リリムはつまんでいた剣を離す。


 シルクは後ろに飛ぶ。


「何がだ」


 リリムを見つめ攻撃をする隙を伺う。

 しかし、リリムは自然体でとても戦闘をする様な様子ではない。



「何だあれ!?」

「ヨナの様子が変だぞ」

「だ、団長の剣を指で!?」


 会場はヨナの変化に気付き始め騒ぎ出す。




「ヨナを殺そうとした事や」

「この剣は悪しか斬れない!!だからヨナ君を斬ろうとしたのでは無い!!貴様を殺そうとしたのだ!!」


 そう言ってシルクはユニークスキルで姿を消した。

 一瞬でリリムの死角へ回り剣を振るう。


「なっ!?」


 しかし、リリムは死角からの剣も軽々と指先で止めた。


「はっ!!」


 シルクはリリムの頭に蹴りを放つ、リリムはそれを左手で止める。

 どこまでも攻撃が通用しない、シルクはそう思った、彼女は全力で目の前の敵を倒そうとしている。

 しかしその攻撃をリリムは軽々と遇らってしまう。


「貴様は何が目的だ!!」

「お前に教える必要はないな」


 シルクの拳はリリムに届く事なく体をひねり躱されてしまう。

 まるで赤子を相手するかの様に。


「はぁ…はぁ……」


 シルクは息を切らす。


「ヨナ…君を……どうする気だ……」

「どうするも、こうするも儂とこいつは一心同体。なんかするいう事はない」

「信じられんな、貴様はヨナ君を利用しているのでは無いのか!?はっ!!」


 シルクは再びリリムへ斬りかかる。

 リリムはひらりと身を躱す


「儂はお前がこいつを殺そうとしたから出てきただけや。他意はない」

「嘘をつけ!!これだけの人が居て悪魔が魂を喰らうことを我慢できるわけがない!!」


「はっ!!」

「あぁ…鬱陶しいなぁソレ」


 リリムは躱すのをやめ、剣を掴む。

 剣にはヒビが入っていく……剣はメキメキと音を立てている。


 シルクは剣を引こうとする。

 しかし、ビクともしない。


 バリバリ

 カランッカランッ


 剣はそんな音を立て崩れ落ちて行く。


「ありえない……」


 シルクは目の前の剣の残骸が信じられない。

 神が創造した言う聖剣。

 強度はこの世に存在するどのような鉱石をも勝る。

 その剣が素手で砕かれてしまった……


「さぁ、得物(ぶき)は無くなった。どうする?」


 いつのまにかリリムは刀を肩に担いでいる。

 持ち手に豪華な装飾はなく貧相、それでいて刀身は長く禍々しい紋様が彫られている。



「倒す!!」


 シルクの姿が消える。



 シルクはリリムに真正面から殴りかかる。

「それは無理やろ」


「はぁぁぁあ!!」

「はい。終わり」

「かはっ!!」


 リリムはシルクの腹に刀の峰を当てる。


 シルクはその場で崩れ落ちる。

 その数瞬…あと……リリムも崩れ落ちる。


「なんや、こっちも終わりかい……」




 両者が意識を失った。



 ■■■




「んん、ん?ここは?」


 知らない天井を見ている。


「気がついたかい?」


 その声のする方へ顔を向ける。

 知らない人だ。


「ここは医務室だよ、決勝戦で意識を失った君とシルク団長は運び込まれたのさ」


 ん?

 シルク団長が意識を失った!?

 どういう事だ?

 試合は僕の負けじゃ……


「あの……シルク団長が意識を失ったって言うのは?大丈夫なんですか?」

「試合で君に負けたんだよ。覚えてないのかい?まぁ幸い君もシルク団長も命に別状はないよ」


 もしかして…リリムが?


『………』


 リリムへ話しかけるが返事はない。


「団長は?」

「隣の医務室で寝ているよ」




 僕はベッドから起き上がり、隣の部屋へ向かう。


 コンコン

 とノックをして部屋へ入る。


 そこにはベッドで上半身を起こし窓の外を眺めているシルクさんがいた。


「やぁ」

「シルクさん、大丈夫ですか?」


 シルクさんは僕の方へは顔を向けない。


「大丈夫だ君こそ大丈夫なのか?」

「はい」


 僕はベッドへ近づき、椅子へ座る。


「説明……してもらいたい……」


 やっぱりリリムが……


『………』


「すみません!!」


 僕はシルクさんに頭を下げる。


「実は……」


 僕はシルクさんにリリムから聞いた事を打ち明けた。

 悪魔とエルフの子であることや村での生活。

 それから10年間溜まった経験値で死にそうな事。


 流石に魔王の子と言う事は伏せている。


「悪魔の…子」



 そして、今回シルクさんからの話を聞く限り、僕の身を守る為にリリムが意識を無理やり眠らせて戦った事が分かった。


「その、リリムと言うのは悪魔の人格でエルフの人格は僕なんだと思います」

「その、悪魔…リリムはいま……」

「多分、今は戦闘の疲労で眠っているんだと思います」

「そうか……」


 シルクさんは黙り込み何かを考えているようだった。


 しばらくしてシルクさんが振り向き僕の顔を見る。


「すまない、君を騙すような真似をして」


 そう言って頭を下げるシルクさん。


「頭をあげてください。元々僕が隠していた事ですし」


「あ…ありがとう」


 そう言って顔を上げる。



「そ、その。ヨナ君」


 シルクさんは俯きながら小さい声で言う。


「はい、何ですか?」


 僕はシルクさんに用件を聞く。

 シルクさんは少し顔を赤らめている。


「と、突飛な話なんだが……」

「はい……」




「私と婚姻を結んでくれ!!」



 …………



 はい?

いつもご拝読いただきありがとうございます。


皆様の反応がすごく励みになっております。

作品への感想などございましたら是非書いて頂きたいです。

全て読ましていただき返信させていただきます!!


今後とも宜しくお願いいたします。

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