焼きたてパンのある朝食と2人の関係
香ばしいパンの焼ける匂いがする。
目を開けると見た事のない木造の天井が飛び込んでくる。
ん。。?不思議に思い体を起こすと外からノック音がした。
「カミヤちゃーん、おきた?ごはんたべよー」
元気のいいこの声はおそらく昨日ギンと、呼ばれていた大きな猫のような生き物だろう。
空き部屋だから好きに使ってと案内された部屋は綺麗に掃除がされていて部屋に着くなりベットですぐ眠ってしまった。
そのおかげで体が昨日より随分軽い。
神谷は部屋の外で「カミヤちゃーん」と名前をよぶギンを迎え入れる為ドアノブに手をかけた、その瞬間、ドアが勢いよくひらきギンのもふもふの毛が体を包み込む。
ギンの体からは先程の焼き立ての香ばしいパンの香りがした。
「カミヤちゃん、積極的!」
ギンは神谷を抱きしめて、ヒゲを上下にピクピク動かし、フクフクと笑っていた。
ギンは心なしか上機嫌のようだ。
「すみません。。」
神谷がポツリと話すとギンは、
「いやいや!ごめんね!返事がなかったから開けてみちゃった!」
「じゃ、このままごはんにしよ!」
ふっと体が浮いたと思うとギンにすっと小脇に抱えられ神谷は美味しそうな朝ごはんが並ぶ食卓の椅子に丁寧に降ろされた。
年季の入った、でも何度も丁寧にワックスがけされた亜麻色の食卓には大皿に乗った目玉焼きが7つにベーコンがたくさん。パンも皿に山積みになっている。テーブルの中心には色とりどりのサラダが見える。
本能に訴えかけてくるその美味しそうな朝食に釘付けになっている神谷を見て、クスッと黒縁メガネの奥の目を緩めながら昨日ぎんにクボタと呼ばれていた男は笑い、
「良かったら好きなだけたべて。コーヒーか、紅茶、ココアなんかもあるよ。何にする?」と、新聞を片手に言った。
「紅茶で…」
神谷は小さく答えた。
「良い香りのダージリンがあるからちょっと待っててね。」
クボタは新聞を小脇に手慣れた手つきで紅茶をいれはじめる。
その姿をぼーっとみていると、横からギンが皿に色とりどりのサラダや目玉焼きをたっぷり乗せ神谷の前に置いた。
「カミヤちゃんはベーコン何枚くらい食べれる?」
ギンは神谷の顔を覗き込みながら聞いた。
「1枚…」
「え?俺は5枚は食べたいのにカミヤちゃん1枚しか食べないの?おかわりしたくなったらおかわりしてね!」
そういいながらギンは、トングで器用に神谷の前の皿に大ぶりのベーコンを乗せる。
そうこうしているうちにダージリンの爽やかな匂いが鼻腔をくすぐる。
「じゃ、いただきます!」
2人につられて神谷も小さくいただきますと呟きながら、サラダをついばむ。
「あ、まだ名前いってなかったね!オレはね、ギン!パン屋で働いてるよ!」
ベーコンを頬張りながらギンが自己紹介をし、すっとクボタを見た。
「あぁ、俺は、クボタ。小説を書いていてね。内容は、冒険活劇が多いかな。」
クボタが説明し終わるとギンは、鼻をぴくぴく鼻息荒くしながら
「不思議だよねー!あんまり外に出ないけど、冒険物だと最近じゃ一番人気なんだよ!」とギンがなぜか特げに話す。
「よせやい。」
クボタは、黒縁メガネを押し上げながら、照れくさそうに笑った。
どういう関係で一緒に住んでいるかはわからないけど、仲が良さそうな様子の2人を見て神谷も、なんだか嬉しくなって、ふふっと笑った。




