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毛むくじゃらに拾われる

重たい目を開けるとそこには青々としげる葉が広がっていた。

なんでだろうと思い体を起こすと、神谷の横から

「にゃっ!」と声がした。

パッと横をみると同時に見たことがないほど大きな黒い毛むくじゃらな物体がぐっと身を屈めて神谷をのぞきこんだ。

先程まで正体がわからなかった物体をみるにどうやら大きな毛むくじゃらはサイズはさて置き猫にそっくりだった。


熱く湿った生臭い息が顔にかかる。猫に似た生き物はヒクヒクと鼻を上下させて神谷の匂いを嗅いでいるようだった。

今まで生きていて感じたことのない恐怖感が背筋を走る。

「私をた、たべますか?」頭で思うより先に口が動いた。


するとキョトンとした顔をした次の瞬間猫に似た生き物が大きな声で笑いながら


「俺は雑食だけどね、小人族の親友が居るんだ。だから死んでも食べないよ。安心しな。」


こわばった体から力が抜けて神谷の目から次から次へと涙がでた。


「ごめんよ。怖がらせてしまったね。お詫びにうちがすぐそこだからお茶を出すよ。同居人が今頃クッキーを焼いてる頃だしね。」


大きな猫のような生き物はすくっと立ち上がり手を差し伸べた。

手のひらにはピンクの艶々の肉球が付いていた。


艶々の肉球に手を伸ばすときゅっと掴まれて神谷は見たことない雑木林をずんずん手を引かれながら進んでいった。


歩き進めていくうちに少しひらけた窪地についた。

樹齢何百年かと思うような大木の横に大きなドアの下に、小さなドアがついた変わった赤煉瓦の煙突がある家が見えた。


「さぁさぁ、入って入って。」

大きな猫のような生き物が手招きをする。


家の中からは、バターが焼ける甘い匂いが漂ってくる。

神谷は言われるがままにその家に入った。


「ただいまぁクボタ!」

元気よく猫に似た生き物が声をかけると、

奥の部屋からひょこっと顔を覗かせた黒髪の男性が神谷を見た。

「おかえりギン。あ、いらっしゃい。お客さん。いまクッキーも出来上がったとこだし食べていってよ」と言った。


奥の部屋に入るとテーブルの上には、ステンドグラスのような飾りがある物からナッツが混ぜ込まれたものまで色んな色の美味しそうなクッキーが並んでいる。


キッチンに立っている男性がティーポットを片手に猫のような生き物に話しかける。


「ギン、今日は何処でこんな女の子を拾ったんだ?」


ギンと呼ばれた、猫のような生き物は、器用にティーカップを戸棚から出しながら


「アオイヤマまで、今日は釣りに行こうかと思っていたら途中で女の子が倒れていて、話しかけたんだけど、俺が冗談を言ったら泣かせちゃったんだ。」


テーブルにティーポットを置きながら黒髪の男性が、神谷に話しかけた。


「ギンがごめんね。さぁ、座って。ところでお嬢さんお名前は?」


神谷は言われた通りに椅子に腰掛けながら、

「神谷です。」と小さな声で答えた。


大きな座椅子のような物にどかっと腰掛けた猫のような生き物がクッキーをムシャムシャと食べながら、


「カミヤちゃんか。可愛い名前だね。ところでなんであんなところで寝てたの?」と言った。


黒髪の男性が3人分のカップに紅茶を注ぐ。


「それが、なんでか、わからなくて。私確か忘れ物をして帰る途中、確か誰かにお腹を刺されて。。」


そうだ、お腹の傷!っと倒れた時の事を思い出し上着を捲り上げた。


刺されたはずのお腹は特に傷もなく痛みもなかった。


「にゃにゃ!カミヤちゃん大胆!」


猫に似た生き物が口に手を当て髭をピクピク上下に動かしながら言った。


「傷がないし、血も出てない。。どういう事?」


服をたくしあげた神谷は小首を傾げると。


一緒に猫のような生き物も首を傾げた。


黒髪の男性が持っていたポットをそっとテーブルに置き、顔を少し背けながら

「まぁ、落ち着いて話をしてごらん」っと言った


そこから神谷は、ぽつりぽつりと自分で整理しながら今までの事を一人と一匹に話した。


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