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17.誕生日パーティー【宴も酣:終幕前】やっぱり騒動あり[前]

 宴も酣、そろそろ招待客達も疲れが限界に達してきた頃だろうか。

しかし、世間話や噂話に花を咲かせる貴族たちの口は、閉ざされる気配が一向に見られない。


本日の主役、ライリエルが中座している間、フォコンペレーラ公爵家の残りの家族は皆一箇所に並び立っている。

会場を俯瞰しながら、先程の末子の行動を各々思い起こしていた。


「くくくっ、ダメだぁ~、思い出すと、おっかしくってぇ~~。 あの子豚、面白すぎだよねぇ~~♪」


クツクツと思い出し笑いをしながら、感想を漏らす。

フォコンペレーラ公爵家きっての問題児は、先程の騒動を喜々として思い起こしていた。

表情こそ無邪気そのものだが、スフェーンの瞳の奥には底知れぬ怒りの感情が未だに滾っている。


「エリファス、笑い事じゃないだろう…。 まさか公爵家(うち)で騒動を起こす馬鹿が存在する(いる)とは…。 幸い怪我人は()()()には出ていないが、醜聞に変わりない。」


次男の軽口を厳しさと堅さを多分に含んだ声音で窘めたのは、長男のアルヴェインだった。

柳眉を逆立てて憤る。

勿論のことだが、ライリエルには露ほども憤っていない。

子豚、もといヒューシャホッグ・アンジェロン子爵令息とその取り巻きが起こした騒動、怒りの矛先はそれに尽きる。


子女のため、別部屋に休憩室を設けたのが仇となったか。

そこで今回の騒動の発端となるいざこざが幕を開けた。

そしてそこへ何も知らずに独りで向かったライラが巻き込まれ、事情と経緯そして犯人を知った後、あの大立ち回りだ。


会場の一角を見る。

ライリエルによる私刑が行われかけた場所。

その場所にはあの騒動の残滓は既になく、キレイに片付けられた後だった。


エリファスによって退場を促されたライリエルが自室に下がり、騒動の主犯とその取り巻きは現在地下牢へ拘禁している。


例え成年前だとはいえ、しでかした事の罪状を鑑みれば当然の対処だろう。

因みに、牢屋の環境はそれほど悪くない。

害獣も出なければ、悪臭もしない。

唯の石造りの牢屋なだけで、空調魔法も効かせてある。

諸々の具体的な処罰は後回しにして、身柄だけは確保しておく。


そして騒動の渦中の人物達が退場したのを見計らい、会場に居合わせた人々には、ヴィンテージワインや高級シャンパンが振る舞われた。

ほろ酔い気分となり程よく出来上がった招待客は先程の騒動などもう気にもとめていない。

それでこの一件は終幕、という暗黙の了解だ。

この屋敷にいる間、誰も話題には登らせないだろう。


騒動が落ち着いた後、行方知れずとなった休憩室に配属されていた従僕の捜索も行われた。

それによって、早々に従僕は発見されたが意識不明。

装着された隷属の魔導具は無事に取り払われたが、今現在、昏倒したままだ。


「あっははははっは! まぁまぁ、そんな怒らないでさぁ~? いい方に捉えないとねぇ、こんな時こそ! ライラは無事だし、被害にあった令嬢も無事だし、悪ガキ集団は捕まえたし、従僕は一命も取り留めてる、凄いじゃないかぁ~~~!! いい事尽くし!!! うちの子はできた子ばっかりだなぁあ~~~♪」


息子の憮然とした表情を晴らすため、殊更に明るく現状を(つまび)らかにあげる。

確かに列挙してみると、良い事尽くめのように思える。

結局最後の楽観的過ぎる親バカ発言で、アルヴェインは未だに渋面のまま、そこにジト目が新たに追加されることとなった。


「コーネリアス、笑ってばかりはいられないわ。 悪いことにも目を向けないと。 ライラちゃんのこと…、大丈夫かしら?」


鎮痛な面持ちで、夫に問いかける。

このときばかりは、その可憐な顔にいつもの笑顔はなく、クンツァイトの瞳を不安げに揺らしていた。

具体的な言葉を使わなかったのは勿論わざとだ。

それでも愛妻の心痛の原因を正しくくみ取り、浮かべる笑顔を強くする。

不安に身を微かに震わせる愛妻の肩をしっかりと力強く掴み、自身に引き寄せると、安心させるように額に軽く口付ける。


「大丈夫だょ~、アヴィ! 心配は無用さぁ、私を信じて、任せておくれ♪ 今回の騒動(コト)は、この屋敷を出たら途端に、()()になるから、ねぇ!」


普段通り飄々と笑って、万事恙無しと言ってのける自信に溢れた夫の態度に、強張った身体を弛緩させ、強張った表情も少し緩める。


「曖昧に、ですか? まさか、先程振る舞ったワインやシャンパンに…?」


ーー何か仕込んだのか?

皆まで言わず、視線だけで続きを問う。

因みに、この両親のイチャコラには突っ込む気は更々ない。

暗黙の了解で、放置がこの場合の正解だった。


長男の質問に、口髭が似合わない口元をにんっと引き上げ、人を喰ったような笑みを浮かべてこたえる。


「後は帰り際に渡す、細やかなお詫びのプレゼントにも、ちょっとねぇ~~♪ まぁ、後を引くようなモノは入ってないからさぁ~、大丈夫、大丈夫ぅ~~♪♪」


カラカラと軽く笑い飛ばしながら、一服盛ったことを認めた。


「ん~~? でもそれって、大丈夫なのぉ~、魔導師の立場的にも、合法じゃ無くないぃ~~?」


珍しく家族の会話をちゃんと聞いていたようで、次男が気になった事を突っ込んで聞く。

途端にギクリッ、と身体を強張らせ下手な口笛を吹きつつ明後日の方向を見る。


ベタな誤魔化しに、察する一同。


「父さんさぁ~、何でも好き勝手やるのも良いけど、露頭には迷わせないでよねぇ~~。」


「いやいやぁ~~、大丈夫だってぇ~~! バレなきゃ良いのさぁ!! 今日はあんの目ざとくて口五月蝿い(じじい)は来れないって言ってたしぃ~~~!! 平気ヘ~イキぃ~~♪♪」


「ほぉ~っほぉっほぉ~~。 目ざとく、口五月蝿い爺とは、はてさて、一体誰のことかのぉ? んん? 皆目検討もつかんなぁ? ほれ、誰のことか、言うてみぃこの馬鹿弟子。」


噂をすれば影が差す。

招待は一応したがこの国に今は居ない為、恐らく難しいと言っていた…つまりは来ないと言っていたはずの、今一番来てほしくなかった人物が、コーネリアスの背後で静かに怒りを滾らせ目を光らせている。


「こぉ~~れは、閣下ぁっ! ご機嫌麗しゅうぅ~~~?! 何でここにいやがる、あぁっと口が滑ったなぁ~、来れないと伺ってましたのにぃ、急に来られるなんてぇ、ビッッッックリするんでホンッッット止めてもらえませんかねぇえ~~~??!」


舌打ちせんばかりの心底嫌そうな顔はキレイに消しながら、くるりと振り返り、上司であり魔導の師である老人に向き直る。

大袈裟な仕草で深々と礼をとり、誤魔化す気のない失言を雑に処理して、敬意の欠片も感じられない発言を投げつける。


「ほぉっほぉ。 それで誤魔化したつもりか、この馬鹿たれめぇっ! 相も変わらず、無駄に騒がしくてかなわん!! 夫人の苦労が偲ばれるわぃ、ご無沙汰ですなぁ、お元気そうで何よりじゃ。」


手に持った杖を豪速で、不肖の弟子の頭目掛けて突き出す。

タメが無いのに初速からトップスピードな上、至近距離から繰り出される容赦ない一撃。

その目にも留まらぬ一撃を、既のところで、海老反りで反りにそって、何とか当たらずに済んだ不肖の弟子、ことコーネリアス。


いつもの師弟の気のおけないやり取りに、不自然な姿勢の夫には構わず、挨拶の言葉を投げ掛けた老人に歩み寄り、優雅に礼をする公爵夫人。


「ご無沙汰しております、ゼクウ様。 恙無くお過ごしのようで安心いたしました。 主人から話は伺っておりますが、こうしてお会いして、元気なお姿を拝見でき、一層安堵致しましたわ。」


親愛のこもった微笑みを湛え、挨拶の言葉を口にする。


「ほぉっほぉっほぉ、嬉しいことを云うて下さる。 儂に会うて本心から喜ぶ者は少ないでなぁ、ほぉっほぉ。」


短い顎髭を手で撫で付けながら社交辞令だけでない挨拶に相好を崩し笑う。

その老人の耳に届いた弟子の囁き声が余計だった。


「自業自得だろぅ、糞爺。」


何とか直立の姿勢に戻り、服の乱れを直しながら悪態をつく。

口の中でボソッと、自分でも聴き取れるかどうか、という声量。

言葉と認識できるかも疑問なそれを、老人の耳はしっっっっかり、はっっっっきり、聞き咎めていた。


師匠から、無言で繰り出される豪速の突きの雨。

それを殆ど勘で、長年培ってきた経験による勘で、紙一重で避け続ける弟子。

突如として、師弟の終わりなき攻防戦の火蓋が切って落とされた。



 何が行われているのだろうか、一体。

目の前で繰り広げられるストリートファイトを、遠い目になりながら見るともなしに見る。

と云うか、お父様が何から逃れているのか視認できないのだ。


私より少し、頭一つ分、高いくらいの背丈のお爺さんの前で、ヘンテコなダンスでも踊ってるのかと思った。

最初本気でそうとしか見えなくて、焦った。

思わず目をしこたま擦って、メリッサに窘められた程だ。


お色直しに一旦自室に退いていたが、支度が済んで来てみたら……、この状況である。


 ーーえ、何事っ?! 私、また違う世界(ばしょ)に一瞬で転生し直しちゃったかしら?って本気で思ったよねぇ~~、いやぁ、マジよりのマジでぇ~。ーー


今も隣に居る、自室から会場まで付き添ってくれた乳母のメリッサに思わず問いかける。


「なにがあったんでしゅか?」


自分と一緒に今まで中座していた侍女に、無茶な質問だとは理解しているが、経緯を問いかける。


 ーー誰かに事情を聞かずにいられないわ、こんなの!ーー


明確な答えを求めてではない。

ただ私の疑問を誰かに聞いてほしかったというのが大部分を占める、それがこの質問なのだった。


「恐らく、何時もの事かと。 旦那様の失言で、ゼクウ老師様が激怒されたのだと思われます。」


「ゼクー、りょうし?」


 ーークッッッソ!この滑舌!! 何っで漁師だよっ!!!ーー


不思議なことに、あの異様な感情に呑まれた状態では滑らかだった滑舌は、魔法が解けたように極悪に戻っていた。

むしろ悪化したかもしれないっ!!!


 ーーカムバック!滑らかな滑舌!! ゲラウェイ!極悪な滑舌クソがぁっ!!ーー


言葉遣いも極悪になってくる。

イライラは人を変えてしまう。

短気は損気。

こんな時は、深呼吸で落ち着こう。


自分の滑舌不全に悩まされながら、目の前の現実にも目を向ける。

相変わらず、お父様のヘンテコダンスは継続中でその正面に小さなご老人がちょこんと立っている。


杖と杖を持つ方の腕は残像すら見えず、今も忙しなくお父様へ向けて突きを量産している(らしい)。


目の前の現実が空想の産物かと疑わしく思えてしまう。

ストリートファイト続行中の2人に向ける私の目は極めて懐疑的だったことだろう。

そんな渋面を隠さない私に、メリッサが屈み込んでゼクウ老師の為人について掻い摘んで説明してくれる。


ゼクウ・ケラヴノス、出生は平民でありながら、その類稀なる魔法の才覚によって、数々の実戦で功績をあげ爵位と領地を賜り、有事の際には何度となくこの国を救ってきた、生ける伝説。

名実共に、万人が認めるところの英雄。


王国魔術師団・師団長にまで上り詰め、国中の魔法使いの頂点に君臨する。

それに加え、筆頭魔導師としての絶大な地位・名声を手にした大人物。

下剋上の体現者。


現在は後進を育てる事にも限界を感じ、師団長を辞そうとするも、受理されず。

ならば押し通る、行動あるのみ!と、秘密裏に国を飛び出し世界各地を単身、着の身着のまま、風の赴くまま、放浪の旅を続けている最中とのこと。


遠隔で師団長としての職務もきちんと遂行しているらしい。


 ーーなんてアクティブでハイスペックなご老人! リモートワーク導入なんて、先進的!! 時代の先取りかた半端ない!!!ーー


そんな偉大な魔導師様がお父様の直属の上司兼お師匠様なのだとか…。

情報過多だわ。

こんな設定、ゲームでは触れられていなかった。

ゼクウ様はお名前だって語られず、会話の中にも登場すらしていない。


でもいまいち、ピンとこない。

筆頭魔導師って、どれくらい偉くて強い人なの?

確かに、普通の老人ではないのは確実だ。

どれくらい続いてるのかわからないが、汗だくのお父様に対して、豪速の突きを繰り出し続けている(らしい)ゼクウ老師は至って普通、涼しい顔をしている。


 ーー怖すぎなんですが?!ーー


魔導師なのに、体力無尽蔵とか、『?』しかない。


 ーーお父様が細マッチョな理由は理解したが、あの小柄なお爺ちゃんが細マッチョ以上なムキムキマッチョな様は想像できないし、したくない!! そんな脱いだら凄い!は期待してないのですがぁ?!!ーー


想像したくなんて無かったのに、想像してしまった。

ゼクウ老師の顔の下に、アンバランスはムキムキマッチョなボディービルダーさながらの身体(テッカテカ黒光り仕様)が生えているさまを。


一度思い浮かべてしまった想像は追い出そうとしても、出ていってくれず、居座り続けてしまって…。

この後数十分間、1人でその想像と格闘することとなったのは凄くしょーもない話だ。



 あれからまた数十分経過したが、相変わらずだ。

私の脳内妄想像との格闘が終わった後でも、まだストリートファイトは続行している。

しかもいつまでも終わりの見えない師弟のじゃれ付きに誰一人仲裁に入れない…というより入らない。

傍観の構えを崩さない公爵家(わがや)の一同。


私も空気を読んで、その姿勢に同調するしかなかった。

今はアルヴェインお兄様の斜め後ろで所在無げに観戦している。

メリッサは私を家族の元に合流させた後すぐ、とうの昔にこの場を辞している。


流れるように最小限の動きで、最大限の効果を狙い、急所めがけて繰り出されている(らしい)突き。

そのスピードは、今も変わらず視認できない。

ボッ、ボッ、と空気が打ち出されたような音が止めどなく聞こえ続けている。

一発でもくらったら、その部分が弾け飛んでしまいそうな危険な音だ。


「お父しゃまは、ぶじ、でしゅか?」


五体満足で帰ってこれる?

という心からの心配の意味を込めた言葉の深刻さは、あまり正確に受け止められなかった。


「今のところは、掠ってもないようだな。 でもまぁ、やろうと思えばきっといつまでも、避け続けるはずだ。 父上も、弱くはないからな。」


非常識な見解で予想外な回答が返ってきた。


「しゅごいねぇ~~、おタンジョービ、おわっちゃうねぇ~~。」


 ーーアハハハ、とりあえず、笑っとけ! 無理無理、もう無理で~~~っす!! 考えることと理解しようとすることは諦めましたぁ~~~!!!ーー


心の中で、白いハンカチをパタパタと振りながら、終わりなき攻防に明け暮れる2人から物理的に距離を取る為、回れ右。


 ーー心配するだけ無駄無駄~。 巻き込まれないならそれで良し! 何でもお好きにどーーーぞっ!! 気の済むまでやってて下さいなぁ~~~!!!ーー


この場からの逃走を目論んで会場の中を見回していると、遠くの方に先程見知った令嬢達の小さな姿を発見する。

会場の休憩スペース、出入り口にほど近い場所に。

あれに見えるは、仔犬系美少女、メイヴィス・アグネーゼ男爵令嬢とその友人2人。

ルイーザ嬢と、シャロン姐さんだ。


休憩室で別れたきりで、丁度様子を見に行きたいと思ったところ、向こうから会場に戻ってきてくれた。

その後の経緯を説明して、もう危険は取り除かれたと直接説明したい。

安心して欲しいと伝えたい。


そして出来たら、女子トークなるものを憂いなく楽しみたい!

だって、私にとっては初めて出来たお友達(同性)なのだから~♡

そしてそしてあわよくば、ルイーザ嬢とシャロン姐さんとも親交を持ちたい交わしたい!!


 ーーきっと私は今何かしら良い感じの波に乗れている…だから連続ヒットも夢じゃない…はず!!! 次なるミッションは、お友達量産あるのみ☆だ!! 目標は高く大きく掲げないとね☆ーー



 近くに行きたくてウゴウゴ、ソワソワする。

一番近くに居たアルヴェインお兄様が、私の挙動不審振りに気が付き(見かねてかもしれないが)声をかけてくれた。


「どうしたんだ、ライラ? 何か気に掛かることでもあるのか?」


「アルヴェインお兄しゃま、お友だちのとこ、いってきてもい~い?」


あざとく小首をかしげながら、おねだり口調をさり気なく意識して問いかける。


 ーー頼む、これでイチコロされて下されっ!! これが今の私の精一杯の可愛らしい仕草なんです!!ーー


「お友だち…?」


目に見えて眉間に深すぎる皺が寄って、ペリドットの美しい瞳にも剣呑な光が灯った。


 ーーどうされたの、お兄様?! 天使の(かんばせ)が大惨事ですが??! 私のあざとい狙いすました仕種が耐え難いくらい気持ち悪かったでしょうか???ーー


「うぇえっとぉ…、さっき、おんなのこ、なかよくなった!」


刺激しないよう反応を窺いつつ、言葉を選んで喋ったら、片言みたいになった。

『女の子』という単語を口にした辺りから、眉間に深く刻まれた皺は見る影もなく、きれいサッパリ解除された。


その反応から察するに、お友だち=レスター君、だと思っていたに違いない。


 ーーふふふ、ふははは、あーっははははは! 甘い、甘過ぎです、私を甘く見積もりすぎですとも!!ーー


長兄の機嫌がたちどころに回復したのを受け、得意満面で胸を張り、鼻高々になって、友人ゲットの報告が出来たことを自慢に思う。


 ーーおほほほっ、お兄様、私は見事に、お友だちミッションをクリアし果せましたのよっ! 若干、悪役っぽい手法は交えましたが、最後には顔面偏差値が決め手となり、完全勝利をおさめましたのよっ!! 顔面偏差値至上主義、可愛いは正義、萌こそが生き甲斐、三拍子揃った類友を、私は見事ゲット致しましたわっ!!!ーー


「そうだったのか。 良かったなぁ、ライラ。」


私のニヤついた顔を見て、優しく笑いかけ、頭をぽんぽんと撫ぜてくれる。


 ーーっっはぁあっ、癒やされるぅう~~っ! このぽんぽんが、絶妙なタッチで、気持ちが良いのですぅう~~~っ!! めっっっっっっちゃ癒やされるぅう~~~~っ!!!ーー


「うへへっ、あぃがとぅ! お兄しゃまぁ~♪」


「折角の機会だ、こちらに来てもらうと良い。 呼びに行かせよう、どの令嬢だい?」


「ほぁ…?」


 ーーえっと……? それは、この世界では、普通なことなのかしら?? 家族への面通しって、マストな行為???ーー


この世界の常識が未だに未習得で答えに迷う。


ーーでも、深く考えなくても大丈夫…かな?ーー


簡単に、まぁ、良いのかな、と思ってしまう。


 ーーだってアルヴェインお兄様が言うことに、間違いはないはずだもの。ーー


私のお兄様への信頼度はトップクラス。

丸いものを四角だと言われれば、四角だと盲信してしまうくらいに。



 だからこの時の私は、お兄様の提案を首肯1つで、素直に受け入れた。

そして、それは間違った選択であったと気付いたのは、顔面蒼白、ブルブルと目に見えて怯え震えるメイヴィス嬢が、案内役の従僕の陰から、その小さな体を丸めきりおずおずと姿を晒したその時だった。

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