8章
9章以降の執筆が遅れてしまっているので、投稿ペースが落ちます。
8章 ようこそ、地下水道へ 中編
入口まで戻ると、守衛の兵士の人が、鉄格子を開けてくれた。特に話すことをなく、そのまま立ち去ったのだが、あれでいいのかと思った。
クライン邸に直接戻っても良かったのだが、今日の探索で、魔力ポーションを使いまくってしまったので、買い足すことにした。ちなみに、フレイヤは先に帰ってしまった。お前の分のポーションなんだけどな・・・。
街の薬屋は王都のそれとは違い、小さいが、商品はちゃんとそろっていた。さすが、街道沿いの町、心配せずに魔力ポーションを購入した。
「この辺では見ない冒険者だね。」
と、店の店主に話しかけられた。
「ええ、王都から来ました。クラインさんの依頼をこなしに来ています。」
と、素直に答えた。
「そうかい、なら、ポーションの方、おまけで付けてやるよ。」
今日はダメージをあまり受けていなかったので、消費が少なかったが、保険で買った回復ポーションを何本かおまけで付けてくれた。店主と少し雑談でもするかと思い、少し気になったことを聞いてみた。
「この街って、どのくらい前からあるのですか?」
「この街の成り立ちか、大体、50年ぐらいと言われているよ。俺はこの街でうまれ育ったんだが、俺の親の話では、そのころから、今のような賑わいだといわれていたそうだ。にぎわっている理由?それはだな、王都に入りたいが、閉門の時間が決まっているだろ、それに間に合わせるより、手前のこの街で休んで、朝出発する商人が多くてな。それに応じて、街がどんどん発展していったんだ。」
なるほど、この街は、そういう理由で置かれていたのか。そうなると、もう一つ疑問が浮かんだが、この店主に聞いても、答えはでなさそうだったので、クライン邸に戻ることにした。
※
クライン邸に戻りと、玄関でバートンさんが向かい入れてくれた。どうやら、少し待っていたらしい。
「すいません、わざわざ、待っていただいて。」
「いえ、お客様のお世話をするのも私たち、使用人の務めですので。」
と事務的な対応で返された。
「お食事の準備はもう少々かかりますので、先に入浴なされれてはいかかでしょうか。」
う、確かに、朝から地下にこもっていたのでわからなかったが、服や顔に泥がついていた。先ほどの薬屋の店主、いやな顔一つしなかったな。それが、商売の秘訣なのかと思いながら、
「そうですね、先にお風呂いただきます。」
脱所で服を脱ぎ、洗濯籠に入れておく。お風呂から出ると、洗濯が完了した状態で、かごに置かれるそうだ。どうやってそんな早く洗濯できるんだと思っていたら、洗濯、乾燥、洗濯したものをたたむ機能を備えた魔法機械がこの屋敷にあるので、便利なんですよと、昨日バートンさんに教えてもらった。
浴室に入ると、昨日も思っていたのだが、広い。これこそ、富豪の家って感じだ。質素が好きなクライン氏だが、風呂場には何も手を入れず、そのままの状態で使用しているそうだ。
体をチャチャっと洗い、湯船にin。
疲れた体にしみわたる熱が、心地よい。
ボーとしながら、今日あったことを思い出す。フレイヤへの魔法指導から始まり、最後の薬屋で感じた疑問。でも、今はどうでもいいやと思っていたら、だれかが、湯船に入る音がした。誰だと思い、目を凝らすが、湯気がすごく、人影がうっすら見えるぐらいだった。もしかして、クライン氏かと思い、話しかけようとしたところ、急に湯気が晴れた。
目の前にいたのは、フレイヤだった。
もちろん、服は着ていない。しかも、タオルで隠すこともせず、腕で、胸を隠すスタイルで、湯船に沈む直前だった。
見られたフレイヤは当残固まる。俺も、何でフレイヤが?と思って固まる。
フレイヤの体は、服の上からはわからなかったが、胸が大きかった。俺より20cmほど小さく、細くちっこい印象だったが、出るところは出るとして、出ていた。
その後、先に我に戻ったフレイヤに殴り飛ばされた。受け身を取れずにいいパンチをもらったため、気絶から目覚めるのに、時間がかかってしまった。
※
気絶から目覚めた後、少し、気分が悪いが、夕食をいただいた。頭では食べたくはないが、体がエネルギーをもっしていたので、無理やり飲み込んだ。正直、何を食べたのか憶えていない。
とりあえず、早く寝ようと思い、部屋に戻った。ただ、寝る前に習慣で剣の整備だけはやらないと寝れないので、体を無理やり動かして、さびや欠けがないか点検し始めた。久しぶりに多くの魔物を切ったので、結構汚れていたので、念入りにふき取ることにした。
剣の整備を初めてしばらくした後に、誰かが、扉をたたいた。バートンさんかなと思い、出てみると、そこにはフレイヤが立っていた。体を見たことでまだ何かあるのか思って身構えていたら、少し、顔をおからめて、
「レディーが部屋に訪ねてきたんだから、入れなさいよ」と言ったので、とりあえず、部屋に入れたのであった。
※
部屋に入れてしばらく、気まずい雰囲気だった。フレイヤは、ベッドに座り、俺は、先ほどまで、剣の警備をしていた椅子に座った。とりあえず、整備途中だった剣の整備を再開した。本当なら、彼女の話を聞くところなのだが、手持ち無沙汰だったので、つい、やってしまった。しばらくの沈黙の後、
「あんた、すごいのね。」
と、フレイヤは話し始めた。最初はそうかとおどけるつもりだったが、あまりにも真剣な目をしていたので、
「あー、何というか、自分にできることはないだろうかと思って、いろいろな冒険者に出会って、教えてもらったから、それが、今の俺を強くしてくれたというか・・・・」
言い訳みたいでしどろもどろな回答になってしまったが、フレイヤは納得した顔をしていた。
「あんた、さっき私の体見たでしょ。」
次に、カウンター気味の発言。なんて言った方がいいんだ、ここで。
「ああ、いい体だったぞ。」
無言で近くにあった枕を投げられた。そりゅあそうだ。
「違うわよ、ばか。私のおなかの入れ墨、見たでしょ。」
ああ、確かに入れ墨があった覚えがある。あの入れ墨は、確か、
「あの入れ墨って、侯爵家の印だったよな。」
そう、この世界の魔法使いは筆頭4大侯爵家がいて、その中の1つがフレイヤに刻まれていた入れ墨、というか紋章にそっくりだった。
「そう、私の名前は、フレイヤ・ルーベェシア・バーンクラフト。バーンクラフト家の嫡女よ。」
※
フレイヤは、自分の名前を高らかに語った。
「ちょっと待ってくれ、バーンクラフトって、火系魔法の先駆者として有名じゃないか。お前なんで、火系魔法を使うのに躊躇していたんだ?しかも嫡女なら、家で修練をした方がいいんじゃないのか?」つい矢継ぎ早に質問してしまったが、いろいろ疑問が浮かぶ。
「そうね、簡単なことよ。私には火系の魔法の才能がなく、才能豊かな、妹がいたから、で文句ない?」
な、なっとくができる回答だったので、黙ってしまった。
「自分に才能がないのがわかったのは5才ぐらいの時に気が付いたわ、だって1つ下の妹はすでにファイヤーボールを発動できるのに、私は出来なかったもの。年を重ねて、私もようやくファイヤーボールが打ているようになったことには妹は中級魔法も打てるようになっていたわ。そのころから、妹は私に軽蔑の色を見せ、父様も、私じゃなく、妹に期待していたわ。だから、私は、自分の可能性を見つけるべく、冒険者になったわ。」
と、ここまで語った後に、
「でも、世間の評価は甘かったわ。私がバーンクラフトの人間とわかると、ギルドのランク決めの時にいきなりDランクを付けたわ。バーンクラフトの人間だからできると思われていたのでしょ。だから、私は、ランクをわざと下げようとEランクのクエストを受けまくったわ。でも、いつまでたっても、ランクは下がらなかった。でもね、後で知ったの。父様が裏で、ギルドにランクを下げさせないようにしていたの。昨日だって、ベルはああいっていたけど、ギルドマスターは絶対私のランクを下げないわ。」
ここまで、聞くと何不住のないお金持ちのお嬢様の人生って感じだが、本人は迷惑している、そんな感じだった。
「でも、今日、あんたに教えてもらった方法で魔法を放った時、今までの人生無駄だったなと思ったのと、私にも可能性があると感じさせてくれたわ。それについて、お礼をいうわ。ありがとう。」と、貴族がやる挨拶なのか知らないが、俺に頭を下げてくれた。普段からつんけんせずに素直に話してくれれば、いいものをと思った。
「だったら、明日も、頑張ろうぜ。そして、お前の親父さんや妹に私にもできるところ見せてやろうぜ。」と、手を伸ばし、握手を求めた。
「ええ、こちらこそ。」と握り返してくれた。正直、この子の素の状態はこっちなんだろうだけど、一人でいる時間が多かったから、周りに対し、過剰の反応に過剰反応していたのであろう。
正直言うと、かわいい。でも、顔には出さずにただ、手を握るのであった。