2章
2章 ようこそギルドへ
疲れた体が癒されたかどうかわからないが、とりあえず頭は休めたみたいで目が覚めた。身を起して、伸ばしたところ、バキバキと骨がきしむ音が聞こえたが、気持ちよかったため、体も休めたようだ。起きたら顔を洗う習性のため、昨日もらっておいた水を張った桶で顔を洗い、すっきりしたところで、朝飯を食べに宿の食堂に行った。
朝はスープとパン、卵にベーコンと朝からしっかりとした食事に舌つづみを受けつつ、宿屋の店主に冒険者ギルド場所を確認した。
装備の確認を行い、冒険者ギルドに向かった。昨日と違い、道をちゃんと確認したので、間違えずにまっすぐ行けた。
冒険者ギルドの戸は重いぞと叔父さんから聞いていたが、それほど重くなかった。冒険者になるって言って、2日で返ってきただけである、叔父さんにとって、重く感じたらしい。
そんなことを思い出しながら、ギルドの中は人、人、人、と多くの人でごった返していた。受付は何処だろうと思いながらカウンターにたどり着いた。
「あのー、冒険者登録はこちらでできますか?」
「はい、できますよ。こちらで受け付けております。」
と、俺より少し年上な女性がそう答えてくれた。そのまま続ける形で、
「冒険者になりますと、冒険者の証として、ラーストーンが配布されます。ラーストーンには冒険者としてのあなたの情報やランクが入っています。身分証のかわりににもなりますので、なくさないように気を付けてください。」
なるほど、身分証の代わりになるのはかなりでかいな。
「冒険者ランクについて、ご説明させていただきます初めての冒険者登録ですとまずはFランクからのスタートになります。E、D、C、B、Aとなり、最高ランクはSとなります。ランクの上昇はクエストの達成や、緊急で発生したクエストの貢献度によって、ランクが上昇します。ただ、依頼の失敗が続きますとランクのほうは下がりますので自身の実力にあったクエストを発注するのが基本となります。」
つまり、身の丈に合ったランクを受注しないとリスクになるというわけか、わかりやすいな。
「また、クエストを受ける際は、受注費を払っていただく必要があります。受注費はランクごとに定めた金額となります。受注費はクエスト達成、未達成かかわらず、ご返金は、されませんので、注意してください。」
まあ、失敗したときのリスクがないとギルドとしては評判だけ落としてしまうから、冒険者側にもそれなりの覚悟を持ってやってもらいたいのであろう。
「報酬につきましては、ランクに見合った報酬がギルドからお支払いします。こちらを当ギルドでは一般クエストとしています。また、クエストの中には、個人から報酬が支払われるクエストもあります。こちらは指定クエストとしています。指定クエストを受ける場合の受注費は一般クエストと異なり、支払われる報酬に応じて変動します受ける際は慎重な判断でお受けください。」
いろいろ説明を受けたが、まあ、この辺りはやっていけば、覚えられる思うので、早速ギルドの契約用紙に自分の名前を記載した。
「グランバルドさんですね、受領しました。あ、私の名前は、リンベル・エーカーと言います。ベルでかまいませんよ。」
と受付のお姉さんはリンベルというのかと確認しながら、
「よろしくお願いします。ベルさん。」
と今後しばらくお世話になるだろう受付のベルさんに挨拶をするのであった。
※
ベルさんにいろいろ冒険者の心得や、必要になりそうなもののレクチャーを受けた後、早速クエストボードで依頼を受けようとクエストの内容を確認した。どうやら、今日はクエストボードの更新日のため、ギルドに冒険者が多いのはそのためだった。
Fランクで受けれるクエストはそこまで多くないが、内容を見る感じ、初めての冒険でも大丈夫なぐらいな内容であった。例えば、荷運び、荷物持ち、探し物、猫探しなど、多分、子供でも受けられるレベルな内容が並んでいた。多分、初めからゴブリン退治やらをやらせるより、ギルドの仕組みを覚えてもらうのが目的のようだ。確かにEランクから討伐系のクエストがちらほら見える。とりあえず、荷物運びのクエストを受けることにした。ちなみに荷物運びなどの今日中にこなさないといけないいけない依頼はほかの依頼より少しだけ報酬が多く設定されている。
「グランバルドさん、依頼の受注ですか?」
「はい、こちらの依頼を受けます。」
依頼を受けるための受注費を払い、依頼主のもとに向かったのであった。
※
依頼主のところに向かっていたのだが、道に迷ってしまった。何ということだ、昨日に続き、今日も迷うとは・・・。
一応ベルさんに地図を書いてもらったのだが、通りの見た目が似すぎて、通りを何本か間違えてしまったようだ。
ここから行くより、戻ったほうが早いなと思い、引き返そうとしたとき、殺気を感じた。殺気の方向を確認すると、そこにはマントを付けた子供がたっていた。カーラだ。
「昨日の人だ。」
どうやらカーラは俺のこと、覚えていたらしい。さっきまで出ていた殺気が一瞬でなくなった。
「よう、カーラ、昨日ぶりだな。」
「そうだね、今日はどうしたの?」
「今日は、冒険者ギルドの依頼で荷運びの依頼を受けたんだけど、依頼人の場所わからなくなってね。」
「そうなんだ。ちなみにどこ?」
「えーと、クライナ商店ってとこだ。」
「そこなら、知ってる。道案内するよ。」
「いいのか?」
「いいよ、今の暇だから。」
「なら、道案内頼むよ。」
今日もまた、小さい女の子に道を教えてもらいながら、目的地に進むのであった。
※
「ここがクライナ商店。」
カーラに案内された店は一等地ではないものの、それなりの立地にあり、外見は派手ないが、大きなたたずまいで立っており、クレイナ商店と書かれた看板がかなり目立っているのが印象的だ。
「ありがとう、カーラ、君がいなかったら、多分たどり着けなかったと思う。」
と、カーラの頭をなでようと手を伸ばしたところ、嫌がられた。またなのか・・・。
「ち、違うの。なんか恥ずかしいの。」
傷ついた顔が出てしまったらしく、カーラは慰めてくれた。むしろ、こんな小さい子に慰められるなんて、なんだろう、泣きたくなってきた。
そんなやり取りをしていたところ、クレイナ商店から人が出てきた。
「なんだい、大の大人が、子供に泣かされているのかい?」
出てきた人物はいきなり、俺に追い打ちを仕掛けてきた。見た目は恰幅のよい女性だったが、この店の店主だとすぐわかった。なぜなら、事前にベルさんから見た目や性別を聞いておいたのである。依頼主の見た目は聞いておかないと、失礼だからね。
「ち、違いますよ。ただ、俺、子供に好かれない雰囲気があるみたいで、それについて、今までの人生を振り返っていただけです。」
なんか、危ないやつかもしれない雰囲気で早口でしゃべっていたが、依頼主は大声で笑いながら、
「はっはっはっ、今日の依頼を請け負ったやつ、面白いね。気に入った、クレイナ商店の店主、クレイナだ、今日の荷運びの依頼、よろしく。」
恰幅のいい姿から繰り出される平手を背中で受け、俺は今日人生初めてのクエストをこなすこととなる。