帰宅部の姫拓さん ~帰宅と言いつつ寄る場所があるんです~
ふと、情景が浮かんだので書いてみました。
それでは、どうぞ。
[2/9:追伸] シリーズを『短編集』から『帰宅部の姫拓さん』に移動しました。
とある田舎の高校に通う、1年生の姫拓さがね。
彼女は運動系や文科系の部活に所属しない、言わば『帰宅部』。
でも、ささやかな楽しみがあるんです。
▪▪▪
裏山の奥にある小さな、小さな小屋。
そこは彼女の秘密基地。
「うーん、今日も1日頑張ったぁ。」
小屋に入るなり、そう呟く。
秘密基地は、うちのじぃちゃんが作ってくれた。
……そのじぃちゃんは、もう空の向こうに行っちゃったんだけどね。
お父さんも、お母さんも共働きで夜まで家には居ない。
友達は居ない。どちらかと言うと一人きりが好き。
そんな私の為に作ってくれたんだ。
この小屋で、日が暮れる前か連絡が来るまで……毎日居るんだ。
宿題とか、読書。結構、捗る。
あとは近くに寄ってくるリスのお世話をしたり。
ゲームは持ってこない。やろうとは思わないし……
……あ、休日はね。
買い物とか、出掛ける予定が無ければ小屋に来る。
そこら辺は、両親も許可はしてくれてる。
自然が豊かな場所って、気持ちが落ち着く。
街中みたいな、ざわざわしてない。
小鳥さんの声、風の音、木々の揺れる音。
その音が奏でるハーモニー。とても好き。
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勉強をしていると、ポケベルが鳴った。
『カエッテキテ ハハヨリ』
お母さんからだ。
仕事から、帰ってきたのかな。
外をみると、ちょうど日が暮れる所だ。
もう帰ろう。
「また明日ね。」
そう小屋に向かって言うと、家の方へ向かって歩いていった。
(ポケベルはちょっと古いかな……(笑))
読んで頂き、ありがとうございました。