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スペースシップ

作者: 安岡 憙弘

  スペースシップ

                              安岡 憙弘

 宇宙船に3人の乗組員がいた。1人がフランス人のルイ、2人目がロシア人のナボトフ、そして3人目がドイツ人のマイヤーだ。

 3人の目的は少しでも地球から遠くはなれた場所まで行き、そこの調査をすることだった。

 ルイは愛国者らしく宇宙船内にフランスの三色旗さんしょくきをかかげていた。ナボトフは大食漢たいしょくかんであったので船内にピロシキを大きな袋にもちこんで食べながら仕事をしていた。マイヤーは読書が好きであったので空中に浮かびながら本を読むというなかなか普通の人には体験できないことをやっていた。3人はプロフェッショナルであったので仕事は順調にすすんでいた。

 しかしある日、ナボトフが船から約3kmほど先におかしな物体を発見した。

 それは黄色くて三角すいの形をしていた。宇宙に形の整ったものがあるのはまず考えられない。

 ルイが言った。「あれはいわゆる宇宙のゴミさ。人工衛星か何かの残がいだろう。しかしあのように黄色とはおかしいな。」

 三人はなるべく近づかないようにそのままの距離を保った。

 とりあえずマイヤーがNASAに情況を報告した。

 ところがその物体はとつぜん動き始め形を広げてちょうど三角すいの展開図のようになった。

 三人は少し慌てたが中はからっぽだった。

ナボトフが言ったこれは我々とは未知の文化のものかもしれない。近づいて調べてみよう。

 宇宙服にきがえて外に放り出されたのはち密なことの向いているマイヤーだった。

 マイヤーはゆっくりと物体に近づいてゆくとおそるおそる黄色のものに手を触れた。しばらくもぞもぞしていたが、こう結論をのべた。

「Das ist Papier(これは紙)だ。」なるほどその黄色の物体は、紙らしくゆらゆらとゆれている。

 ルイがいった。「これはJaponのオリガミじゃないか。」

3人はとっさにはそんな結論はのみこめなかったがその可能性が全く否定できるものではないと想った。

 この広い宇宙に、紙をもち、かつそれで形をつくる文化をもった星があるのだろうか。

 3人は気付いていなかった。そのORIGAMI自体が星だったのだ。

 結局NASAに帰着した3人は不審な物体をどこそこで発見したということだけ報告した。

しかし今でも目に見えない宇宙の折り紙が鶴に、コップに形を様々にかえて、星としての生命を全うしようとしている。

 宇宙の折り紙、それがこの物語の結末でした。

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