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女神様の眷属  作者: みぬま
フォンファール帝国編
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ぐだぐだな神の眷属たち

 竜を倒した後は魔晶石だけ回収し、早々に離宮に戻った。

 というのも、脅威度3級以上の魔物に遭遇した場合は速やかに報告する義務があるらしく、護衛兵たちに離宮に戻るよう懇願されたからだ。


 ちなみに討伐した魔物本体に関してはどちらも大きすぎて回収は困難。後日兵士を派遣して回収することになった……んだけど、話を聞きつけたゼケットさんが手を挙げた。


「皇帝派に横取りされたら面倒ですし、私が回収してきましょう」


 どうやらゼケットさんは白夜と同じく皇帝が嫌いらしい。何があったか知らないけど、神の眷属に嫌われまくる皇帝派。そんな派閥が統治するこの国は大丈夫なんだろうか。

 いや、大丈夫じゃないから派閥ができてるのか……何だかなぁ。




 ともあれ巨大緑熊と竜はゼケットさんによって無事回収され、その翌日である今日は昨日の疲れを癒すべく、ゆっくり休むことになった……んだけど。


「おはようございます、クライルさん! お聞きしたいんですけど、昨日の竜はどうやって倒したんですか?」


 ミニスとレニィさんをソアル皇子やティエラ皇女と引き合わせたあとのこと。廊下で待ち構えていた鈴木さんに捕まった。

 どうにも鈴木さん、やる気に満ちあふれすぎてゆっくり休んでいられなかったようだ。ぐいぐい詰め寄られて、気付けば壁際に追いやられていた。


「どうやってって……ご覧になっていたかと思いますが、あれは私だけの力で倒したわけではありません。白夜が翼を落とし、レニィさんが敵の魔法を無効化し、ミニスが足止めしてくれてやっと活路が見出せたのです」

「それはわかります。でも止めはクライルさんですよね?」


 正確には違うんだけど……まぁ、出し惜しみは無しだって白夜と約束したしな。あの時点で瑠璃の存在を隠すことは諦めていたから、俺は「瑠璃」と呼びかけた。

 すると俺の意を汲み取った瑠璃が擬態を解いて肩の上に移動する。そして挨拶するようにポヨンと跳ねた。

 途端に鈴木さんの目が限界まで見開かれる。


「すっ、スライム!?」

「テックス様から譲り受けた不定形生物で瑠璃といいます。あの魔物を倒したのは瑠璃なんですよ」

「ええー、なにそれいいなー!」


 驚く鈴木さんに瑠璃を紹介していると、ミニスが横から割り込んできた。物欲しげに瑠璃を見てるけどあげないぞ?


「欲しいならテックス様にお願いしてみたら?」

「無理無理! そんな気軽に神様にお願いなんてできるわけないじゃん!」

「じゃあ諦めてくれ」

「うぁぁ〜、羨ましい! けどわかった、諦める!」


 スパッと切り替えてミニスはくるりと鈴木さんに向き直った。


「バタバタしててちゃんと挨拶できてなかったよね。アタシはミニス。ストレイル様の眷属だよ。よろしくね!」

「は、はいっ。私は鈴木早苗と申します。こちらこそ、よろしくお願いします」


 目の前に差し出された手を慌てて握る鈴木さん。するとレニィさんがふたりの手の上に自分の手を乗せた。


「ちなみに俺はスワイズ様の眷属でレニィっていうんだ。君たちに魔法を教えるよう頼まれてるから、ついでによろしくね」


 そう言って笑顔を見せたものの、真っ黒なローブのせいかどことなく胡散臭い。鈴木さんも若干取り繕ったような表情で「よろしくお願いします」と返していた。




 その後、瀬良くんや岩井くんとも挨拶を交わしたミニスとレニィさんは、「じゃあ早速修行を始めようか!」と意気込んで離宮勤めの人から聞き出した訓練場に全員を集めた。

 全員とは、瀬良くん、岩井くん、鈴木さん、俺、白夜、ゼケットさんだ。もちろん瑠璃もいる。


「まさか私まで呼ばれるとは」


 そうぼやいたのはゼケットさん。確かにあまり戦闘向きとは思えないゼケットさんがいることに俺も違和感を覚えたけど、「治癒系魔法や空間系魔法はゼケットの十八番でしょ?」とレニィさんが言ったことでなるほど、と得心した。

 治癒系魔法が得意な鈴木さんに魔法を教えるなら、レニィさんよりゼケットさんの方が適任なのか。


「そんじゃ、とりあえず弟子たちはそこで見てて。で、アタシとゼケット、クライルとレニィで組んで、二対二の模擬戦をやろう!」


 ちゃっかり瀬良くんたちを弟子呼びしつつ、勝手に話を進めるミニスに難色を示したのは俺とゼケットさんだった。


「俺、連携苦手なんだけど」

「私もこういうのはちょっと……」

「クライル、苦手だからってやらなかったらいつまで経ってもできないままだよ! それとゼケットは少しくらい戦えないと、これからどうやって生き残るの? アタシは守ってあげないよ?」

「俺も守ってあげないよ?」


 ごもっともなことを言うミニスに、レニィさんが楽しそうに続く。このふたり、息ぴったりだな。


「ゼケットに関しては同意するけど、会って間もないクライルとレニィを組ませるのはどうかと思うよ。クライルとはボクと瑠璃が組むから、レニィはミニスの方に組み込んでもらいなよ」


 そう言って前に出たのは白夜。確かに、ただでさえ連携が苦手なのに戦い方の癖も知らないレニィさんと組むのは難しい気がする。だったら俺の戦闘スタイルを理解してくれている白夜や瑠璃と組んだ方が安心だ。


「ええー、それだとそっちが過剰戦力すぎる!」

「どれだけ本気でやるつもりなの」


 文句を言うミニスに、白夜が呆れた声を返す。すると。


「……どっちかが降参するまで?」


 深く考えていなかったのか、小さく首を傾げつつミニスが答える。答えを聞いた白夜は半眼になった。


「あのさぁ、ただ連携を見せたいだけならこんな戦力のばらつきが酷い面子でやらなくてもこの国の兵士に頼めばいいじゃん。むしろそういう訓練をしてる人間の方が手本になるでしょ」


 白夜のごもっともな意見に場が静まり返った。


 そして結局今日のところは俺とミニスが簡単に手合わせをすることになって、結果はまぁなんというか、エンディルとやりあうのと一緒で、ミニスの体力が尽きる頃に俺の集中力が切れて引き分けた。

 それでも瀬良くんたちにはいい刺激になったみたいで、自分たちの修行に向けてやる気を漲らせていた。

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