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女神様の眷属  作者: みぬま
フォンファール帝国編
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魔物退治をご所望の様子

「何だかさっきの会話、白夜さんとゼケットさんがクライルさんの保護者みたいな感じだったな」


 話し合いが終わってすぐに、岩井くんが話しかけてきた。

 その様子を微笑ましそうに見ながら、ソアル皇子とティエラ皇女、そしてゼケットさんは部屋を出ていく。たぶん彼らに対して緊張を解くことのできない瀬良くんたちを気遣ったのだろう。


「私はまだなりたての眷属ですし、年齢もギンタ殿と同じくらいですからね。白夜たちから見たらまだ若く未熟者ですので、その認識で合っていると思いますよ」


 部屋を去っていく三人の背中を見送りながら岩井くんに応じると、鈴木さんが「えっ!?」と声を上げて身を乗り出してきた。


「クライルさんって私たちと同じくらいなんですか!?」


 おや、このパターンには既視感があるぞ? 委員長ともやったな、こんな感じの会話。


「私の年齢は十七なので……みなさんと同じくらいですよね?」


 わかっていながら身バレ防止のために素知らぬふりをして問いかければ、「同じ年だ」と瀬良くんが呟いた。そして何故か落ち込んだように視線を落としてしまう。そして。


「同じ年でも、全然違いますね……」


 ぽつりと零された言葉に、思わず首を傾げた。


「違う、とは?」

「……クライルさんは落ち着いているので、とても同じ年には見えないなと思って」


 落ち着いてる……ように見えるらしい。

 きっと俺のなりきり聖職者が功を奏してるんだろうけど、横で話を聞いてた白夜が吹き出した。そういう反応になるよなぁ。


「それは嬉しい評価ですね。でもそう見えるのも偏に我が主の印象を悪くしないための装いであって、私も必死なんですよ」


 ということにしておこう。実際俺のせいでサリスタ様の印象が悪くなったら嫌だし。


「クライルさんの主って、女神様なんだよな? 会ったことあるの?」

「ありますよ」

「どんな神様?」


 ぐいぐい質問してくるのは岩井くん。

 まぁ普通は神様と対面することなんてないだろうし、未知の存在が気になるんだろうな。そう思ったからというのもあるけど、単純に我が主たる女神様を自慢したくなって素直に答える。


「それはそれは美しく、誠実で優しい神様ですよ」


 思い浮かべるのはサリスタ様からかけてもらった言葉の数々。一貫して俺のことを考えてくれてたなぁと思う。

 一方で。


「でもちょっとだけ、抜けているかもしれませんね」


 これはスワイズ様たちも言ってたことだから間違いないだろう。

 実際、地上に降りる直前にスワイズ様やストレイル様、テックス様が声をかけれくれなければ、今ここに俺はいなかったかもしれない。あの三柱の神様が助けてくれたおかげで余裕を持って地上を歩き回れるのだと、改めて実感する。


「抜けてるって……神様なのに?」

「神様にも性格というものがありまして」

「神様の性格、ですか」


 興味が湧いたのだろうか、瀬良くんが話に加わり、鈴木さんも興味津々でこちらを見ている。

 けど、どこまで神々の情報を出していいかわからないから──


「私の知る神々は今回手を貸してくれている五柱の神だけですが……どなたも信頼できる頼もしい方々ですよ」


 一柱思うところはあるけども、そんな感じで話を締め括った。




 その後はソアル皇子やティエラ皇女を交えた交流という名のお茶会が開かれたり、一ヶ月ほど眠りっぱなしだったふたりのリハビリを兼ねた鍛錬に付き合ったりしているうちに一週間が経過していた。


 ちなみに瀬良くんたちの師匠として呼んだミニスとレニィさんはまだ現れない。と言ってもロイヤーが駆けつけるのが早かったのはラクロノースの遣いだったからだろう。ゼケットさんが使ったような空間転移の奇跡で送ってもらったに違いない。

 なのでミニスとレニィさんが到着するのを気長に待ちつつ、ふたりが到着したら魔晶石を集めがてらミールグレス王国を探りに行こうかな、なんて考えていた……のだけども。


「勘を取り戻したいので、魔物討伐に行こうと思うんです」


 やる気に満ちた顔つきで意思表明してきたのは鈴木さん。隣にいる岩井くんもうんうんと頷いている。

 瀬良くんだけは冷静で、「この国はエインルッツより魔物が凶暴だって話だし、もう少し鍛錬してからがいいんじゃないかな」と至極真っ当なことを言っている。


「瀬良くんの心配もわかるよ。けどクライルさんがいるうちに魔晶石の集め方とか、どのくらい強い魔物を相手にしたらいいのかとか訊いておきたいの」

「俺も同意見」


 なるほど。

 ふたりが言いたいことはわかる。瀬良くんの言いたいこともわかる。さて、ここはどう応じるべきか……。


「付き添ってあげればいいじゃん」

「やっぱりそうなるか……」


 さらっと言ってのけたのは白夜だ。俺が悩んでいると毎回のように最終的に俺が出しそうな結論を口にする。悩むだけ無駄、と毎回諭されている気がする……いや、気がするんじゃなくて諭されてるのか。わかっちゃいるけどこの優柔不断はどうにもならない。

 瑠璃もぷるんと揺れて「協力するよ!」という意思を伝えてきた。


 ……うん、このふたりが協力してくれるなら恐いものなしだな。


「わかりました、付き添いましょう」

「やったぁ!」

「さすがクライルさん!」

「ご迷惑をおかけします」


 俺の返答に、三者三様の反応が返ってきた。

 でもまぁ、確かに最後にはこの結論を出しただろうなという自覚はある。だって自分の目の届かないところで三人に何かあったら嫌だし、気になって落ち着かないだろうし。だったらついて行った方が安心だ。ついでに三人の実戦での実力も見れて一石二鳥。

 よしよし、いい決断をした。白夜に促されたからだけど。

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