148:vs碧の国王ブルーセス6
無我夢中で突進する勇生の周りの景色は、まるで絵の具が滲んでいくかのように歪んで混ざり合い、時間の流れすらも捻じ曲げていくようだった。
ーカルマンと戦った時もそうだったが、油断すれば一瞬で意識が遠のいて、2度とこの世界へ戻っては来られないような気がする。
そもそも”光”程の速さになれば時間の進みすらも追い越すのだ。勇生はそれを知らなかったが、自分の身体が時空の歪みに飲まれそうになっているのを感じて、初めてその技に恐怖を抱いた。
ー存在が、消し飛ぶ。
肌から伝わる恐怖で無意識に進む速度を緩めた瞬間、ようやくその声は聞こえた。
『ー来るな、この阿呆!!!!!』
ーメルル!!
勇生は驚き止まろうとしたが、ブルーセスの”気配”はもう目前だ。止まれない。頭上に構えたままの剣を、捉えた気配に向かって思い切り振り下ろしながら、勇生は誰かが足を掴んだのを感じた。
『止まれ、って!!!!!』
その声は間違いなくメルルだが、別人のような口調だ。それに僅かに違和感を抱きながら、勇生は足首を掴むその力に抗うように身体を捻る。
あと僅か、あと僅かなのだ。
ー技が完成する。
そう。技が・・・。
何の技だ?
また違和感を感じて勇生は目を見開きブルーセスの、底の無い程暗い気配をもう一度視た。
間違い無い。朧げに浮かぶその輪郭は、間違い無くヤツだ。
迷うことは無い。
言い聞かせるその言葉すら、自分のものなのか誰かのものなのかわからないまま、勇生は全力を振り絞って、その剣を振り下ろした。
『あぁ・・・。』
その瞬間ため息と共に吐き出されたメルルの無念の声を、歓喜に満ちた誰かの声色がかき消す。
『時空の旅人よ。』
勇生の剣がブルーセスの輪郭を斬ったのと同時に、バリバリと轟音が轟き空間が大きく切り裂かれた。
驚いて見上げると、そびえる樹の枝上から部屋の床まで、大きな空間の裂け目のようなものが出来ている。まるで勇生の辿った軌跡を示すかのような、稲妻のような形の黒い裂け目が。
その隙間から、得体の知れない化け物が出てこようとしていた。煤のように黒く巨大な化け物。
『何だよ、これ・・・。』
呟く勇生の隣で、同じように呆然と化け物を見つめながらメルルが呟いた。
『・・・五月蝿いんだよ。どう動いたって結局、こうなるんだ・・・。』
ーーー
大変更新遅くなりました・・!
短いですが投稿しておきます。




