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はじまりと、おわり
わたしはまだ、あのシロツメクサが一面に咲く花畑を覚えている。
それは曖昧な記憶だけれど、わたしにとっては何ものにもかえがたい大切な思い出だ。
あの真っ白な花の色はいつまでも忘れることはないだろう。
きっと、あの白い色こそが全ての始まりで、全ての終わり。
それは誰にでもひとしく訪れるもの。
ひどく冷たい色をしているんだと思っていたけれど、それは歪な視点だったことに気づくのは簡単なことじゃなかった。
悲しみの中にある冷たい色はどれもこれも優しい色をしているのだ。
あのシロツメクサのように。