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17オブザデッド


 淳なる平の魔術師と、悪なる焔の魔術師。


 王国の城下町前での戦いは、チホウの町での戦いとは逆の立場になった展開だ。


 中に入りたがる遊撃隊と、通行止めにしている四天王のふたり。


 両者、命を削ったまさに死闘と呼ぶにふさわしい戦いだった。



 闇金の広報係のブリュンは、呪符を武器に「お金、お金どうです? 借ります?」と迫ったが、淳なる平の魔術師が借りなかったためもはや打つ手はなく殺された。外見が九尾の狐って強者感がぱないんだけど、なぜ職業が闇金なのか……。


 盗賊のシルビアは短剣二刀流で一気呵成に攻め立てる。しかしあと一歩届かず、焼き尽くされた。しかし本隊への道は築いたのだから、彼女は本望だったのかもしれない。


 ウイハル・ミツバは裁判官だ。「有罪! 有罪!」とまくし立てて四天王のふたりを嫌な気分にさせたが、しかしそれだけだ。殺されてしまった。


 おちはとんぬら金融に務めていて……ってこれさっきの上のブリュンの勤め先では。金融業が王国奪還に役立つことはなかった。死んだ。


 鈴木はメガネマスターだ。メガネのことならなんでもわかる。だが、戦いに限ってはあまりよくわからない。よくわからないまま首を傾げて焼かれて死んだ。


 神官びしょっぷはそんな戦闘に特に秀でてはいない仲間たちを一生懸命癒やし、守り、自ら前線に立っていたけれど、さすがに四天王ふたりの相手は荷が重かった。魔力で圧倒され、灰になってしまった。


 ぬでるは探偵だ。探偵は四天王の顔をじっと見つめ、そして真実に気づいてしまった。そうか! この四天王は■■■が■■の■■となる■■を作るべく■■した存在なのでは──。真実を見抜いた彼はそれを誰に話すこともできず、炎によって溶かされた。


 ヒルデンブルグは魔女っ子(38歳)だ。その魔力は高く、悪なる焔の魔術師と競るほどの腕をもっていたが、しかし横合いから現れたスケルトンに胸を刺し貫かれた。ムチムチプリンな胸をだ。


 変態仮面は詐欺師(トリックスター)で、口八丁手八丁で敵を倒すらしい。でもこのときばかりはその姿に仲間がドン引きしていたので援護を受けられずに殺された。やはり人は見た目が9割なのかもしれない。


 〆鯖は賢者なのだが、くさそうで武器がわさびだ。もう整合性がないからよくわからない! お前なんて焼かれて焼き鯖になるがいい! 焼き鯖になった! おいしい! やったね!


 

 うわあ、遊撃隊まだ五十人いるんじゃが……。


 がんばれ、がんばれ四天王……!



 軽業師のくーろり、藍色は双剣を手に四天王を斬り裂く。浅い、だが確実なダメージを与えた。へっへっと笑ったまま、シルビアとともに焼かれて散っていった。


 あーくらいとが一同を後方から魔法で支援する。その身を守るのは海豹のあぐ@あざらしだ。直方体に手足が生えている、ヨーグルトの容器をかぶっているナタデココもあーくらいとの支援に回っている。さらにはブラック企業の戦士、Mr.Bもいた。ブラック企業から待遇改善を求めて、王国軍に入ったのだ。


 スケルトンやゾンビを近づかせない布陣を厄介に思った四天王は、協力して合体魔法を組み上げた。阻止するためにこしあんが動いたが、彼はただの男子高校生でモブだったため、ストーリーを変えるような力はなかった。


 あーくらいと、あぐ@あざらし、ナタデココ、Mr.B、こしあん、の五人が闇に飲み込まれた。そのまま帰らぬものになってしまう。


「な、なんて力なの……」


 座敷童のたんぽぽが歯噛みする。四天王はダメージを受けているものの、まだ平然としている。強い。創造神よりもずっと強い!


「……ええい、こざかしい」

「すべてが平になるがいい!」


 淳なる平の魔術師が繰り出した渾身の重力魔法が空間に小さなブラックホールを創り出し、辺りをまるごと飲み込んでゆく。


 まずたんぽぽが飲み込まれた。次にコミュ力のある暇なニートが飲み込まれ、バトルマスターのヒレ改が幼子を助けて犠牲になった。日雇いのベーが「メガネ!メガネ!」と手をうにょうにょさせながら、ぺっしゃんこにされる。


 可愛らしいペンギンのペンギンレイムはその可愛らしさで一瞬、悪なる焔の魔術師をもときめかせたが、しかし魔法を放ったのはもう片方の四天王だったため為す術もなく飲み込まれた。


 ワープアのまけぐみ(名前です)は、無精髭とヨレヨレのスーツでそこはかとない人生負け組的な雰囲気をしていて、武器は履歴書と擦り切れたビジネスバッグを持ったまま重力に飲み込まれて……これファンタジーのお話なんだから、せめてもうちょっと夢見たキャラを作れよ!


 幸運ニートのトニー子は、メイクをすると天使系超美少女素顔は和風系超美人胸は絶壁、ピンクのふりふりドレス、トレードマークは一般人に見えるレベルの色々な幽霊(装備品)(原文ママ)という色々てんこ盛りだったが、全てまるごとブラックホールに引きずり込まれた。人間、死ねば一緒だよね!


 1話で名前だけ出てきた筋肉 良雄もいい筋肉をしていたのだが、潰された。これから減量の心配はなくなりそうだ。


 その重力球を切り裂いたのは、暗黒騎士であった。黒の甲冑に黒のマント。兜の隙間からは紅の双眸が炯々とした眼光を放っている。着込んだ甲冑の下に実体はなく、生に執着する怨霊である。ゾンビは肉体があるだけマシだと羨ましがっている。(原文ママ)


「まさか、お前は元四天王の……?」

「──」


 暗黒騎士はなにも言わず仲間を守るために戦う。悪なる焔の魔術師が仕掛けた炎の魔法の中でなお、黒の駿馬にまたがり剣を振るい続けたその男は、悪なる焔の魔術師の右腕をもっていき、虚無へと消えていったのだった。


「……ちっ、ザコのくせに……」

「ザコかどうかは試して見るんだな!」


 雨乃時雨が暗黒騎士の落とした剣を拾い、さらに悪なる焔の魔術師へと斬りかかる。斜めに切り裂き、血が舞う。悪なる焔の魔術師は苦悶の声をあげながらも、雨乃時雨を爆散させた。


 ウニみちながは手負いの方を狙うことにしたようだ。オンリーカードのグリスを用いて、足を接着させて動けなくする。ちなみにオンリーカードというのはわたしの書いたコメディ小説『俺たちのクエスト』に出てくる主人公マサムネが使う魔法です。こちらも完結済みで面白いので、まだの人はよかったら読んでみてね! と宣伝しているうちに殺されていた。ごめん。


「ああ、もう、ザコが! 鬱陶しいんだよ!」


 悪なる焔の魔術師の全身が爆炎に包まれる。これでは近づくことすらできないだろう。腕をふるっただけで、世界で一番有名な配管工が灰になった。くそう、どうすればいいんだ!


「えい」


 モブがいた。兵士で鉄の剣をもつそのモブは、モブらしき以外さを発揮し、なんとストーリーを動かした。運命が彼の味方したのだろう。


 剣を胸に差し込まれた悪なる焔の魔術師は死を吐き、絶叫とともに消えてゆく。


 

 残る四天王はあとひとり。


 淳なる平の魔術師は形勢不利と見ると、身を翻した。


「ここは、出直して──」

「どこへゆく」


 その首が根本からもがれた。


 新たに現れたのは、さらにふたりの魔術師だった。


「四天王がひとり、焼肉の伝道師の魔術師、左リュウ」

「同じく四天王がひとり、switch買った魔術師、笑うヤカン」


 サーバルちゃんが叫んだ。


「四天王なのに六人いるーーー!!」


 遊撃隊の戦いは、まだ続く──。



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