15オブザデッド
洞窟を出ると、そこは王国が見渡せる高台の上だった。
殿下が階下を見下ろす。
あれほど美しかった国土はアンデッド軍団に踏みにじられ、もはや見る影もない。草木も枯れ、透き通るような泉は毒の沼地になってしまっている。
「……父上、母上、どうか見ていてください。わたしがこの国を取り戻します」
(ここでゼルダの伝説の、てってーてってれれれー、てっててれれー、ててれれてってってーの音楽が流れるので、読者の皆さんは感動してください)
決意を秘めた瞳で戻ると、職業ハリーポッター、武器ハリーポッター、外見ハリーポッターのハリーポッターが背中を叩いてきてくれた。
「……それじゃあ、行くかい?」
「いえ、少し休んだあとに向かおう。ここを過ぎたら、もう休憩する場所はないと思うから」
殿下はそう告げた。
ここから先は完全に魔術師の支配下だ。いったいなにがあるかわからない。慎重に慎重を重ねていくべきだろう。
撃てる宝具も、あとふたつだけ。グングニルの槍と、イージスの盾はできればネクロマンサー戦までとっておきたい。
「それじゃあ、作戦会議をしよう」
集まったのは警備部隊長のザミナント、神官のびしょっぷ、魔導師のあーくらいと、そして盗賊のシルビアだ。
「城をどう攻めるかっていう話なんだけど」
「正面からの突破は難しいだろうな」
ザミナントが言う。
「王国は守りやすく攻めにくい立地だ。アンデッド軍団は内側から住民をゾンビにして攻め込んできたが、こちらからはそのような手段は取れない」
「部隊を分断して、ゾンビをおびき寄せる役と、中に侵入する役。二手に別れる必要がありますな」
びしょっぷが告げた言葉に、あーくらいとも同意した。
「遊撃隊の危険は大きいでしょうけれど、私たちの目的はネクロマンサーを倒すこと。黒幕さえ倒すことができれば、ゾンビも土に還るはずですから」
「侵入経路はあたしが調べとくよ。任せて」
言うやいなやシルビアは姿を消した。
殿下は目をつむる。
「……また、犠牲が出ちゃうのかな」
あーくらいとがその肩に手を置いた。
「仕方ないです……とは簡単に割り切ることはできませんが、殿下。彼らは王国を救うために集まった勇者たちです。王国を救うためにその命が礎になるのなら、本望でしょう。……もちろん、私もですよ」
「俺は死ぬのはまっぴらゴメンだが、誰も死にたくて死んでいるわけじゃないからな。殿下、俺の命はアンタに預けているんだ。無駄遣いはよしてくれよ」
殿下は小さくうなずく。
「……うん、約束するよ」
ルートは決まった。遊撃隊が城下町を荒らし回り、その間に本体が城を攻め落とすという算段だ。
それでは早速、部隊編成に行くとしよう。
遊撃隊の人数は60人。誰もが死地に赴く覚悟をもっている覚悟の義勇兵だ。
もうみんなの死に様をちゃんと描くよぉーとかお花畑みたいなことは言っていられない! もう一話10人ずつ殺しても間に合わないペースになっているんだ! 遊撃隊は殺す、一話200人ぐらい容赦なく殺すぞ!!!
殿下は優しいこと言ってるけど、作者は追い詰められているんだ!!!




