015 さぁ、ボクの快適な生活のために存分に働くがいいよ!
迷いの村に初めてのパパが出来てから早五年。
月日が経つのはまったくもって早いものだね。
ボクよりもちっちゃかったあの赤ん坊も、もうボクと同じくらいまで大きくなっている。
ついでにベビーラッシュというか、一人が許可されたことにより連鎖的に妊娠する奴隷が増えて、今では子供が五十五人。妊娠中の奴隷が二十三人という有様だ。
まぁこうなるだろうとは思っていたし、そのための準備もしていたのだから問題はない。
合意の上であるのかどうかは定かじゃないけど、家畜一号が総責任者だし品質に問題がでなければボクとしては特に言うことはない。
各街のMP買取屋や娯楽道具の販売なども順調だ。
娯楽道具も神魔通販で日本製の見本がいくらでも手に入るし、ボクが知らない物でも検索すれば出てくるから新商品には事欠かない。
今では迷いの大森林周辺だけでなく、色んな国に輸出されているらしいよ?
詳しくは知らないけど。
各街にあったスラムも今や娯楽道具を作る工場が建てられ活気に溢れている。
仕事に就けず、かといって迷いの大森林に行く勇気も力もない人間が大量にいたので、工場の人手は簡単に確保できた。
近隣の村からもわざわざ出稼ぎに来ている人間もいるくらいだ。
迷いの村で行われているのは新商品の製造方法の確立と、指導役の教育。
指導役が各街へ派遣されて新商品が作られるといった形になっている。
迷いの村の人口もこの五年で千人に届きそうな規模になったので、当初の予定通りに村を二つに分けて対応している。
各事業も順調だけど、迷いの大森林の外層へやってくる侵入者の数は年々減少傾向にある。
迷いの大森林に森の恵を採りに来ていた村人たちは各街の工場へ出稼ぎにいっているからだ。
迷いの大森林で森の恵を採るのは命がけだ。
だが工場でなら命をかける必要はない。今までは街でも仕事がなかったのだから仕方なかった面もある。
金銭面では森の恵を採る方が高いのもあって、外層の侵入者がいなくなるということはないが、それでもやはり減少傾向だ。
外層より奥に侵入してくる人間は若干増えているように思うが、実力が伴わなければ魔物に殺されるだけなので大きな変化はないようなきがする。
街で情報を集めている奴隷や教育済みの冒険者の報告では家畜一号のような一攫千金を夢見て奥地に行こうとする冒険者自体は増えているらしい。
でも結局は外層より少し奥程度で諦める者ばかりとなってしまっているそうだ。
奥地にやってくる冒険者はこの五年でだいぶ確保して教育してしまったのも原因かもしれない。
おかげで手駒は増えたけどね。
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快適な環境をこの世界で実現しようと色々頑張ってきたけど、上をみればきりがない。
でも今更水準を下げることもできないボクがいる。
ついつい新しい商品に手を出してしまい、戻れなくなっているのだ。
だって神魔通販のラインナップは素晴らしいんだもの。
MPだって無駄遣いしても大丈夫なくらい毎日集まってくる。
色んな商品に手を出しちゃうのは仕方ないことだよね。
特に最新ゲームがやばいね。
バーチャルリアリティがもうそこまできてるよ!
そのうちゲームの中に入れそうな気がする。
あ、でもボクのいる世界はそんなゲームのような世界だったね。
まぁそれはそれ。これはこれで!
それに最近また神魔通販のランクが上がって地球以外の世界の商品も少しだけ買えるようになったんだよね。
いやぁこれがまたなかなか興味深いものが多くてついつい……。
というわけでそろそろ勢力を拡大する時期がきたとボクは思うのです。
迷いの大森林周辺の村や街にはMP買取屋がしっかりと設置されている。
でもそれ以上遠くとなるとまだまだだ。
「というわけで道の整備計画を実行するよ!」
「領主への手配はすでに完了しております」
「人員の手配も十分に」
未だ移動手段が馬車と徒歩が主流のこの世界。
遠くへ行くには時間も費用もかかってしまう。
新たに購入できるようになった大容量蓄魔結晶があるとはいえ、やはり輸送時間の短縮はやっておいて損はない。
荒い道でも苦にしない車を購入して運用してもいいけど、今後を考えれば道を整備した方が色々と、ね。
今回も家畜一号が主導する計画ということになっているので領主も諸手を挙げて大歓迎。
大きな事業になることは明白なので、人員は国内外からたくさん集まってくるみたい。
これでまた家畜一号の名声が高まるのかな?
使い勝手がよくなるからいいんだけどね。
さぁ、ボクの快適な生活のために存分に働くがいいよ!
完




