必然的なフラグ
レンは目覚めた。目の前には白い天井があった。どうやらここは病室らしい。
「あ、目が覚めたか。」
雪の軽快な声が聞こえた。
「お前、一時間も倒れてたんだぞ。心配したぞ。」
「いや、早いほうじゃね?一時間で起きるのは。」
他愛もない会話を二人は続けた。気付けば夕日が差し込んでいた。
「もう夕方か・・・・・・・・・・じゃあ俺、バイトあるから帰るわ。」
そう言って雪は病室を出た。扉が閉まると駆け出す音がした。多分時間ギリギリなのだろう。
「ホント、雪はいい奴だよ・・・・・・・・・・あれ、そもそもアイツがランク戦に届けを出さなければ何もなかったんだよな?」
そんなことを考えていると、病室の扉が開いた。そこにはリオンが立っていた。
「や・・・・・・・・・・やあ、お、お久しぶり」
おぼつかない言語で話しかけてきた。その手には花を持っていた。多分見舞いにきたのだろう。
「よお、そうだった。お前に聞きたいことがあるんだが・・・・・・・・・・」
レンは聞きたいことがあった。
「あのランク戦、結局結果はどうなった?」
あの最悪の戦いとなったランク戦、レンはこの結果が知りたかった。
「ああ、それはだな・・・・・引き分けだ。異例の結果だが、まぁ妥当だろう。」
淡々とリオンは解説をした。そしてリオンは何かをおもいだしたかのようにレンにあることを聞いた。
「そういえばお前・・・・・何故、僕の魔法を使っていたんだ?自分の魔法は?」
確信をついた質問だった。
「無いよ、そんなの」
レンは思ったことをそのまま声に出して返した。
「お前、儀式とかしたことあるか?」
「ないよ」
リオンは恐れおののいた。
「おま、・・・・・・・・・・だからあんな不安定だったのか・・・・・・・・・・よし」
そう言ってリオンは立ち上がった。
「歩けるだろ?表にでろ。」
そう言ってリオンは病室を出た。レンは言われるがまま、ついていった。
・・・・・・・・・・単なる貧血なので歩けた。
外に出るとリオンが待っていた。
「よし、じゃあ簡単な儀式をしよう。」
そう言ってリオンは地面を指刺した。
「地面に手をつけろ、そして両手に自分の『物理的以外の力』を加えろ、そうすれば儀式が完了する。」
リオンは簡単な説明をした。そしてレンはあることを質問した。
「これ、失敗する確率何%だ?」
結構気になったのだ。人間は普通疑いから入るので当たり前なのだが。
「んーと・・・・・83%だな。まぁなかなか失敗しないだろ。」
レンは安心感を得られた。なんせここで99.9%成功するなんて言われたら、死亡フラグになるのだから。
「よし、わかった。始めるぞ。」
レンは地面にてをつけ、物理的以外の力を加えた。すると、レンの意識は遠のいていった。
「・・・・・・・・・・よし」
リオンは目的を果たした。元々レンの見舞いなどがリオンの目的ではなかった。リオンの目的はレンが意識を失った時にでる・・・・・・・・・・
そう言ってる間に辺りは暗くなった。あの黒い霧である。時間的にもうすぐ夜であるため、周りからも怪しまれない。
「・・・・・・・・・・またお前か。」
リオンの前に人影が現れた。レンでは無い何かであった。
「お前に聞きたいことがある。」
リオンは気合いを入れたかのように顔が変わった。
「なんだ?聞きたいこととは?」
レンでは無い何かも顔が真面目になった。
「それはな・・・・・・・・・・お前の名前だ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
レンでは無い何かの表情が崩れた。
「という訳で考えてきたぞ。お前の名前は闇の茨葉だからヤミバラだ!」
何か・・・・・・・・・・自信あり気なリオンに、レンでは無い何かは呆れた。
「それを言いに来ただけかよ・・・・・・・・・・」
「ああ、そうだ。それだけだ。」
リオンは、はっきりと答えた。まぁ誰でも呆れるだろう。
「ああ、うん。わかったよ、じゃあそれでいいよ。」
棒読みで、とても力のない返事をした。今回の霧は薄かったため、顔がみえたのだ。
「よし!じゃあこれからよろしくなヤミバラ!」
リオンは手を出した。
「・・・・・・・・・・ああ、よろしくな。今日は疲れたから帰るわ。」
そう言ってヤミバラは、レンの中へと入っていった。
「ふぅ・・・・・・・・・・やりたいことも終わったし、そろそろこいつの儀式も終わりそうだな。・・・・・・・・・・83%って言ったけど、実際は99.9%だからなー・・・・・」
そう言ってリオンは帰る準備を始めた。
20分経ってリオンはレンの様子を見に行った。するとレンはそこにはいなかった。
「あいつ、もう儀式終わったんだな。僕に何も言わずに帰ったのか・・・・・・・・・・帰ろ。」
リオンは少々怒りながら独り言をいい、せっせと帰って行った。
その頃―---------
レンは目覚めた。少々体が重たかった。やはり全治とはならなかった。レンは周りをみた。辺りはぼやけていた。
「ここは・・・・・・・・・・?」
前にも言ったようなことを言いながら立ち上がった。
遠くから声がした。その声はだんだん近くなっていた。
「アハハハハ、アハハハハ、アハハハハ!」
不気味な笑い声にレンは驚いたが、何かぼやけてみえた。金色の長髪の男がこちらに走ってきていた。
「女子!女子!女子!おなごぉぉぉぉぉ!」
だんだんレンは青ざめていった。
変態か?変態なのか?逃げた方がいいのか?
そんなことを考えているうちに近くまでやってきてしまっていた。
「おなごぉぉぉぉぉ!おな・・・・・・・・・・・・・・・」
二人は目があった。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙が続いた。長髪の男は先ほどまで笑顔だったが、急に真顔になり、レンを指でさした。
「お主は、男か?」
レンは突然の質問に戸惑った。
「あ、ああ。男・・・・・・・・・・だ。」
すると、長髪の男が拳を握りしめた。
「男か・・・・・・・・・・女ではないのか・・・・・ならば死ねぇぇぇぇ!」
「え?」
地面から大量の植物が生えてきた。それは硬質化し、レンを狙い攻撃してきた。
何気に絶対絶命となったレンであった。