文芸少年
「あ・・・・・・・・・・れ?」
そこは辺り一面真っ白な場所であった。この空間にぽつんと一人の青年がいた。
青年は戸惑っている様子であった。
「どこだよここ・・・・・」
そんなことを言いながら青年はこの白い空間を歩き出した。前も後ろも左右もわからないこの空間で青年は歩き続けた。ある程度の距離になったとき、青年は何やら光り輝くものを見つけた。それを青年は触ろうとした。好奇心は踊っていた。
「よし、これが何か確かめようとするか・・・・・違うぞ、決して違うぞ。好奇心に負けた訳ではないからな、わかったな。」
誰もいないのに言い訳を言いながら青年は光り輝くものを触った。すると青年の体は光に包まれた。
「ナマ・・・・・エ・・・・・」
突然光の中から声がし、青年は戸惑った。が、青年はその質問に答えた。
「俺は蓮・・・・・・・・・・茨葉 蓮だ。」
名前を言った瞬間、光は強くなり、レンは意識が飛んだ。現実世界へと、
「・・・・・・・・・・」
レンは布団の上にいた。レンは辺りを見回した後、溜息をつきながらとても弱々しく飽きれた声で叫んだ。
「夢オチかよ・・・・・・・・・・」
とても残念な夢で目覚めた茨葉 蓮、レンは夏休みが終わり、登校再開日の今日、とても重い足取りで学校へ急いだ。途中、幼なじみである雪と音音と合流した。他愛もない話の後、レンがあることを質問した。
「なぁお前ら、妙にリアルな夢とか・・・・・見たことあるか?」
レンは今日の夢オチの記憶を払拭しようと二人に質問した。
「あー、いわゆる正夢みたいなやつ?」
雪はとても早いスピードで答えた。
ついでに言っておくが雪は男である。
「いや、そうじゃなくてなんていうか、別世界に飛ばされたみたいな」
レンは精一杯表現した。ジェスチャーも加えて。
「ナニソレ?小説の読み過ぎでしょ。」
音音はすっぱりと答えた。
「なんだと?小説家の読み過ぎ?いいじゃないか、俺の将来の夢は小説家だからな。」
レンは自信満々の答えをした。
「「ふーん・・・・・」」
雪と音音は興味が無さそうに返事をした。雪と音音はレンをほうっておいて二人で会話をし始めた。
「はぁ、やっぱり魔法って難しいね。」
「なに言ってんだよ。呪式も難しいぞ。」
少々アブノーマルな会話にレンは飽きれた。
なんだよ、お前らはアニメの見過ぎだろうが、そんなことを考えながら学校へと向かった。学校が近づいてきた。そのとき雪がある質問をした。
「ねぇ、レンはランク戦とか出ないの?」
ランク戦?レンはそう思いながら聞いた。
「そう・・・・・だな、出てみたいな。」
レンはめんどくさくなった。こんな厨二病についていけるか。と思った。
「わかった。じゃあ入れておくよ。」
と雪が言った。
「え?」
レンは、雪が言った言葉が理解できなかった。雪はそんなレンを露知らずしゃべり続ける。
「だってレンは魔法も呪式もマスターしてるから文芸の授業選択したんでしょ?」
レンは飛んで言った思考が元に戻った。
・・・・・え、マジで?そんなの存在するの?
レンの頭は混乱した。
確かに俺は文芸の授業を選択した。だが、俺の夢は小説家、選択するのは当然だ。他の事にあれこれする暇はない。
「なぁ、聞いてるか?とりあえずランク戦に応募しとくよ。」
レンは我に帰った。しかし、止めることはできなかった。雪はスマートフォンを取り出してメールを送信していた。レンはその行動が気になった。
「ユキ、何やってんの?」
「え?ランク戦の申請だけど?」
レンはもう何がなんだかわからなくなった。だが、まだレンは疑っていた。だが、その期待は一瞬にして破れさった。
なんせ学校の方で大きい音と共に、巨大な氷塊が現れたのだから。
レンがとった行動は結構誰もが考えることだった。
「ごめん俺、早退するわ。」
現実逃避であった。レンはそう言うと結構な早さで家路へと帰った。
「あ、待てよ。まだ学校着いてないから早退じゃないぞ。」
雪の冷静なツッコミは、レンには届かなかった。
レンは家に着くとすぐさま自分の部屋のベッドに寝転がった。
これは夢だ。これは夢だ。これは夢だ、そうだよあの夢の続きだ。
そう念じながら目を閉じた。すると、向こうから呼ばれたかのように早く眠りについた。
そして、再びあの白い空間に立っていた