暗闇の中、君を思ふ。
女は男を愛していた。だが最近男は冷たい。女は深い深い不安と悲しみに襲われ、本当に自分を愛しているか試そうと浮気をした。男は止めてくれるだろうと思っていた。
だが、男はあっさりと離れた。女は失望し、やけになった。気がつけば心も身体も壊れていた。男もその時浮気をしていた。女と同じように心も身体も壊れてしまった。
ある日、男と女は街で偶然出会う。何も言わずに二人は抱きしめあい、互いの存在の大切さを知った。浮気をしたことを後悔した二人は何度も身体を重ねあった。
二人は互いを染めながらも壊しあった。毎日毎日、公園や図書館など場所など関係なく、気付かれないように愛し合った。
女はもう浮気なんかしないと誓っていた。だけどある日、別の男を好きになってしまった。その男は女の知り合いでもあり、男の知り合いでもあった。女は浮気をしないと思っていたが、浮気をしてしまった。「好き」「愛してる」戯言に近い言葉を紡ぎ、抱きしめあった。
浮気相手は男に女のことを話してしまった。男は嫉妬し、怒り、女を殴ろうとした。だが、浮気相手が女を守ると言い出した。女は男から離れ、浮気相手に依存した。だけど男とは連絡を取り続けた。
苦しいと思いながらも女は浮気相手と身体を重ねあった。女も浮気相手もボロボロになっていた。気がつけば右手にはカッターを持っていて二人の左腕は紅く染まっていた。
「「死んでしまおうか」」
同時に紡いでいた、真っ黒な言葉。二人は見つめ合い、互いの腕や身体を同時に切り刻み、刺した。意識が持つまでやり続けた。
その後、その家からは紅く染まった男女の遺体が発見されたという。