第?話
リオはルドルフの目を見て話始めた。
「失礼ながら、あなたの家にあった本…読みました。ルドルフさん…あなたは禁忌を犯している」
ルドルフは手に持っていた柄杓を地面に落として小刻みに震えだした。
「言わないでください…言わないで…」
「シーラさんは人間ですね…」
「言うなーーーーーー!!」
唐突にルドルフは理性を失い、リオの服の胸倉を掴んだ。
「違う!シーラは人間なんかじゃない…エルフだ!」
「ルドルフさん!!わからないんですか!!」
リオは冷静にルドルフの瞳を見つめ続けた…ルドルフはガチガチと歯を鳴らす。
「シーラさんは戻ってこない…シーラさんの死体をラウの木の下に埋めても、シーラさんはエルフになって生き返ったりしません!」
リオは胸倉を掴むルドルフの腕を両手で強く掴んだ。
「間違ってなんかいない…神の木の下に人間の死体を埋めると、エルフになって生き返ると本に書いてあったんだ」
リオは目を細めて答えた。
「確かに本の折り目には『人間をエルフに変える方法』と書いてありましたが、あれは神話です…」
「やめろ…!神話だと…あの本が神話なら、ラウの木を否定することになる」
「そうです…ラウの木はただの木です。もともと神の木などこの世に存在しません…」
さらにリオは話を続ける。
「誰か、証明できる者はいますか…?」
ルドルフは一瞬黙り込んだが、ハッとした顔で言った。
「先祖が…そう!先祖が端正込めて育てたんだ…あれは、きっと神の木なんだ!」
ルドルフの言葉は虚しく、アンジェラは答えた。




