義姉がやってきた〜婚約者を守る為にうちで囲おう〜
名前を借りました
侯爵子息の私アモンには、愛する婚約者、伯爵令嬢のハトホルがいる。
ある日、ハトホルの母が亡くなり、すぐに後妻と義姉がやってきた。
葬儀の次の日にだよ?
おかしくない?
普通は喪に服すよね?
義姉は婚約者の父にそっくり。
つまり、後妻の連れ子ではなく、後妻とハトホルの父との間の子…愛人の子だ。
ハトホルの父は、愛人を後妻にしたのだ。
愛人がいるのは、貴族にはよくある話だけど…
私の可愛い婚約者より、年上ってどういう事だ?
ハトホルの両親は、数年間、子ができなかったが、やっとできた子がハトホルだと聞いた。
先に愛人と子を作ったのか?最低だな。
よく、先妻の子は虐げられると聞く。
後妻と義姉セクメトが、ハトホルの邸にやって来た時の傲慢な態度を、私もこっそり見ていた。
ハトホルの部屋をセクメトに明け渡せ。
ドレスや宝石をセクメトに渡せ。
ハトホルの部屋は一番狭くて日当たりの悪い部屋だ。
食事は自分の部屋で。
などと喚いている。
「家族3人仲良く暮らしましょう」
奴らは、そんな事を言い出した。
つまり、ハトホルは家族ではないと?
可愛い婚約者が、継母や義姉にいじめられたら大変だ!
うちに連れて行こう!
うちで囲おう。
私は、堂々と玄関から現れ、ハトホルを連れて行くと告げた。
何をトチ狂ったのか、セクメトが私に擦り寄って来た。
「婚約者がいる男に擦り寄るなんて、気持ち悪いな。2度と近付くな」
私は冷たく言い放った。
それからハトホルの部屋へ行く。
部屋を明け渡せと言われたから明け渡してやる。
義姉の部屋にあった、私がハトホルにプレゼントしたドレスや宝石をカバンに詰めた。
私がプレゼントしたんだ。文句は言わせない。
腐っても侯爵令息。
伯爵家の者に、文句は言わせない。
ハトホルの部屋には、ほとんど何も無かった。
血の繋がった父のくせに、何も与えていなかったのか?最低だな。
可愛い婚約者を、我が侯爵家に連れて行く事も、文句は言わせなかった。
それから、ハトホルには2度と関わりませんという念書も書かせた。
絶縁だ。
絶対に元家族とは交流させない。
ハトホルの父は愛人と浮気してたんだから、信頼できない。
絶交して、我が侯爵家全員で、ハトホルを溺愛した。
ハトホルの父は婿養子。相続権は、ハトホルにある。
私は父に頼んでいて、ハトホルの後見人になってもらっていた。
ハトホルの母が伯爵であり、後見人がいれば、未成年でも相続できる。
我が侯爵家は、伯爵家と縁戚だし、ハトホルの母からハトホルの事を頼まれていた。ちゃんと書類も用意してある。
領地経営もハトホルの母から教わって、ハトホルがしていたし、王家にもハトホルの相続権を認められていた。
父が後見人として手続きをして、ハトホルが伯爵家を継いだ。
ハトホルの父には元々、相続権は無い。伯爵家の血を引いていないから。
ハトホルの父は、その事を知らないのか、忘れているのか。
自分が伯爵になったつもりでいる。領地経営もしていないくせに。
伯爵家の執事や家令達に伯爵家に来た手紙や書類を、我が侯爵家の邸に持ってきてもらい、執務をした。
伯爵家の領地経営を、普通にこなすハトホル。
私は、侯爵家の次男だから、伯爵家に婿入りする予定だった。
いつ、どうやって、寄生虫を追い出すかな?
伯爵家を継げない男と、後妻に入った女と養子になった女。
真実を知った時、どんな顔をするかな?
人の家の金で、贅沢な食事をし、ドレスを買い、宝石を買う。
後からきっちり請求するから、いくらでも使えば良い。
使った分だけ、地獄に近付く。
奴らは、1ヶ月で、伯爵領の年間収入以上の金を使い込んだ。
伯爵でも無いのに。無知って怖いね。
王家に訴え、王家から騎士団がやってきて、奴らを捕らえた。
「私は伯爵だ!」
ハトホルの父が叫んだ。
「貴方は、前伯爵の婿で、伯爵位は継いでいない。それなのに伯爵家の金を私的流用して横領した」
騎士の前に文官が現れ、言った。
「何だと?」
ハトホルの父は、驚いた。本当に知らなかったんだな。
「貴方は伯爵ではない。伯爵は、前伯爵の娘が継いでいる」
「はぁ?あいつは未成年だ!私が代理伯爵だ!」
「侯爵家の後見人がいるから、国王から相続を認められた。国王から代理は認められていない。そもそも貴方は代理の手続きすらしていないし、相続権もない」
「はぁ?」
「あとは、城で話を聞く」
奴ら3人は城の貴族牢へ入れられた。
1ヶ月間に使い込んだ金額を全額返還するように王命が下った。
勿論、返せるはずもなく、鉱山送りになった。どんなに働いても、給料のほとんどを借金返済に回され、生活は豊かにならない。
勝手に使い込んだのが悪いのだ。
「家族3人仲良く暮らしてくれ」
元家族の末路を、ハトホルには言わなかった。
ただ、引っ越したみたいだから、伯爵邸に住もうか、と言ったら、ハトホルは喜んだ。
勿論、奴らが使った家具は汚いから、壁紙から家具から全て取り替えた。
使用人達も、奴らが没落するまで我慢させたので、特別手当と数日の休みを交代で与えた。喜んでもらえた。
可愛い婚約者に仕えてくれていた使用人達だから、当然だ。
可愛い婚約者が成人したら、結婚する。楽しみだな。
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