鉄拳制裁(自分に)と、黄金のジャージ許可証
1. 獅子堂、猛省する
「……ひっ、うぅ……っ。管理なんて……自由がないよぅ……」
ゆうが腕の中でポロポロと涙をこぼした瞬間、獅子堂の心臓を鋭い痛みが貫いた。
(……俺は、何を……!)
純粋に守りたい一心だったはずが、気づけば恐怖を与えていた。家元の教育で「完璧な管理」が染み付いていた獅子堂だが、ゆうくんの涙は彼にとって何よりも重い罰だった。
「……すまん。ゆう、泣かないでくれ。俺が悪かった」
獅子堂は慌てて腕の力を抜き、ゆうの目線を合わせる。
「管理なんて言わない。……お前のやりたいようにしていい。ただ、俺が心配なだけなんだ……。嫌いにならないでくれ」
最凶のトップが、捨てられた子犬のような顔で謝る姿に、ゆうも「……嫌いじゃないけど……」と、つい許してしまう。
2. 体育の授業という「危機」
翌日。体育の授業は「サッカー」。
男子校の体育といえば、汗、泥、そして短いハーフパンツから覗く生足……。
「……阿久津。ゆうの足を見ろ。あれを野郎どもの前に晒すのか?」
獅子堂が指差す先には、指定のハーフパンツを履いて、心細そうに膝を抱えて座るゆう。
白すぎて透き通るような足。ヤンキーたちの視線が、無意識にそこへ集中しているのを獅子堂は見逃さなかった。
「……羽柴。校長室へ行くぞ」
「はいはい、直談判ですね」
3. 校長室での「交渉」
「校長。……瀬戸ゆうに、通年での『長ズボンジャージ着用』の特権を与えろ」
「ひ、平服での体育は校則で……」
獅子堂は無言で、校長デスクの上に最高級の茶葉をコトッと置いた。
「……これは、我が家に伝わる秘蔵の品だ。そ
して、もし許可が出ないなら……明日からこの学校の窓ガラスは一枚も残らんと思え」
飴と鞭(というか賄賂と脅迫)の完璧な使い分け。
数分後、獅子堂は「特別許可証」を手に、ゆうのもとへ颯爽と戻ってきた。
4. 獅子堂の「真の溺愛」
「ゆう、これを履け。お前の肌は……その、虫に刺されたら大変だからな(※本音:他の男に見せたくない)」
渡されたのは、ゆうのサイズにぴったり直された、肌触りの良い特注ジャージ。
「……えっ、いいの? 暑くないから嬉しいけど……」
「ああ。……それから、喉が渇くだろう。これを持っていけ」
渡されたのは、獅子堂が自ら温度管理して淹れた、冷たい「高級玉露」。
「ありがとう、獅子堂くん!」
ニコッと笑うゆうに、獅子堂の胸は温かいもので満たされる。
「……ああ。……転ぶなよ。もし転びそうになったら、俺がスライディングで下敷きになってやる」
「それは危ないからやめて!?」
獅子堂は、ゆうを「支配」するのではなく、ゆうが「快適に笑える環境」を作ることに全力を注ぐことを誓ったのだった。




