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狼たちの聖域 〜最凶ヤンキー校に舞い降りた天使〜  作者: あやん


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獅子と子猫の休息

1. 獅子堂邸、緊急避難

「……阿久津、羽柴。悪いが、今夜は俺の屋敷でゆうを預かる。……外の空気は、今のこいつには毒だ」


獅子堂は、自分の大きな学ランにすっぽりと包まり、まだ微かに肩を震わせているゆうを横抱きにしたまま静かに告げた。その瞳には、主としての威厳と、一人の少年を案じる切実な色が混ざり合っている。

「……カシラ。分かってるとは思うっすが、今のゆう君は触れたら壊れるガラス細工だ。……もし変な気起こして泣かせるような真似したら、俺らが相手になりますよ」


阿久津が、かつてないほど真剣な眼差しで、絶対の主であるはずの獅子堂を真っ向から睨みつける。


「……分かっている。……あいつを怖がらせる真似は、二度とせん。……俺の命に代えてもだ」


獅子堂の決意に微塵の嘘もなかった。彼はゆうを静かに車に乗せ、代々続く格式高い広大な日本家屋へと連れ帰った。

2. 深夜のティータイムと、温かい手

獅子堂の私室。

そこは、荒れ狂うヤンキー校のトップが住まう部屋とは思えないほど、凛としたお香の香りが漂う、静謐な空間だった。


「……ゆう。怖かったな。……もう大丈夫だ、ここには誰もいない。俺だけだ」


獅子堂は、ゆうをふかふかの羽毛布団の上に座らせると、自ら茶道具を取り出し、静かに茶を点て始めた。

カチャカチャと心地よく響く茶筅ちゃせんの音。その一定で規則正しいリズムが、ゆうの昂っていた神経を、魔法のように少しずつ解きほぐしていく。

「……獅子堂、くん……。……ごめんね、僕、あんな人に……」

「謝るなと言っただろう。……お前が信じたかったのは、あいつの『嘘』じゃない。お前の『優しさ』だ。……そのままでいい。お前を守るのが、俺の存在理由だ」


獅子堂は、ゆうの隣に座り、そっとその手を握った。

握りつぶしそうな独占欲を抑え、ただ「ここにいるよ」と伝えるためだけの、優しい温もり。


3. 監視役(?)の乱

その時。

「……失礼しまーす。夜食持ってきましたよー」

「頭、ゆう君の着替え持ってきたっす!」


ガラッとふすまが開くと、そこにはなぜか阿久津と羽柴の姿が。


「……貴様ら。なぜここにいる」

獅子堂が青筋を立てて睨むが、二人はどこ吹く風。

「いやぁ、心配で夜も眠れなくて。……ゆう君、これ、僕のオススメのイチゴ大福。食べられるかな?」

羽柴がひょいっとゆうの隣に座り、阿久津は「……よし、ゆう君、顔色良くなったな」と、獅子堂を差し置いてゆうの頭を撫でる。


4. 騎士たちの誓い、再び

結局、獅子堂の「二人きりの癒やしタイム」は、過保護な側近たちによって賑やかなパジャマパーティー(?)へと変貌した。

「……ふふっ。阿久津さん、それ、獅子堂くんのパジャマ? ……大きいね」

ゆうがようやく声を上げて笑う。

その笑顔を見た瞬間、三人の男たちの胸には、共通の思いが宿った。


(……この笑顔のためなら、なんだってしてやる)


「ゆう。……お前は自由にしろ。行きたい場所へ行き、会いたい奴に会え。……だが、その後ろには必ず俺たちがいる。……それだけは、忘れるな」

獅子堂の言葉に、阿久津と羽柴も深く頷く。

閉じ込めるのではなく、ゆうが自由に飛び回れるように、世界中のトゲを抜いて回る。

それが、盛トワ工業が誇る「三人の騎士」の、新たな誓いとなった。

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