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落語【声劇台本書き起こし】

落語声劇「居酒屋」

作者: 霧夜シオン
掲載日:2025/07/22


落語声劇「居酒屋」


台本化:霧夜(きりや)シオン@吟囁亭喃咄(ぎんじょうていなんとつ)


所要時間:約20分


必要演者数:2名

      (0:0:2)

      (2:0:0)【性別準拠人数比率】

      (1:1:0)【性別準拠人数比率】

      (0:2:0)


※当台本は落語を声劇台本として書き起こしたものです。

よって性別は全て不問とさせていただきます。

(創作落語や合作などの落語声劇台本はその限りではありません。)


※当台本は元となった落語を声劇として成立させるために大筋は元の作品

 に沿っていますが、セリフの追加及び改変が随所にあります。

 それでも良い方は演じてみていただければ幸いです。



●登場人物


客:居酒屋にやって来た客。

  小僧をからかいながら酒を呑(の)む。

  ※(劇中、客はだんだん酔いが回っていきます。ただしべろんべろん

  ではない。)


小僧:居酒屋の小僧さん。

   質(たち)の悪い客に絡(から)まれる不憫(ふびん)な子。



●配役


客:

小僧・枕:


※女性が演じる場合は適宜口調を変えて下さい。



枕:「酒呑(さけの)みは やっこ豆腐(どうふ)に さも似たり はじめ四角で 後がグズグズ」

  て歌がございます。

  笑い上戸(じょうご)ってのは傍(はた)で聞いてましても実に愉快(ゆかい)そうですな。

  些細(ささい)なことまでおかしくなるらしいんでございます。

  「ははは…お前、頭がハゲてるな」て、つまらない事言っても笑う。

  ハゲてる頭は普段から見ているわけでございますが、酒を呑(の)むってえ

  とその輝き具合が一段と目立ちまして、さらにおかしくなるらしいん

  でございます。

  なんの上戸(じょうご)かてのは、ご自分じゃお気づきにならないもんだそうで

  ございます。癖(くせ)でございますからな。

  「ごらんよ、あいつ壁塗(かべぬ)り上戸(じょうご)だよ。今に見ててごらん、出てくるよ

  。」

  これは酌(しゃく)をご辞退なさる時に壁を塗(ぬ)るような手つきになるんですな。

  「一杯いこうか!」

  「私?いけませんよ、さっきから私ばかりいただいてんですから。

  少しは他にもやって下さいよ。」

  って壁に塗り込んでる方がございます。

  他には鶏上戸(にわとり)なんてのもありますな。

  これはもっと芸術的で、自然と鶏(にわとり)が時を知らせるような声になるんで

  す。

  「一献(いっこん)いこう!」

  「そうですか、じゃ、お軽く願います。

  【段々ゆっくりになっていく】

  いよォーっとっとっとっとっとっとっとっとっ…!

  【一口飲んで】

  お結構(けっこう)!」

  てな感じで時を知らせてる方がございます。

  こんな感じで人に迷惑を掛けない呑(の)み方(かた)ができるならいいのですが、

  中には人に悪絡(わるがら)みして困らせる、絡(から)み酒をする質(たち)のよくない輩(やから)も

  一定数いらっしゃるようでございまして。


客:おう、ごめんよ。


小僧:へぇ~い、宮下(みやした)へおかけなぁ~イ。


客:何だァ?


小僧:大神宮(だいじんぐう)様の下が空(あ)いとりますからお宮(みや)の下(した)へおかけなぁーイ。


客:どっか破けたような声出すなこいつは。

  大神宮(だいじんぐう)様の下?ははは…おもしろいなァ。

  宮下(みやした)たァ付けたな。

  小僧さん、お酒持ってきてくれ。


小僧:へェ~い、お酒は澄(す)んだんですか、濁(にご)ったんですか?


客:おい変な聞き方するなよ。

  おめぇは人の柄(がら)を見るね。

  頭の先から足の先まで見下ろしゃがって、

  澄(す)んだんですか濁(にご)ったんですかだあ?   

  濁(にご)った酒なんか飲めるかい。澄(す)んだのだよ。


小僧:へェい、上一升(かみいっしょう)ぉ~~~~ッ。l


客:おいちょっと待てよ、一合(いちごう)でいいんだよ。


小僧:へへ、これ景気でございます。


客:あ、景気か。

  びっくりしちまったじゃねえか、おどかすなィ。

  景気ならもっと大きくやれ。上一斗(かみいっと)ォーっとかなんとかな。


小僧:おまちどうさま~。


客:おぉ来た…おぅおぅ小僧さん、この猪口(ちょこ)はいけねえな。

  小(ちい)せえもんで呑(の)んでたんじゃ酔わねえんだよ。

  生あくびばっかり出て、生酔(なまよ)いになっちまうんだな。

  ぐい吞(の)みってのはねえのか?

  ねえなら湯呑(ゆの)みでも何でもいいぞ。

  そいつでガブガブっと呑(の)んで、酔ってきたら小(ちい)せえもんでいいんだ。


小僧:じゃあこちらの湯呑(ゆの)みでどうぞ~。


客:おう、そいつでいいや…おぉっとっとっとぉおい、

  これ置いてどんどんそっち行っちまうなよ。

  一杯ぐれえ注(つ)いでいけよ。


小僧:まことに相(あい)すいません。

   込み合いますから、お手酌(てじゃく)で願います~。


客:なんだよ、はっきり断りやがって。

  んな愛想(あいそ)のねえこと言うもんじゃねえよ。

  一晩中ここについててお酌(しゃく)してくれってんじゃねえや。

  持ってきたついでだから、一杯だけ酌(しゃく)してくれってんだ。

  込み合います…って他に誰もいやしねえじゃねえか。

  変なこと言うなよ。

  どうせお酌(しゃく)してもらうんなら女の方がいいよ。

  酒は燗(かん)、肴(さかな)は気取(きど)り、酌(しゃく)は髱(たぼ)、綺麗(きれい)におけいけいした姐(ねえ)ちゃんが

  、白魚(しらうお)を並べたようなまっちろなほそーい五本の指で、

  「いかが?」なんてこと言われると、ふらふらってよけい呑(の)む気に

  ならァ。

  おめえの…手かい、それァ。

  いや疑(うたぐ)るわけじゃねえけどよ。

  まるでたらこみてえじゃねえか。

  でもうまそうだな、本場もんだろ。

  掛け値なしと来てやんだな。

  どうでもいいけどおめえの指は親指ばかりだな。小指があんのかい?

  太さも長さもみんな同じじゃねえか。

  でも肉付きはいいやな。身がいっぱい入ってるよ。

  月夜に獲(と)れたんじゃあねえな。


小僧:カニでもたらこでもありませんよ。


客:ははは、そう言いたくもなるじゃねえか。

  ぶるぶる震えねえでしっかり注(つ)げよ、いいか。

  湯呑(ゆの)みの口に徳利(とっくり)がカチカチって当たんのはァ嫌な心得(こころえ)だよ。

  おい、もっとケツを持ち上げなきゃ出ねえよ。

  もっとケツ持ち上げてってこら、おめえのケツじゃねえよ!

  徳利(とっくり)のケツを持ち上げろってんだよ。そそっかしいな。

  ケツ持ち上げろって言いや自分のケツ持ち上げてやがる。

  おめえのケツ持ち上げたって酒が出るかい。


小僧:へェい、相(あい)すいません~。


客:うぅわっと!

  おいおい、夜の酌(しゃく)は八分目(はちぶめ)ってんだ、気を付けろよ。

  お口からお迎(むか)えに行かなきゃなんねえじゃねえか。

  んっ…んっ…んッ…。


  なんでぇこりゃ、酸(す)っぺぇなこの酒。

  どうせ居酒屋、飛び切り上等の良い酒なんざありっこねえと覚悟して

  来たけどよ。

  甘口辛口ってのはずいぶん呑(の)んだけどな、酸(す)っぱ口(くち)ってのは初めてだ

  な。


小僧:ちゃんと名のあるお酒ですよ。


客:なに、名前がある?

  こんな酒ェ名前付けることねえだろ。

  なんてんだよ?


小僧:甲正宗(かぶとまさむね)ってんです。


客:かぶとまさむねェ?

  頭にきそうな名前だなァ。変な名前を付けたもんだ。

  他にねえのか?


小僧:これ一口(ひとくち)だけです。


客:あ、そう。

  じゃ我慢するよ。

  んっ…んっ…んっ…


  おい小僧さん、代わり持ってきてくれ。


小僧:ご酒代(しゅが)わりィ~一丁(いっちょう)ォィ~~。


   お肴(さかな)はなんにいたします?


客:なに、肴(さかな)ァ?


小僧:え、いらないんですか?


客:いらねえなんて言いやしねえじゃねえか。

  ガツガツするなよ落ち着かせろや。

  酒呑(さけの)んでるそばで棒立(ぼうだ)ちにつっ立って、お肴(さかな)なんに、お肴(さかな)なんに、

  って、押し売りされてるみてえだよ。


小僧:へへ…いらないんですか?


客:だからいらねえなんて言いやしねえだろ!

  「小僧さん、肴(さかな)持ってきてくれ」ってったら、そこで「お肴(さかな)はなんに

  しますか?」

  って聞くもんだよ。わかったか?

  で、肴(さかな)は何ができるんだ?


小僧:へェい、

   【一気に早口で】

   【※見やすくする為に句読点打ってます。】

   できますものは、汁(つゆ)、柱(はしら)、鱈昆布(たらこんぶ)、アンコウのようなもの

   、ブリにお芋(いも)に酢(す)だこでございます、へェ~~い。


客:…おっそろしく早(はえ)ぇな、もうみんな言っちまったのか。

  さあ大変だ。まるっきりわからねえ。

  もう一度言ってくれ。


小僧:へェい、

   【一気に早口で】

   【※見やすくする為に句読点打ってます。】

   できますものは、汁(つゆ)、柱(はしら)、鱈昆布(たらこんぶ)、アンコウのようなもの

   、ブリにお芋(いも)に酢(す)だこでございます、へェ~~い。


客:いちばんおしまいの「ぴ~」とか言ったのは分かったけどよ、

  真ん中のがちっともわからねえ。

  おめえ、自分さえ承知してりゃいいってもんじゃねえぜ。

  こっちが分からなけりゃしょうがねえじゃねえか。

  さっきのをゆっくり長(なが)ぁく伸ばして、もういっぺんやってみろよ。


小僧:【さっきよりは若干遅いがそれでも「汁、柱」の所から早い。】

   【※見やすくする為に句読点打ってます。】

   できますものは、

   汁(つゆ)、柱(はしら)、鱈昆布(たらこんぶ)、アンコウのようなもの

   、ブリにお芋(いも)に酢(す)だこでございます、へェ~~い。


客:いや、そのおしまいのな、「ぴ~」っての取れねえかな。

  それが気になるんで「ぴ~」の前がちっとも頭に入って来ねえんだ。

  「ぴ~」ての抜きでもういっぺんやれよ。


小僧:ただいま申しましたのは何でもできます。

   なんにいたします?


客:いま言ったのは何でもできんのか?


小僧:さよでございます。


客:じゃあすまねえけど、「ようなもの」てやつ一人前ェ持ってこいよ。


小僧:えっ?


客:「ようなもの」。


小僧:そんなのできませんよ。


客:おめえ言ったじゃねえか。


小僧:いいえ。


客:じゃもういっぺんやってみろよ。


小僧:【一気に早口で】

   【※見やすくする為に句読点打ってます。】

   できますものは、汁(つゆ)、柱(はしら)、鱈昆布(たらこんぶ)、アンコウのようなっ…

   えへへ…。


客:なにが「えへへ」だ。

  今ごろ気が付いて笑って誤魔化(ごまか)してやがる。

  それだよそれ。


小僧:これァ口癖(くちぐせ)でございます。


客:なんだ口癖(くちぐせ)か。

  口癖(くちぐせ)でもいいから一人前持ってこいよ。


小僧:そんなもんできませんよォ。


客:口癖(くちぐせ)料理にできねえのか?

  酒の代わりくれ。


小僧:ご酒代(しゅが)わりィ~一丁(いっちょう)ォィ~~。


客:いい声だな。

  居酒屋に二、三年は辛抱(しんぼう)しなきゃ、首尾(しゅび)のいった声(こえ)ァ出ねぇもんだ。

  おぅ小僧さん、そっち行かねえでこっちにいろよ。

  今の肴(さかな)ァもういっぺん聞かせてくれ。

  「ごじょごじょごじょごじょぴぃ~」ってやつ、やってくれよ。


小僧:あなたの脇(わき)の小壁(こかべ)に、紙に書いて貼(は)ってあります。

   そこに書いてあるのお肴(さかな)ですから、何でもできます。

   それをご覧(らん)なすって下さい。


客:どこだ?


小僧:あなたの脇(わき)の小壁(こかべ)で。


客:脇(わき)の小壁(こかべ)…あぁっはっは、書いてある書いてある。

  ここに書いてある肴(さかな)ァ何でもできんのか?


小僧:さよでございます。


客:ならハナっからこれ見せりゃ、「ぴ~」も「す~」もねえじゃねえか

  。

  おもしろいもんが書いてあんな。

  まだ食った事のねえのもずいぶんあるぞ。

  いちばんハナに書いてある「くちうえ」てなんだこれ。


小僧:へ?


客:「くち」の「うえ」ってのは。


小僧:あぁそれ、口上(こうじょう)です。


客:あ、口上(こうじょう)かあ。

  ほら、口の上ってからには、鼻かなんかこしらえるのかって、

  心配しちゃったよ。

  よし口上(こうじょう)一人前持ってこい。


小僧:そんなもんできませんよ!

   その次からならできます。


客:そんならそう断れよ。

  その次…あ、これも食ったことねえや。

  なんだ、「とせうけ」てのは。


小僧:へっ?


客:「とせうけ」。


小僧:とせうけじゃありません、「どじょう汁(じる)」です。


客:どじょぉぅう汁(じる)ぅぅ?

  マズい字ィ書きやがったなァ。

  「とせうけ」と書いて「どじょう汁(じる)」か。


小僧:「と」の字に濁(にご)りが打ってあるから「ど」で、

   「せ」の字に濁(にご)りが打ってあるから「ぜ」です。


客:なんでェ濁(にご)りってのは。


小僧:字の肩のあたりに点がポチポチと打ってありますから。


客:ありゃ墨(すみ)こぼしたんじゃねえのか?


小僧:そうじゃないんです。

   「てん」ですよ。


客:「てん」てななんだァ?


小僧:いろは四十八(しじゅうはち)文字、点を打つとみんな音が違うんです。


客:おめぇ学者だなァ。

  初めて聞いたよ。

  いろはの「い」の字に濁(にご)りを打つと、なんてんだ?


小僧:「い」の字に濁りを打ちますと…ッ


客:おぉい食いつきゃしねえかい?歯ァ剥(む)きだして向かってくるなよ。


小僧:…「い」の字は打てないんです。


客:そんなこと言わねえで、打って見ろよぅ。

  じゃその次の「ろ」の字は?


小僧:ぇ~「ろ」の字に打ちますと、「ろ”ろ”ろ”ろ”ろ”…」

   【発声練習などでやる、舌を震わせるアレです】


客:どっか破けたなおめえ。


小僧:…「ろ」は打てません…。


客:じゃ、「ま」だ。


小僧:「ま」、げほっ【無理にやろうとして咳き込む】

   「ま」打てないんです…。


客:じゃあ「ぬ」だ。


小僧:ん「ぬ」っ、お客さん打てないの選んで言ってるでしょ!


客:ははは…ザマぁ見やがれィ。

  無理に打とうと思っておもしれぇ顔しやがって。

  バナの頭(あたま)に汗かいてやがんな。


小僧:なんです「バナ」って。


客:顔の真ん中にこんもり高いのなんだ?


小僧:これ鼻でございます…!


客:だって濁(にご)りがあるっつったじゃねえか。


小僧:こりゃほくろですよ!


客:あ、ほくろか!

  うまく二つあるなぁ。

  濁(にご)りを打ったのかと思った。

  横っちょにもあるな。ぼっぺただ。

  上にあるのはびたいだな。

  おめえのは顔じゃねえ、がおだよ。おもしれぇ顔だなァ。

  「元方(もとかた)現金に付き貸し売りお断り申し上げ候(そうろう)」を一人前持ってこい。


小僧:そんなもんできませんよ!


客:じゃ酒の代わりくれ。


小僧:ご酒代(しゅが)わりィ~一丁(いっちょう)ォィ~~。


客:そばにいろよぅ、さっきの「ごじょごじょごじょごじょぴぃ~」って

  の、あれもっぺんやれェ。


小僧:突き当たりの棚(たな)にお肴(さかな)が並んでますから、ご覧なすって下さい。


客:あんなとこまで行くのめんどくせえ。

  あの棚(たな)ァ持ってこい。


小僧:持って来られやしませんよ!

   そこからご覧なって下さい。


客:右の隅(すみ)に真っ赤になってぶる下がってるのはなんだ。


小僧:タコでございます。


客:タコ?ふぅぅ~~ん…あのタコ生きてるのか?


小僧:生きてやしませんよ。


客:死んじゃったのか。


小僧:さよでございます。


客:あぁ~気の毒な事をしたなァ。

  俺ァちっとも知らなかった。

  いつ死んだよ?


小僧:分かりませんよいつ死んだのかなんて。


客:手紙の一本でも来りゃ、お通夜(つや)に行ってやったんだが、

  とんだことしちゃったなァ。

  しかし真っ赤だな。


小僧:茹(ゆ)でたんです。


客:茹(ゆ)でるとああいう風(ふう)に、赤くなるのか?


小僧:エビでもカニでもタコでもシャコでも。

   赤いものはなんでも茹(ゆ)でたものです。


客:じゃ猿のケツは誰が茹(ゆ)でたんだよ?


小僧:あんなもの茹(ゆ)でる人ありませんや。


客:赤いものは何でもって言うから聞いてんだよ、へへ。

  じゃあ京の街の赤い柱や壁は、誰が茹(ゆ)でたんだ?


小僧:あんなもの茹(ゆ)でられるもんですか。

   というか京なんて行ったこともないですよ。


客:ひっく、お?タコ下ろして何をすんだ?


小僧:酢にいたします。酢(す)だこでございます。

   桜煮(さくらに)もございます。持って参りますか?


客:いぃいぃ、いらないよ、聞いただけだよ。

  あの隣にぶる下がってる、こんな大きな口の赤い肌の魚ァなんだ?


小僧:あんこうでございます。

   鍋(なべ)にいたしましてあんこう鍋(なべ)です。


客:その隣に印半纏(しるしばんてん)に鉢巻(はちまき)して、出刃包丁(でばぼうちょう)持って考え事してんのは?


小僧:あれうちの番頭(ばんとう)でございます。


客:あれ一人前こしらえてこいよ。

  【あんこう→番頭とかけている】

  番公鍋(ばんこうなべ)てのができるだろ。




終劇




参考にした落語口演の噺家演者様等(敬称略)


三遊亭金馬(三代目)



※用語解説


・甲正宗(かぶとまさむね)

検索したのですが、近いと思われるのは千葉県で三百年以上の歴史をもつ

日本酒の酒蔵「飯沼本家」の定番商品「甲子正宗」だけでした。


・上一升(かみいっしょう)

上級のお酒一升。一升は1.8リットル。


・一斗(いっと)

18リットル。一升の十倍の量。


・一合(いちごう)

180ミリリットル。


・酒は燗(かん)、肴(さかな)は気取(きど)り、酌(しゃく)は髱(たぼ)

気取りとは木工用語で、丸太から無駄なく建築材を採材する「木取り」が

語源で、良い素材を無駄なく上手に調理をしたものを意味する。

(気取りの代わりに刺身と表現することもある)

髱(たぼ)は江戸の元禄(げんろく)時代に流行(はや)った日本髪。

つまり、

酒を飲む時はほどよいお燗と、肴は気の利いたいい素材を使ったもの、

それに若い女のお酌があればこの上ないという意味。


・おけいけい

化粧の事。


・元方(もとかた)現金に付き貸し売りお断り申し上げ候(そうろう)

※合ってるか自信ないです。

元方:金融機関での出納担当者



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