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【書籍化決定】転生令嬢は旅する編纂者  作者: 采火
第二部

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46/46

46.書類も積もれば山となる

 今年の社交シーズンはあまり活躍できず、申し訳なさでいっぱいだった。怪我さえなければと思うものの、後の祭り。ヴィクトルが丸く収めてくれたおかげで、アニマソラ神樹国とも和解した体になった。ほっとひと安心。


 アニマソラ神樹国の神子探しも、呼び出されたヴェルナーさんが直接話し合ってくれたおかげで、一旦は引いてくれた形になった。私は同席できなかったので、実際どんな話し合いが行われたかは分からないけれど、ヴィクトル曰く「想定よりあっさりと引いてくれた」そう。外交官としては面倒事が回避できて嬉しい反面、私個人としてはその潔さが不気味に感じられた。


 転生者が神子かもしれないという予想は、引き続き私だけの秘密にしておく。誰かに相談できるようなものでもないし、私の自意識過剰なだけかもしれないし……とにかく! アニマソラ神樹国の神官たちが社交シーズンを終えて国へと帰っていったので、しばらくはこの話から目をそらしたいと思います! 考えても予想の域を出ませんので!


 社交シーズンが終わる頃には私の怪我も完治した。ようやく仕事に復帰したので、社交シーズン中に溜まってしまった書類や資料などの整理を進めているのですが。


「とうとうやっちまった……」

「やっちゃったね……」


 イェオリと二人で、書類の雪崩が起きたヴィクトルの執務机を見つめた。ヴィクトルは今、上役たちと会議中。その間に別部署から来た人が書類を置いていったんだけど、扉が閉まった瞬間、山のように積まれた書類が崩れてしまった。


「あーあー」

「ヴィクトルが頭を抱えそう〜」


 ティモとトゥロが面白そうに笑っているけど、これは間違いなくヴィクトルが頭を抱える。会議が終わって戻ってきたら、自分の机が見るも無残な姿。私だったら、そのまま現実逃避してしまうわ。


「さすがに可哀想だし、室長が戻ってくる前に少し整理してやろうぜ」

「そうね」

「イェオリとフェリシアちゃんは真面目だなー」

「二人ともいい子だね〜」


 ティモとトゥロが手伝うつもりなんてないのは最初から分かっているので。私とイェオリで散らばった書類を拾い集めていく。とりあえずヴィクトルのサインがあるものは確認済みと見做して、そうじゃないもの分けて、と。


「イェオリ、これスペル間違えてる」

「ほんとだ。見直してから再提出するか……あ、フェリシア、ここのインク滲んでる」

「うそ! 書き直しじゃない……っ」


 書類を拾い集めていく中で、ヴィクトルに提出したものの、おそらくやり直しになりそうなものはこっそり引き抜いた。自主的に再提出します。


 仕分けして気がついたけれど、ヴィクトルの机にあるほとんどが、社交シーズン中に書かれた外交官たちの報告書だ。ヴィクトルが読んでサインがされたら、資料室に格納されるもの。報告書が読み切れていないのか、ヴィクトルの机で滞留しているみたい。それが雪崩の原因かしら。


「……うわぁ」


 イェオリと一緒にせっせと書類を積み直していたら、当の本人が会議から戻ってきた。気の抜けるような声と一緒に。


「ヴィクトル様、おかえりなさい」

「室長、お疲れ様っす」

「崩れちゃったか……」


 ヴィクトルは天井を仰いだ。


「残念、頭は抱えなかったかー」

「予想外れちゃったね〜」


 けらけら笑い合っている双子の言う通り、ヴィクトルは頭を抱えなかった。天井を仰いでいたヴィクトルはじろりと双子を見やる。それから手に持っていた会議資料らしきものをティモに押し付けた。


「僕の代わりにこれやっておいて」

「えー? なにこ……はぁっ!? ヤダヤダヤダ! 面倒くさい!」

「ティモ、なにそ……うぇっ! ちょっとヴィクトル!?」


 相当嫌な案件を押し付けられたようで、双子が慌てだした。ヴィクトルのご機嫌伺いをしようとするも、すげなくされる。双子はヴィクトルをからかうのをやめたらいいのにね。


 ヴィクトルは積み直された書類の山の前にまでくると、困ったように私とイェオリに笑いかけた。


「すまないね、直してくれて」

「私たちは構わないんですけど……」

「室長、これ片付ける時間あるんですか?」


 イェオリが山と積まれた書類を指差した。ヴィクトルがこの書類を処理して適切に片付けていかないことには、この山は減っていきません。


 ヴィクトルも当然それは分かっているので、苦笑している。


「急ぎではないからと後回しにしてしまっていたせいだね……少しずつ進めていくよ」

「進めていくっていってもさー」

「資料室はどうするの〜?」

「……片付けないとねぇ」


 ヴィクトルが遠い目になってしまった。

 毎年増えていく報告書は、資料室の一角でも山にされている。もう棚に入らないので、年ごとに箱に入れられて積まれていっているの。資料としての価値が高いものなどは別にしまわれているものの、古すぎる報告書や重複する内容の報告書はまとめたほうが良いと思う。


 そうは言っても、その時間がなかなか取れないのも現状。ヴィクトルほどではないにしろ、私たちもぎりぎりで日々の業務を回しているから、資料室の整理に着手できないでいる。


「……いよいよ、やらねばならない時が来たのかもしれないね」


 ヴィクトルがぼそりと呟いた。

 やらねばならない時。もしかしてとうとう。

 キリリッとした顔つきで、ヴィクトルは宣言した。


「大掃除をしよう。日程を決めるよ。緊急出張に行く体で仕事を振り分け直せば、三日くらい資料整理する時間を捻出できるはずさ」


 とうとうヴィクトルが本気で資料整理に乗り出した……!


「フェリシアが前に資料室の本の手入れをするように言っていたしね」


 言いました、言いました! イェオリがとんでもない破損本を持ってきた時に言いました!


 あの資料室を丸ごとお手入れできるのなら願ったり叶ったり。かなり慣れたけれど、いまだにあの資料室で欲しい資料の行方が分からないこともしばしば。誰かがあるって言っても、どこにしまったのかまでは皆覚えていないんです……。


 時間を捻出するためにはハードスケジュールをこなさないといけないけれど、ここが正念場。快適な就労環境を手に入れるために、フェリシアがんばります!




明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いします。


本日1/7は人日の節句ですね。

七草粥を食べました。

皆様、今年も健康にお過ごしください〜!

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