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一話 Day N Night ②


小学三年生の頃に親父と絶縁し転校してきた。それと同じタイミングで転校してきたのが藤堂であった。転校してきたタイミングもあり、俺達はすぐに仲良くなった。ただ、日が経っていくにつれ藤堂が避けられていることに気がついた。理由は、彼の父親がヤクザだからだろう。両親から近づかないように言われていたのだろう。ま、俺には関係ないが。関わっていくうちに、不器用ではあるものの、仲間を絶対に裏切らないところがある事がわかった。屁理屈を並べ相手の裏を取るのが得意であり、いわば策士(策士という程でもないかもだが)である。


停学期間が始まって、または藤堂が教頭にお茶をぶちまけて一週間がたった。そろそろ家でやることが勉強だけで暇になってきたから、みんなで集まって()()()()でオールすることになった。

「お前何持ってきた?」

「カップ麺とお菓子と...あとーSwatchぐらい。僕マリアカートしか持ってきてないけど、なんかカセットある?」

「俺スマシスとゼブラの伝説持ってきたぜ。ゼブラはソロプレイだけど。」

「天満ないすぅ」

ここは、瑠衣のおじいちゃんが持っていたアパートだったのだが、使われなくなったため今は俺達が使っている。何かとエアコンとWi-Fiがあるため快適なのだ。目の前の通りに人気がほとんどなく、「ここだれにもバレないんじゃね」ということで、俺達はここのことを通称『秘密基地』と呼んでいる。


瑠衣と出会ったのは藤堂と出会った二年後だった。同じクラスになったときの最初のイメージは『変わり者』だった。いわゆる天才気質ってやつ。藤堂も変わり者なところはあるが、瑠衣は今まで出会った中で一番の変わり者だろう。休み時間になっても外に出ず、誰とも喋らず、ただ机の上でカチャカチャとなにかを組み立てている。最初は俺達も近づかなかった。話すようになったきっかけは、大事にしていたおもちゃの時計を直してもらったところからだ。めちゃくちゃ器用で、何でも作れ、何でも修復できるという技術力に感動した。最初は彼は「大した事ない」といって相手にされなかったが、段々と打ち解けていき今がある。


瑠衣と準備していると、藤堂と呀神が遅れて到着した。

「よ、一週間ぶりー」

「よう。藤堂、頼んだものは買ってきたか?」

藤堂が持っていた袋の中を確認した。

「お菓子、炭酸、エナジードリンク...あと、冷凍食品とカトラリーセット。全部ある」

「よし、準備完了だな。それじゃあ...」

それぞれ炭酸飲料が入った紙コップを掲げた。

「停学一週間目パーティー、始まりだー!」

『カンパーイ!』


中学一年生になった時、奇跡的に全員同じクラスになった。三人仲良く、また他のクラスメイトともいい感じの距離感を保ちながら生活していた時、一人クラスで浮いていた女子がいた。呀神だった。髪をオレンジに染め上げていて、ザ・ヤンキーみたいな感じだった。ただ、浮いている理由は別にあり、前の学校(俺達とは違う学校だった)でいじめられていた女子を庇って、いじめの主犯格の子をぶん殴って問題になったらしい。また、殴られた主犯格の子が同じ中学になり、根も葉もない噂を広めたり、人に見られてないところで殴ったりしていた。だがやり返すとまた面倒なことになる。そう思った彼女は何もできなかった。そんなとき話しかけたのが藤堂であった。よく話しかけてくれる藤堂に彼女は申し訳なく思ったのか「あたしと喋るとあんたもいじめられるよ?」と強めの口調で言った。だが、藤堂は「だから何だよ」と跳ね返した。「俺は自分の拳と打たれ強さには自信がある。お前の分まで受けてやるよ」と。その時から、呀神は藤堂のことを慕っているようだ。そこから俺達のグループが出来あがり、今では大切な仲間になっている。


パーティーが始まると、みんなでゲームをしたり、暴飲暴食したり、嫌いなやつの愚痴を話したり(あの御曹司ももちろん)、そうこうしているうちに時間はあっという間に過ぎていった。


いつのまにか時計の針は十二の方向を指していた。瑠衣と呀神は寝落ちしてしまい、俺と藤堂で雑談していた。

「今日オールするんじゃなかったけ」

「まぁ...仕方ない。こいつらエナドリ飲まなかったから」

「俺まだピンピンしてるわ」


その時、窓の外から声が聞こえた。男の声だ。藤堂が静かにという仕草をしてきたので、息を潜めて外の音に集中した。足音が聞こえる。一人だ。走っているようだ。それと、鳥が羽ばたく音が聞こえた。そして、男が叫んだ。

「た...助けてくッ...」

まるで映像の途中でDVDが止まったときのように唐突に声が聞こえなくなった。次に聞こえたのは鳥の鳴き声だった。ただ、音が大きい。

「...()()()か?」

慎重に窓を開け、下を覗いてみる。そこには、巨大なカラスのようなものが倒れた男の上に馬乗りになっていた。まるでそれは...

「...喰っている...のか?」


少なくとも、彼らにはそう見えた。

藤堂辻誠 ♂️

不器用だが仲間意識が強い。

甘いものが苦手。喧嘩強い。


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