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プロローグ
昔から差別的なものが嫌いだった。
多分、母からの影響だろう。
貧富の差や、男女、肌の色などの差別も嫌いだ。
「白黒つける」や、「英雄」という言葉も差別的に聞こえる。
母子家庭で育った俺は、父親の顔を知らない。
母がよく言っていた。
「まるで、鷲みたいな人だったわ」
懐かしがるように言う母とは違い、
自分たちを捨てた父のことが憎かった。
よく俺は父に似ていると言われる。
だが、あったこともないような父親と似ているなんて、
ましてや家族を捨てた父親に似ていると言われるのが嫌だった。
俺は父のようにはならない。
蛙の子は蛙のように、
鷲の子は鷲だろう。
本当にそうだろうか。
それはお前の偏見じゃないだろうか。
俺は違う。
父が鷲なら、
俺は鷹だ。