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第二部「破滅を照らす者:断罪の天秤」その6

目次


第14章「小休止」

第15章「目覚めし者の表裏」

第16章「知る権利 その1」

第17章「知る権利 その2」

あとがき


※第15~17章は、『魂を映す鏡』その15辺りも一緒に見ると楽しめると思います!


第14章「小休止」


「ま…待て!ちょいと待ってくれ…」

【ジョゼフィーヌの話を聞いていた星次は、自分の頭に手を当てながら話をさえぎった。】

「流石に情報が多過ぎてな…整理させてくれ…」

「そうですね、確かに情報量が多いので…1度まとめてみましょう!」

「とりあえず、あんたとその…お袋?が普通の人間じゃないってのと…そうとう複雑な家系図を持ってるってのは置いとくぞ…」

そうでもしねぇと俺達の脳みそと感情がぐちゃぐちゃになっちまうからな…

【彼がそう考えながら流輝と春喜の方を見たとき、予想通りの光景に思わず苦笑した。】

「やっぱりな…」

【彼女の話を真剣に聞いていた流輝は目の周りを痙攣させながらポカンと口を開けており、春喜はその隣でいつも通りの様子で話を聞いていた。】

「ジョゼフィーヌさんの中にもう一人誰かが居て?その人がジョゼフィーヌさんの家族で?その人は普通の人間じゃなくて?しかも…ジョゼフィーヌさんもその人の血が混じってて…???」

「何か色々と意味わかんなくなってきたんすけど、とりあえずジョゼさんが凄いってことは分かったっすね。」

「いや、今の話を凄いだけで済ませられるお前の方が凄ぇよ…」

マジでコイツらと居ると調子が狂うな…

「とりあえずだ…あんたの話を聞いて解決した疑問と…ついでに予想出来たこともまとめるぞ。」

「えっ…?あの濃ゆい内容から予測…?ファンタジーマシマシの家族関係絡まりまくりの内容からですか?」

「何かラーメン屋さんみたいになっちゃってるっすね。」

【星次は2人の会話の内容を完全にシャットアウトしながら、自分の考えをまとめて話し出した。】

「まず…手鏡野郎があんたに魔法を使った後に、あんたに何が起きてたかは今聞いたからOKだ。逆に疑問も増えちまったし…まだ途中だがそこは良い。」

「まさかジョゼフィーヌさんが倒れている間にこんな事が起きてた何て思いもしませんでしたよ…」

「私自身もこの様な事が起きるとは思いもしませんでした…」

「まぁ…だろうな。とりあえず続けるが、あんたの内側?『魂の領域』だったか?そこの中に訪れちまったあんたが出会ったのが…」

「『エリザベート』さんっすね。世間的にはジョゼさんのおばあちゃんで、血縁関係的にお母さんになる人っすね。」

「あの…失礼なんですけど…その方って本当に人間ですか…?『血を統べる者《Ruler of Blood 》』っていう『人種』ってエリザベートさんは言ってたみたいですけど…」

【流輝はそう言いながらぶるっと肩を震わせ、少し怯えた様に話しを続けた。】

「ジョゼフィーヌさんの話を聞く限りエリザベートさんは…に…『肉体と魂との結び付きが弱い』とか、『相手の血液に命令できる』っていう特性を持ってるとか…」

「『血を統べる者《Ruler of Blood 》』ってのと俺達じゃあ元から生物としての違いがあるだろうな。例えば…」

さっきこいつ(流輝)が言ってた特性と…

「こいつが言ってたこと以外にも…エリザベートってのはとんでもねぇ魔法を使えたり、確実に不老不死で、血液から相手の情報を収集できるってとこか…後は、あんたに手鏡野郎が拘束が溶けた理由を教えたのもお袋さんだろ?」

「はい、正解です!そして、改めて聞くと私の…その…お母様?は…かなり特殊な存在ですね…」

「特殊っていうレベルじゃ無いですって!」

「ジョゼさん。とりあえず今まで出てきたことは軽くまとめられたと思うんで、続きを話してもらって良いっすか?」

「はい!私が『魂の領域』の中で目を閉じた後の続きですね…」



第15章「目覚めし者の表裏」


「どうか…皆さんが無事でありますように…」

【目を閉じ、そう呟いた彼女の視界に暗闇が広がった。その時、不可解な事が起きた。】

「…!」

なぜ光が…?

それに…自分の声が聞こえない…?

だが…段々と目が慣れて…!?

【彼女の視界を覆っていたはずの闇が消え、眩い光が彼女の目に降り注ぐ。徐々に目が慣れて眼前の景色を見た時、彼女は見慣れた人影を発見した。】

春喜さん!ご無事ですか!?

【『先立つ者《Predecessor》』を構えて立っている春喜を見た彼女は、彼に声を掛けて合流しようとした。】

くッ…やはり声が出せない…!

それに…体を動かすことも…

体の感覚も無い…

『安心して下さい、ジョゼフィーヌ。』

この声は!

『えぇ、(エリザベート)です。』

【エリザベートの姿は見えないが、ジョゼフィーヌには耳ではなく頭の中に直接、彼女の声が聞こえた。】

私は今どうなっているのでしょうか?

『貴女が目を閉じる前に、私が話した事を覚えていますか?肉体の主導権についてです。』

私の肉体の主導権が、今はあなたにあるという事でしたよね?

『そうです。今はまだ肉体の主導権を貴女に返す事は出来ませんが…貴女の意識を、貴女の肉体の視覚と同期させました。あくまでも肉体の操縦を行えるのは私ですが。』

なるほど…

それが理由で、私は体を動かすことも声を出す事もできなかったのですね…

『ちなみに、貴女の今の姿はこうなっています。』

【エリザベートがそういうと、ジョゼフィーヌの脳内にイメージが浮かび上がった。】


挿絵(By みてみん)


この姿はまるで…

私の服をあなたが着ただけの様になっていますね!

『えぇ、実際に私の魂を貴女の肉体にダウンロードした様な状態なうえに、私と貴女の容姿が似ているのでこの様な姿になりました。そして、少しの間は一人称視点の映像を見ている様な感覚に陥るでしょうが、すぐに慣れるでしょう。』

ところで…

『何でしょうか?』

【ジョゼフィーヌは、目の前に立っている春喜に注目しながらエリザベートに質問した。】

私の視界に映っている春喜さんの口が動いているのを見る限り…

あなたは春喜さんと話しながら、私とも話をしているのでしょうか?

『えぇ、そうです。』

その…同時に多人数との会話を行っても支障は無いのですか?

『ふふっ…私は大丈夫です。意識と思考を分割するのは特に難しい事ではありません。それと、私は多重人格者では無いので安心して下さい。』

まるでスーパーコンピューターですね…

と…とにかく…!

【ジョゼフィーヌはそういうと目の前で流れる映像から小屋の中の状況を分析し、春喜、へカーティア、エリザベートの位置関係を予測した。】

私達の背後に立っている(へカーティア)の攻撃に備えましょう!

状況確認はそれから…

『わざわざ後ろを振り返る必要もありません。』

どういう事でしょうか?

『彼の生命力と魔力はほぼ底を尽きかけています。そのような状態では私に傷を1つも付けられません。今は先に、貴女のお友達の手当てと情報収集を行いましょう。』

【エリザベートがそう言いながら目線を下げた時、床に血を流して倒れている星次と流輝の姿がジョゼフィーヌにも見えた。】

星次さんと流輝さんが…ッ!

『彼等を治療する為に貴女の腕から血を出しますが、構いませんね?』

はい…それだけで皆様を救えるならいくらでもお使い下さい!

『それと彼等の精神の安定の為にも私の能力はあまり見せられないので、(春喜)にも一時的に眠って頂きます。そこはご了承ください。』

それはやむを得ませんね…

ところで…情報収集の方は?

【エリザベートは『死神の薔薇(ReaperRose)』で自分の…ジョゼフィーヌの肉体の…左腕を切りつけ、3人に血を与えながら質問に答えた。】

『彼等に私の…と言うよりも貴女の血液ですが、彼等に貴女の血液を混ぜて、彼等の血液から貴女の血を通して情報収集を行います。』



第16章「知る権利 その1」


「なるほどな…だから一番最初に倒れたあんたが俺達に何があったのかも、俺がどのタイミングであんたに『隠された真実(Poker Face)』を使ったのかも知ってたのか!」

「しかも、俺達の事を治療してくれて…俺の制服も直してくれたのってエリザベートさんだったんだ!」

「とりあえず、俺とこいつ(流輝)に起きた事はあんた達が話してくれたお陰で分かってるから省いてくれ。俺達が今知りたいのは…」

「僕とへカーティア君との間に何が起きてたのかと…僕が倒れた後に起きた事についてっすね。」

「お話することはできるのですが…これは春喜さんの個人的な話になるかも知れません。今この場で皆さんに話をしても…」

「良いっすよ。」

【そう答える彼の顔と目つきは、とても真剣で、まるで別人の様な雰囲気をまとっていた。】

「ここまで皆で来たんすよ。僕が失った記憶に関係する事が良いものでも悪いものでも…皆には知る権利があると思うんで。」

「は…春喜さん…」

【彼のその言葉を聞いた彼女は静かに頷くと、ひと呼吸してから話し始めた。】

「では、お話させていただきます。私が…お母様と共に見た春喜さんの記憶について…」

「あぁ、頼むぜ。」

「皆さんが倒れ、春喜さんが(へカーティア)と2人きりになっていたその時…春喜さんと彼は、倒れていた私達について会話を交わしていました。」

【彼女はそこで春喜とへカーティアの会話の内容、その時の春喜の様子、へカーティアが語った『レイ』に対する印象や計画の内容を話した。】

「その時の春喜さんの様子には…話し方、声のトーン、雰囲気、立ち方…その他の細かい所作までもが、まるで別人と入れ替わったかのような印象を受けました。」

【その話を聞いていた春喜は、両手を組みながら地面を見つめていた。】

「確かに…昨日はそんな感じで、ジョゼさんが話してくれた事を話した気がするんすけど…でも…まだ思い出せないっすね。」

「安心して下さい、きっと次の話を聞けば…何か思い出せるかも知れません!」

【彼女は春喜を励ますと、彼とへカーティアが話し終えた後の事を、彼がへカーティアを壁まで吹き飛ばした事と、春喜自身が語った過去の思い出について話をした。】



第17章「知る権利 その2」


「春喜さんは『自己犠牲《Self Sacrifice》』を彼と話をし始めた直後から使用し、彼との和解が不可能になった瞬間に身体能力を…特に脚力を上昇させて瞬間的に彼との間合いを詰め、彼に攻撃を防がれても良いように『先立つ者《Predecessor》』の能力を…『土崩瓦解《Disorganized》』を発動して彼に直接的に衝撃を加え、彼を壁の方へと追い詰めたのです!」

「お前、記憶が無くなる前は何者だったんだよ…相手と話をしながら時間を稼いで、一瞬で叩き潰すなんていうのは…なかなかのやり手の戦法だぞ?」

「でも…1番気になるのは…春喜さんのお見舞いに来てた人達じゃないですか?若い子達って言っても、小学生とか中学生なのか…」

「高校生だった…かな…」

【流輝のその言葉を聞いた春喜は、頭を抱えながら呟くように話した。】

「お前…思い出したのか!?」

「う…ぅ…確か…そうだったんだ…その子は…その子達は僕の…」

【彼は苦しそうに…呻くように頭を揺らしながら、独り言を呟き続けていた。】

「は…話し方が!」

「春喜さん…落ち着いて下さい!ゆっくりと深呼吸を繰り返して下さい…そして、その方達について思い出せた事を声に出して下さい!」

「皆と…僕は…家族じゃ無かったんだ…それでも僕達は一緒に桜を見たんだ…病院のすぐ側にあった、小さな山に咲く大量の桜を……どこかから…皆との思い出が沢山ある場所から…!」

【その言葉を最後に春喜は突然頭を抱えるのをやめ、いつものように前を向いて話を始めた。】

「何か思い出せそうだったんすけど…思い出せないっすね。でも…何だか頭がスッキリしたような気が…そんな感じがするっすね。」

「いつもの春喜さんに戻った気がしますけど…何か…雰囲気が違いますよね…?」

「あぁ…そうだな。記憶を取り戻してきてる証拠か知らねぇが…口数と語彙力が増えてきたな。」

【その様子を見ていたジョゼフィーヌが、少し沈んだ声で春喜に声をかけた。】

「春喜さん…」

「どうしたんすかジョゼさん?」

「春喜さんは今の自分の状況に…何か不安を感じてはいませんか…?」

「うーん…?そうっすね…大丈夫っすよ。」

「え…精神力強すぎません!?自分が2人もいる感覚って…」

「なんて言うか…僕は僕だからっていうだけっすね。今、皆で話してる僕も…さっきまで話してた僕?でいいのか分かんないんすけど。結局は僕なんで。」

「なんて言うか…めっちゃ春喜さんらしいですね!」

「ふふっ…そうですね!」

「いい感じの雰囲気になったところで申し訳ねぇが…まだ解決してない事がある。先ずはあんたが何で手鏡野郎を殺したくねぇと思ってたのか…結局、どうやって手鏡野郎を殺したのか…そして…」

【星次はそういうと、ポケットからメモを取り出した。】

「あんたが書いた遺書について…だ。」


あとがき


『魂を映す鏡』の内容が多かったため、『断罪の天秤』での疑問の解決にとてつもない量の時間と文字数を用してしまい、ほんっっっっっっとうに申し訳ございません!!


あと体調不良&時間の都合で投稿頻度もくっっっそ遅くなって切腹案件で申し訳ない以外の言葉が見つかりません…ッ!!


作者本人も「あれ…これちょっと長くなりそうじゃない…?でも説明挟まないと消化不良になるよね…?でも流石に長すぎてストーリー進まないし皆さんが読んでて面白いかなこれぇ!?」ってなってるんですけど…ストーリーを進める為にもやっぱり解説は必要かなぁ…ってなった結果こうなっています…


次回で…最大でもその次で絶対にストーリーが進むのでもう少しお付き合い下さい…

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