この世界に神はいない。
教室に戻ると私の机には他の女子が座っており声をかける事もできずただ彼女がチャイムに気が付き席に戻るのを待つ。声をかけないのは別に話すのが嫌なわけではない。いや、好きではないことは否定しないが。
彼女が席を正確には私の机の上から降り自分の席に戻る。それを見た瞬間、素早く椅子に座り、まるで午後は良い気温で気持ちよくて寝てしまいそうです。という降りをしながら何をしているか分かるだろうか。きっと分かってくれるはずだ。
「嗅ぐ・嗅ぐ・嗅ぐ」今までここには可愛らしい女子高生の尻が何ならちょっとスカートがめくれて生のパンツのぬくもりと匂いが残っているのである。それを一編たりとも残さず鼻に、そして脳に吸い上げる。今ここが自分の部屋だったらヨダレを垂らしながら「たまりませんなぁ」と叫んでいるところだろうが場をわきまえることをよく知っている。私は決してそんなことはしない。ただ、一つの原子、粒子も残さず私の遺伝子に組み込むかのように匂いを楽しむのである。私の机を貸したのだ。対価としては妥当だろう。
次の授業の教師が入って来た。名残惜しいがこのぐらいにしておいてやろう。そう思いながら手元のノートと教科書をひろげる。
どうにもこの教師の声は聞き取りづらいやはりあの古文・漢文の時間が私にとっては至高の時間だ。そしてこの時間は苦悩の時間だ。早く終わって欲しい。しかしそういう時に限って時間というものは何故か中々進まないことは既に熟知している。
なんとか耐えきり今日の学校生活も終わりだ。さてどうしようか。放課後に上級生の教室に行く理由も無いし下の階の下級生を眺めながら帰るとしようかなどと考えているとその間に私の周りの人間は部活や遊び、塾などがある者はさっさと教室を出ており残っているのは談笑をしている数人のクラスメートと想像をしている私一人だった。
「帰るか」
誰に伝えるでも無くぼそっと口に出し帰宅の準備をする。階段を降り昇降口につくと帰る者と部活に行く者などごった返していたのでひとまず下級生ゾーンへ避難する。合法だ。
既に数ヶ月経つとはいえまだ最近まで中学生だった子達だ。私も少し前はそうだった。不思議なものだ。これほど幼く見えるのは、たった一年しか違わないのにも関わらずその一年が人生に与える影響はかなりのものなのだろう。そしてこんな序盤でゴールが決まる設計をした人を生み出したやつがいるとすればなんと愚かなのだろうか。人生を三分割ぐらいでちょうどよくイベントエンカウントするなどRPGの様に設計してくれていれば私もスライム狩りでなんとかなったかもしれないのに。まぁしょうがない今は人混みを言い訳に下級生を堪能しよう。あの子なんて小さくてかわいいな。コスとかロリ系とか似合いそうだな。そんなことを考えているとどうも私の周りにはなんちゃらフィールド的なのができてしまっていたらしい。
「帰ろう」
誰に言うでも無く再度、言葉を口にした。
ここまでが私と言う人間を知ってもらう序章とでも思って貰えると助かるのだがどうだろうか?普通だと思うのだが。