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ご安心下さい。正常です。

学校の校舎は教室棟は3階建てになっており事情がない限り下から下級生、上級生の順になっている。ただ階段の混雑を避ける為、建物の両端には学校にしては広めの階段が配置されているので階段近くで談笑を誰かがしていても全く気にせず通りすぎることができるほどだ。三年生はクラスの数が五クラスと聞いている。一応、三年時になると進学組、就職組、進学であれば理系か文系である程度、別れる様だが就職組が急に受験をしたいと言う場合や文理の選択を変更すると言う生徒もいる為、その辺りは柔軟にカリキュラムが組まれている様で一部は選択授業いすることでその問題を解消している。但しその場合はいちいち別の教室を設ける訳にもいかないのでそれぞれのクラスを利用する。

そう考えると私は来年、美少女の温もりのこもった席に座る為に全力で脳をフル回転させる必要がある。これは私が国立大学に合格するより難易度が高いのだがそれでも女の子の温もりと匂いの為なら何も感じない。人の視線すら。と思っていたらこちらを見ている上級生であろう女子生徒が声を掛けてきた。

 「大丈夫?なんだか心ここに在らずって感じの顔してるけど体調悪いの?」

 万全である。というよりこんないきなり大当たりを引くとはやはり神は私を見逃していなかった。

目を見ただけでこちらの目が潰れるほど眩しい瞳、脳が溶けそうなほど柔らかく優しい声、これはなかなかの大当たりかもしれないぞ。そう思いながらも返事ができない。そして咄嗟のことに脳がバグり散らかし足だけが正常稼働した。いや、この場合は足すらも正常では無かったのだろう。

 「ふう、危なかった。もうちょっとで天に召される所だった」

 思わず声に出てしまったせいで「えっ」と言った顔をした他の生徒たちに注目を浴びる。これはまずいと更に逃げ、この時間は誰も近づかないであろう家庭科室の前に座り込む。流石に使用されていない間は鍵が掛かっており間違ってもちょっといい感じの声と瞳を持った先輩がいたので逃げてきました。心を落ち着ける為に家庭科室の鍵を貸して下さいなどと言おうものならまず、親が呼び出され、病院行きだろう。いや、私にとってはこれは正常なんだけどな。きっと医者も匙を投げるだろう。これは天性のものですと。

 まぁそれはいい。少し落ち着いたところで大きな問題が発生した。あの先輩の名前も知らない。そして上級生ということは分かるが何組だっただろう。確か最初の教室だから一組だと思うのだが声を掛けて来たのは後ろからだ。ということは一組に友達がいて入ろうとしていたところを私が塞いでしまっていたのかもしれない。考え出すときりが無い。だがこの学校にいるのだ。見つからない訳が無い。謎の希望を胸に秘めながら次の授業を告げるチャイムに急かされて教室へ向かった。

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