ちょっと話が動き出す?
それはきっとお互い様なのだろう。お前さ・・・と言いかけたところでストップした辺り、なんとなく感じた。まぁそれは寛大な私だ許してやろう。というより自分も知らないから許してくださいなのだが。
しかし自分と同じ様にこの授業を真剣に聞いている生徒がいることが驚きではあった。声が綺麗、好きというだけで真剣に聞いているというよりかは聴いている私以外はつまらなそうにあくびをする者、心地よい声に眠りについている者(これは私も否定できない)とあまり重要視している生徒はいない気がした。そもそも古文、漢文を真剣に勉強している者は既に予備校や参考書で授業の進行度を遥かに超えるスピードで学習している上にこの先生の方針なのか教科書の一つ一つの文章を丁寧過ぎるぐらいになぞる為、進行が遅れることも多々あるほどである。そのことからも分かりやすいという評判がある一方で受験の為に理解をしたいという問題を解く為だけに受けている者からすれば苦痛な無駄時間だろう。それはなんとなく私にもわかる。私だって無駄な時間は嫌いだ。ただこの時間は私から奪わないで欲しい。と良い様に言っているがただ単に声がたまらんのです。はい。ちょっとよだれ出たかもしれない。
まぁそんなことはどうでも良い。大切なのは彼女の声を浴びる様に聴くことなのだから、因みに古文、漢文の私の成績は中の上だ。悪く無いだろう。っと思って置いて欲しい。問題を作るのは他の先生も関わることや私があの声出ないとやる気が出ないイコール家では勉強に力が入らない。という私にとっての大問題が発生した結果中の上に落ち着いたということを評価して欲しい。
それはさておき残念なことにこの声を聞くことが出来るのも後、数分という時間が迫っており課題についての説明に話は移っていた。
チャイムがなり授業が終わる。十分ほどの休憩時間にさっきまでの静かさとはうって変わってざわざわとした声が広がる。正直なところこの時間が私は苦手だ。だって良い声がないのだもの。男子のざらっとした声、女子の少し媚びた様な声。残念ながらこのクラスには私の耳を満たす生徒はいなかった。他クラスには金の卵が眠っていないだろうか。そうだなぜそれを今まで実行しなかったのだ。そうすれば良いではないか。別に生徒が他のクラスや学年の教室を除いてもいけないというルールは無い。むしろ部活や生徒会の連絡事項などで頻繁にこの教室に上級生や下級生が来ることは当たり前の様にある。ただその中ではまだ出会えていない。
「ひとまず、上級生から行きますかぁ」
少女の気持ち悪い行動が始まる。きっとこの物語も始まる。




