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学校での話の1つめ

ここまでで大体、察して頂けだろう。と言う訳で彼女がおそらくこの物語の中心を演じてくれるはずだが今のところ部屋を出る気配も不気味な笑いと共に読み耽る本からも目を離す様子は無い。彼女がついに立ち上がったのも一階から母が風呂に入ることを促したからであって決して自分の意思では動かない。

  そもそも風呂というのは湯船に浸かっている時はいいのだがそれ以外の部分のマイナス点が多すぎる。風呂を沸かす(今時はスイッチを押すだけだが)、着替えを取り出し風呂場で服を脱ぎ風呂に入る。ここまでまだ湯船にたどり着いていない。体を綺麗に洗いやっと至福の時にありつける。しかし後が支えていることからもゆっくりは入っていられない。そんなことを考えながらぼーっと今日の学校での出来事を思い出す。はて、今日はなにがあっただろうか。

 特に指名を受けることもなければ小テストは平均値、昼休みは部屋の隅で弁当を食べながらスマホで好きな絵師のチェックをしながら他の集団の会話に聞き耳を立てる。今はこんな音楽が、服が、アイドルが流行っている。その情報をいざという時のためにストックしているのだがまだ公開するに至っていない。味噌か納豆でもできそうだ。そうは言っても鼻の女子高生だ。自分のことはともかくとして人の恋話には興味がある。今日も誰と誰が付き合って別れたという話を提供してくれる学年一のおしゃべり情報通には感謝だ。心の中でだけど。昼休みが終わると午後一番の授業は古典の授業だった。しかしこの古典の授業を受けるたび思うのだが日本人というのは昔からオタクだらけだったのだなと感心する。のは失礼かもしれないが・・・ついつい共感してしまうこともあり好きな教科の一つだ。好きな理由にはもう一つある。教団に立っているのはまだ教師になって二年目という私たちとさほど変わらない様な姿や時折見せる言動から大人への安心感を感じさせつつも社会に出たほぼ高校生が接する中で一番、身近な大人。そんな二つの意味を持つ彼女のことが気になって仕方がなかった。担当は漢文と古文なのだがどちらも文章を読み上げる時の声がそそられる。女子高生が使っても良い言葉なのかは全く分からないがそう表現する他にないほどに彼女の声は私の心をどこか別の場所に連れて行ってくれるような気がする。実際に連れて行かれて昼休みも相まって眠りについている生徒もちらほら見えるが私は彼女の声を聞くたびに脳を刺激され目が冴えていく。尖った声でも特徴の強い声でも無い。それでも聞かずにはいられない。これを一種の中毒症状と言うのだろうか?だとすれば今すぐ病院に駆け込むべきなのだろうが幸いにもまだ気が狂ってはいない様なので安心して授業を聞いている。そんな彼女の授業を楽しんでいると後ろからペンで背中を突かれる、

 最初はイタズラかと思い気が付かないふりをしていたのだがあまりにしつこいのでそっと振り返ると男子生徒が小声で「ごめん少し左によって貰えないかな?黒板が見えなくて」

私と同じく彼女の授業を真剣に受ける彼には敬意を表さなければ、グググと体を寄せつつ耳では声を堪能する。

後ろから「ぷっ」という様な。笑いが聞こえた気がしたがいつものことだ。問題は・・・後ろの男子の名前何だったっけ?

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