表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/44

ランバート・ベルの登場

新しい登場人物出てきます。

「あ、君がグレース嬢?すっごい美人~。アレックスにはもったいないよ〜」


アレクサンダーに呼ばれて王宮入りしたグレースはそこにいた初対面の男性からのあまりの馴れ馴れしい話しぶりに困惑してしまった。


「ああ。コイツは問題ない」


アレクサンダーに確認するかのように目配せすると、隠さなくてもいいということらしい。

ほっとしつつそれでも礼節はわきまえなければとキリリと対応をはじめる。


「グレース・フィッツジェラルドと申します」


淑女としてはずかしくない礼をとる。


「あ、俺は、ランバート・ベル。よろしくね」


くりくりとうねりのある黒髪を短髪にしているその青年は、色が少し浅黒いので、おそらく南国のベル王国の出身者ではないかと推測はしていたが、ランバートという名前を聞いて驚いた、ベル王国の王太子ではないか。


「まぁ。失礼いたしました。王太子殿下とは知らぬこととはいえ失礼を」


かしこまり深くカーテシーを行う。


「こいつにそんな畏まる必要はないぞ。だいたい呼んでもいないのに来たんだからな」


「いいじゃないか。フィオーネがどうしても雪が見たいって言うから仕方なく俺も来たんだよ。ごめんね。グレース嬢。婚約式には来れなくて。うちの国も南部でちょこちょこ諍いがあってね。国、開けられなくって。ちゃんと結婚式には来るから」


「雪なんて見ても仕方ないだろ。寒いだけなんだから」


こんなに仲がいいなんて。昔からの知り合いなのだろうか?

アレクサンダーの経歴を思い浮かべて、考えられるのは一つ。

ベル王国へ留学していた15歳のころに知り合ったのかもしれない。


「お二人は旧知の仲なのですか?」


「よくぞ聞いてくれたね」


聞いてみるとランバートはすぐに食いついてくる。


「この何も知らない顔だけ男のアレックスをだよ。ベル王国で男にしてやったのは俺なんだよね」


「おいっ!」


アレクサンダーが焦っている。


ん?とグレースは思った。


もしかしてこの人、喧嘩売ってる?


15歳で留学したアレクサンダーに女を手配して童貞卒業を手伝ってやったといいたいのだろうか。


見てみるとじっとグレースの出方をうかがっている。


ここは…


「まぁそうですか。アレク様。とてもいいご学友をお持ちですのね。これからもいい関係をお築きくださいませね」


暗に、特に気にしていないと言ってみた。


だって、仮面夫婦の予定だし。これから先だってアレクサンダーは妃も何人も持つだろうし、そんなこと気にしてたらやっていけるわけないわ。


「へぇ。そういうかんじ?」


ランバートはニヤリと笑った。


この隣国の王太子も結構なイケメンだなとグレースは思った。

体格はアレクサンダーと違って細っそりしていて背もそれほど高くない。


ベル王国はレイトンとは逆の南側の国境で戦争をやっているらしい。

婚約式にはその戦争のせいで来れなかったというのはあながち嘘ではないと思われるがこんな細い体で戦場に赴いてるのだろうか。

だが、婚約式には王太子はいなかったがベル王国からはきちんと大公殿下夫妻が来てくれていたのだから国としての礼節は問題ない。


「じゃぁさ。グレース嬢はアレックスが結婚後も何人も妃がいてもいいって思ってるわけ?」


「おいっ!ランバートやめろ」


直接的ね…。


「アレク様のお考えに従いますわ」


グレースは静かに頭を下げた。


「お前いい加減にしろ。部屋に戻れ。俺はちょっとグレースと話がある。グレース。来い」


ぐいっと手を掴まれて、そのままアレクサンダーの部屋の中に連れていかれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ