表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/44

やり直せといいましたか?

ゆっくり更新していきます。

よろしくお願いします。

死んだはずなのに、息をしているとはどういうことなのだろう?


先程苦しかった喉やお腹の痛みが嘘のように消えている。


なぜ?


ロージーはキョロキョロと目だけ動かしてみて天蓋付きのベッドの上に寝かされていることに気づいた。


え?


誰かが医師を呼んで助けてくれたのだろうか?


あの状況で?


誰も味方がいたとは思えないけど…。


恐る恐る首を動かして周りを確認してみたら、誰も人の気配は感じない。



しかもここ…

めちゃくちゃ豪華な部屋なんだけど…。


どういうこと?


恐る恐る上半身を起こしてみる。


なんなのこのふかふかの布団は。



え?


上半身を起こした反動で自分の髪がサラサラと服の上を動く。


衣擦れの音が静かな部屋に響く。


銀?


ハラハラと肩から落ちてきたその髪の色は間違いなく銀色だ。


しかも長い。


腰くらいまでありそうだ。


何?どういう状況?


訳がわからなくて、そろそろとベッドから出てみた。


天蓋を覆っていたレースのカーテンを押し退けて部屋に降り立ち、近くに姿見用の鏡があったので前に立ってみたところ思わず悲鳴をあげそうになった。



キャッ!!


え?!


誰?!



何この人?


人間?




『ロージーよ』


は?


突然頭の中に声が響いてくる。

男性の、老人のような声。

でも意外と耳に心地よかった。


『ロージーといっている。返事をせよ』


『は、はいっ?』


思わず声が裏返り、他人の声であることに驚愕する。

しかも鈴が鳴るように美しい声。


『全く困った事態じゃ。このお嬢さんが機能せんでなぁ』


『はあ…?』


何を言ってるのだろう。このおじいさん。


『あのぅ…あなたはどなたですか?』


恐る恐る聞いてみる。


『おう。忘れておった。わしも歳でなあ。これが最後の仕事になりそうじゃ。そろそろ息子にミゲルの地位は譲ろうと思っておる』


ミ、ミゲル?!


思わず、ロージーはひざまずき、カタチは見えないものの鏡に向かって手を組み合わせた。


『そう畏まるな。わしはソナタに助けてほしいのじゃ』


ミゲル神と言えば、大陸全土における全知全能の神。

この世界を創造したとされる方だ。

人々はミゲル神の教えに従って人生を送っている。

大陸ではそこかしこに神殿がありほとんどの国でミゲル神を信仰しているのだ。


恐れ多くもそのミゲル神がわたしに話しかけているっていうこと?


『そなたはまだ人生を全うできていない』


『え?』


『いや…まあとにかく…グレースが嫌がって生きることを放棄してしまったのでソナタに人生の続きを頼みたい』


は?


『まあ簡単に言うと人生をやり直せと言うことじゃ』


グレースってたぶんこの銀色の髪の女性のことよね?わたしがグレースになってもう一回生きろと?


『いずれにしてもソナタもあんな死に方では死ぬに死にきれまい』


ミゲル神に言われるとあの屈辱が胸の内に甦った。


シエナ!許せない!!


怒りがふつふつと湧き上がる。


『ほほほっ。まあそうなるだろうな。そちらの件はソナタの好きにすれば良い。よいかロージー』


『はい』


『そなたはこれから、グレース・エライザ・フィッツジェラルドじゃ。グレースにはもともと生きている間にやらねばならない使命がある。それを全うしてほしい』


使命?


『はあ…使命…ですか』


『その内容は言えぬ。自分で考えよ。ただ、これから先そなたは健康になるし、かなり強い魔力を扱えるようになろう』


健康?

魔力?


何が何だかさっぱりわからなくて混乱する。


だいたい『グレース・エライザ・フィッツジェラルド』って…


フィッツジェラルド?


フィッツジェラルド公爵家?


『最後に一つだけ教えてやろう。これから少ししたらそなたはアレクサンダー・ヒューゴ・レイトンとの婚約式に挑むことになる。まあ頑張るのだ』


アレクサンダー・ヒューゴ・レイトン?


え?


頭が混乱して、言葉を無くしていたロージーだが、そこでどうしてだかミゲル神の声がフッと途絶えた。


え?


今、ここで去ります?


こんな曖昧な情報だけ残して?


何すればいいんですか?わたし。


もしもし?

ミゲル神?


要は、グレースとして人生をやり直せとは言っても何をすればいいかは自分で考えろってことね。


はいはい。


って!

そんな簡単に決めんなぁ!



混乱の極みに陥ってそのまま鏡の前に座り込んでいたら…


コツコツと扉を叩く音がして、バタンと重厚な扉が開いた。


おもしろかったら、「いいね」「★」よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ