表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/44

魔力と日記

ちょっと最近頑張って書いてます。

公爵家の庭は広い。

6月に入りさわやかに晴れ渡っている空のもと、グレースは庭の池の前に居た。


そろそろ試してもいいころよね。


魔力について…この1カ月半ほどかなり書籍を読込み入念に調べたのだが、分かったことと言えば魔力を持つ者はときどき世の中に産まれるが決して多くはなく、貴族だ平民だとの区別はなく、忘れたころにぽつぽつと産まれるというものだった。

世の中にはいろんな魔力があり発動の仕方も様々でよくわかっていない。

絶対数が少ないから魔力を持った者にしか扱い方はわからないのだという。


ミゲル神はグレースは強い魔力を扱えるようになると言っていた。

何かきっかけがあればわかるのだがまったくどういうものなのか想像がつかない。


だが、殺されたロージーと母の恨みは絶対に晴らさなければならない。


絶対にシエナをつぶす。


つぶすためには魔力が必要だ。



あの女は死ぬ間際に『なんであんたにだけ魅了が効かないのよ!』と言っていた。


よく考えてみたら、あの女のまわりには心酔したような人間ばかりが集う傾向にあった。

それがおそらく魅了なのだろう。

父親でさえ魅了にかけたのだと思われる。


どうやってかけたのかはよくわからないが…。


その魅了を自分にもかけようとしたということだ。

だが効かなかった。


それにイライラしていた。


おそらくサミュエルも魅了の被害者だろう。


あの男は浮気者ではあったしロージーの爵位だけ愛していただけのバカ男ではあったが、ロージーのことをあそこまでこき下ろすような性格ではなかった。


要するに…

以上の事から考えるにもしかしたらあの女も魔力を扱えたのではないのか?

魅了というのが魔力だとしたら…。


そしたら、あの女に対抗するためには魔力しかないではないか。


だからここ1カ月半ずっと調べてきたのだが、ろくな資料はなかったというわけだ。


とにかく試してみるしかない。


グレースはまわりに誰もいないことを確かめてから、池のふちから『水しぶきよ上がれ!』と命じてみた。

が、何も起こらない。


うーん。どうやったら魔力って使えるのかしらね…。


その時だ。

池のほとりにある木の陰から、蜂が飛び出してきたのだ。


え?


あれ?


よく見ると蜂の巣が出来ている。

しかもすごく…大きい。


そしてその蜂が…数十匹、こちらに向かってくるではないか。


ど、どうしよう。刺されるわ!

やめて。


『蜂よ!気絶せよ!』


命じてみた。


ら、バタバタと蜂が倒れたのだ。



え?


ええっ?


思わず、蜂が落ちている場所に行ってみて、蜂がひくひくと痙攣していることを確かめる。


す、すごいわ。


そして、木にある蜂の巣に向かって念じた。


『蜂の巣よ。落ちよ。蜂は去れ』


そうすると、蜂の巣がボトリと落ちて蜂は山に向かって帰っていった。

気絶していた蜂もだ。


これよ。


危機に陥ったときに念じれば魔力は発動した。

ということはだ。

危機に陥ったと想像すればいいということだ。


そしてそのまま池に向かって祈った。


頭の中で想像しながら…


(わたしは今火属性の怖い魔獣に襲われそうになっている…そのためには大量の水が必要…)


『水よ巻き上がれ』


そうすると水の渦ができはじめ、ゴーっと音をたてて上に柱ができた。


す、すごい。


ダメよ。これ以上は、屋敷に聞こえてしまうわ。



初練習は大成功だった。

明日からちょっとずつ練習しよう。


そう思いながら、グレースは部屋に戻ったのだが…。


そのときふと思い出した。

開かずの引き出しがあることに。


何度も試したが開かなかった引き出し。


グレースの机の引き出しの1つだ。


何をしても開かなかった。


そこに手を当ててみた。


『開け!』


開かない。


残念に思いつつなんとなく周りを見ると、何か藤色の光に包まれているのが見える。


もしかしてこれって魔力?


グレースはもともと魔力を扱えたということ?


その藤色の光をそっと指でなぞってみた。


すると番号が浮かび上がったのだ。


え?


『開け。3567』


念じてみたら、ぱかっと開いた。


何この魔術。


確実にグレースがかけたのだわ。


そして恐る恐る引き出しを開けてみると、そこからは日記がでてきたのだった。

かなりの量の。


グレースが書いたもの?


ペラペラとめくってみる。


小さいころからの日記だわ。


何気なく、読み始めたグレースは引き込まれるようにその日記に集中しはじめた。


ダメだわ。

これは、読まないわけにはいかないわ。

あまりにもグレースのことが書いてある。


あたりを見回すと夕方だ。


これから夕食だ。


今日は夜眠れないわね…。


覚悟を決めるとグレースは再び引き出しの中に日記を仕舞い、同じ番号で鍵をかけた。


そしてその夜…。


グレースは過去のグレースとようやく対面することになったのだった。

日記の中で…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ