表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【短編】ぶたぶたこぶたの物語 ~悪役令嬢は断罪されたいので我儘に生きることにした~【書籍化】  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/15

ぶひぶひぶひぶひぶひぶひぶひぶひぶひっ

 怒って家に帰った私を、お父様とイーグルたんが出迎えてくれた。

「どうだったかい、初めての子供舞踏会は」

 どうしたもこうしたも、失礼な人に絡まれて散々でしたわ!

 天使の私に向かって豚とか。

 ……。

「はあーーーー!!嘘、嘘でしょう?!」

 ガラスに映った大天使、天使、超天使の三人の姿に驚愕する。

 うそ。あの映像は何?

 豚、豚、子豚……が、映っている。

 え?

 驚いて、大天使なおとうさまに視線を向ける。

 ……太ってる……少しずつの変化で気が付かなかった……。いえ、気が付いてはいたんですよ。少しふくよかになってきたなと……。でも、まだイケオジからはみ出てないと、現実から目をそらして……。

 超天使のイーグルたんに視線を向ける。

 ほっぺたがもちもちでなんて可愛らしいのかしら!

 ……って、7歳児がこんなもちもちほっぺって普通だったかしら?

 わ、分かってます。本来なら、ぷっくぷくのもっちもちを卒業してしゅっとしてくるころだというのは……でも可愛いからいいじゃぁい!と、これまた現実から目をそらしておりました。

 そして、わ、た、し。

 日々洋服のサイズが変わっていたけれど、成長期だし、こんなもんだと……現実から目をそらしていました。

 だって、誰も、太り過ぎだとか言わないんだもん。

 可愛いですとしか言わないから……言わないから……。

 あの、失礼なぽっちゃり君に言われて初めて気が付いた。

 ぽっちゃり君など、私たち豚豚子豚の3匹に比べたら、ぽっちゃりなだけだわ。

 豚……立派な豚が……。

「ぶひー!」

 これではいけないわ!

 ……って、何がいけないのかしら?

 別に、引き籠り幽閉生活送るのに、スタイルなんて気にする必要はないのよね……。

 別に問題ないわ。

「お姉様どうなさったのですか?さっきからあっちを見たりこっちを見たり。嘘というのは?」

 かわいい超天使なはずなのに、背中に見えるのは天使の真っ白な羽根ではなく「ぶひぶひ」という効果音。

 ぎゃーっ!

「何か嫌なことでもあったのかい?」

 イケオジ大天使なはずなのに、頭から光差す代わりに、ピカピカお顔の脂が光っている。

 ぎゃーっ!

 このままでは、お父様とイーグルたんの人生を台無しにしてしまう!

 イーグルたんは学園に通うようになると、豚公爵令息とか言われて虐められちゃうんだ。

 婚約者が見つからなくて、なんか婚約した女性はかわいそうな犠牲者だと思われちゃうんだ。

 こんなに可愛くていいこなのに!むきーっ!ゆるさんっ!

 悪役令嬢の私が色々言われるのは構わないけれど、イーグルたんを馬鹿にさせるものですか!

 お父様だって、誰にも馬鹿にさせないわ!

「ダイエットよっ」

 思い返せば、パンと肉の生活が良くなかった。

 贅沢しているはずの貴族たちですらスマートなのは、食事が適度にまずいせいで、必要悪だったのだ。まずいは正義。まずいは必要。まずいは……

 やだーい!いまさら不味いものなんて食べたくないっ!

 ぶひぃ。ぶひぃ。

 おっと失礼。身も心も豚になってしまうところでした。

 とにかく、ダイエットしなくちゃ。ぐぬぬっ。

「ところでフローレン……もしかして、会場で婚約の打診とかなかったかい?」

 お父様が声を潜めて聞いてきた。

 イーグルたんが真っ青な顔になっている。

「は?ありませんでしたわ……いえ……そういえば……」

 なんか思い出したぞ。

「食べたいから結婚してやるみたいなことを言っていた何かが存在したような……」

 私の言葉に、お父様も顔を真っ青にした。

「なんだと!私のフローレンを食べたいだと!100万年早いわ!っていうか、そんな理由で結婚など誰が許すか!」

 ん?

 私が食べられる?

「いえ、お父様落ち着いてください。そうじゃありません。我が領の牛肉を食べたいから結婚してやってもいいとかなんとか……」

 豚って言われたことは黙っておいてあげるわ。親切親切。

「なんだ、その言い方は!まるでうちのフローレンが牛肉のおまけみたいな……くっ。許さん……もう、王室には牛肉をおろしてやらん。今後予約は貴族優先だ!このことで王室が圧力をかければ貴族から反発を食らうだろうから、圧力もかけられぬだろう。はははは。フローレンを馬鹿にした報いだ!牛肉は売ってやらん!」

 あ。そういえば、お父様は、私とそっくりさんだったわ。私も、お前の家には売ってやらないって心の中で言ったけれど、お父様は実行するのね。

 って、王室?

 もしかしてあのぽっちゃり君は王族だったのか。

 ……まぁ知らんがな。どうせ私は悪役令嬢として皇太子とかに幽閉されちゃう運命なんだから、失礼の一つや二つへっちゃらだし。なんなら、不敬だ!と、学園入学前に幽閉されちゃっても、へっちゃらだし。コミュ障だから、学園で他の貴族の子たちとうまくやる自身もないし、なんかもう人と顔を合わせて会話するだけでストレスだし。

「もちろん、フローレンには指一本触れさせん!」

「あ、そうだ、お父様。しばらくイーグルと一緒に海沿いの別荘で生活したいんですけど」

「何故だ、突然!」

 ダイエットですよ、ダイエット。

 別にもう1回は子供舞踏会出たから後は出たくないので田舎に引っ込むとかそういう理由じゃないですよ。ええ。ええ。まぁ、出ないですむなら喜んで田舎に引っ込むけど。


気が付いたかしら?

今回珍しく、タイトル真面目に書いてる!

え?これが真面目?

いや、最上級に真面目だよっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] タイトル回収きましたー\(^o^)/
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ