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ぶひぶひぶひぶひぶひぶひっ

「イーグル、いっぱい食べるのよ、こっちも美味しいわよっ」

 ぎゅっとはしないけれど、私は思いっきりイーグルたんにアーンと食べさせて幸せな気持ちを味わうことにしましょう。

 ほら、イーグルたんアーンして。うきゃぁ!かわゆす!かわゆい!かわいすぎて!くっ!

 って、思ったら、お父様は、私を膝の上に載せた。

 うぐっ、こ、これは、甘やかし高等テクニック!膝の上に載せて後ろから二人羽織りのように食事をさせる、定番のアレ?!

 む、娘にしていい手ではなくてよ、イケオジお父様!……食事が喉に通らなくなっちゃ……わないわよ。

 とまぁ、主食のパンはもりもりと食べる生活になりました。大丈夫。ちゃんと時々全粒粉のパンも食べて栄養が不足しないように気は使っている!食物繊維、ビタミン、鉄分、全粒粉のあの独特の味もトーストしてジャム塗っちゃえばまずい野菜に比べたらどってことない!


 さて、パンの他には肉をメインとした食事をしております。

 まぁ、裕福な公爵家ですからね。毎日どころか毎食肉が食べられるだけの資産は十分ありまして。

 いや、だってね、肉は流石に日本でたべてたものとさほど変わらない……っていうか……。

 さすがに公爵家の財力をもってすれば、肉くらい、どーんと好きなだけ高級なものを入手できるのよ。

 ところがだ、ここにきて肉料理と言えば、貴族社会の例のあれが発生していた。

 まずい……。やたらと香辛料を振りかけてまずい。香辛料が手に入るのはありがたいけれど、ちょこっとでいいのよ!塩コショウを少し振るだけでうまいんだって!

 なんなら塩だけでもうまいんだって!

 焼き鳥、ええ、串に刺してちょっと焦げ目をつけるくらいに焼いて塩を振る。

 焼肉、ステーキ……。

「ぼく、もういいでしゅ」

 あれ?お肉よ?焼肉よ?ステーキよ?

 イーグルたんが、お肉をあまり食べてくれない。どうしてなの?男の子は肉でしょ?まだ3歳だから?でももうすぐ4歳よ?

 首をかしげる。

「お肉嫌い?」

 分からないので尋ねてみた。

「おにくしゅき。でも、かみかみつかれちゃうの」

 は!

 確かに、実は気になっていた。

 最高級の肉を手に入れているはずなのに、固い!めっちゃ固いんじゃよ!

 最高級の牛肉も豚肉ももっと柔らかくてとろんとろんなはずでしょう?違うの?

 鶏肉だけはなんだか、高級なものは肉が引き締まって固いものになるんだけど、牛肉や豚肉は、柔らかいはずよねぇ?!

 この世界の価値観、肉は硬ければ固いほど高級とか言わないよね?!

 ぐぬぅぅ。くっそ固い肉め!成敗してくれるわ!

「お姉様に任せて!料理長を呼びなさい!こんな固い肉を公爵令嬢である私に食べさせるなんて許しませんわ!」

 悪役令嬢なので。料理長を呼びつけてクレームをつけるなんて、どってことないわ。

 イーグルたんに柔らかくておいしいお肉を食べさせたい。

 いっぱいいっぱいたべて、健康優良児になってもらわなくては!

 ふんぬっ!

 てなわけで、ミンチにしてハンバーグだとか肉団子だとかつくねだとか、作らせまくった。

「お義姉様、これなら僕にも食べられましゅ」

 したったらずがなくなってきて成長を見せるイーグルが肉をたくさん食べられるようになった。

「素晴らしい、フローレンこのレシピも我が公爵家考案として登録するぞ」

 ん?レシピを登録?クックパックンみたいなやつでもあるんですかね?

 そういえばパンのときもなんか言ってたっけ?お父様インスタグラマーみたいなの目指してるのかしらね?社交界のブロガーとか?知らんけど。

 そんなこんなでミンチ肉を使った物をしばらく食べ続け……。

 そう、いいかげん……食べ続けると……。

「焼肉、ステーキ!」

 やっぱり食べたくなるんだよね。ミンチ以外。でも、ミンチ肉料理バッカリ食べてたせいで、さらに……。

「か、固い……」

 肉の固さを改めて感じる羽目に。なんだかんだ言って、イーグル4歳、私7歳。まだ顎の力も弱い。お父様はガツガツ食べているけれど……。

「こんな固いお肉をいつまで食べさせるつもりなの!私は公爵令嬢よ!専用の牧場くらい用意しなさい!」

 そうして、牛と豚と鶏に与えるエサを指示する。

「フローレン様、お酒を牛に飲ませるのですか?」

「ええ、そうよ!何か文句でも?私が食べる牛ですもの。それくらい当たり前よ!」

 はいはい。悪役令嬢、我儘言っても問題ない。

 もったいないと顔に書いてあるけど、知ったことではない。お酒を飲ませて育てると肉が柔らかくなるらしい。

「フローレン様、牛にマッサージをするのですか?」

「当たり前でしょう!馬だって、ブラッシングしたりしてるじゃない!牛はしない理由は何?私が口にする牛を粗雑に扱ったら許さないわよ!」

 ふふふ、お嬢様の我儘が始まったみたいな困った顔されても知らないわ。

 私は悪役令嬢ですからね。我儘を言うのが仕事なのです。

「いいこと、ちゃんと可愛がるのよ?馬侍丁が馬のお世話の専門家なら、そうね、あなた達は牛侍丁とでも言えばいいのかしら?ああ、そうだわ、お父様に頼んで品評会でもしていただこうかしら?ランクをつけてもらうのもいいわね」

「ラ、ランクですか?」

 びくっと牧場の人たちが震えた。

 あら?もしかして、気に入らない人間を私が首にするとでも思ったのかしらね?やぁだ。


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