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ぶひぶひぶひっ

 鏡に映るのは、大天使なお父様と、天使な私と、超絶可愛いプリティーキューティー世界ナンバーワン天使……略して超天使!

「かみのけのいりょ、いっしょ、いーぐりゅといっしょ」

 紫がかったプラチナブロンドはとても珍しい。お父様と私とお父様の弟以外はまだ見たことがない。

 ……まぁ、6歳の私の行動範囲で見る人間なんてしょせん数は多くはないんだけれど。漫画の中でフローラの髪の毛は特徴的で見間違えるわけないみたいなシーンがあったから珍しいことには間違いがないんだろう。

 あ、思い出した。実際は義弟イーグルが義姉をはめるためのに変装してたんだよ。女装してフード被って、わざと頭の一部を露出して……。それくらい髪の毛の色は珍しいって話。

 ……うっ、この超天使が、義姉を……私を……夢の幽閉生活を送るための協力者になるのね!

 ああ、マジ、中身も超天使!

 ボロボロと超天使が泣き始めた。

「かじょく……いーぐりゅひとり、ちがう」

「そうだよー!家族だし、一人じゃないし、ぎゅってしてもいいの!」

 泣かなくていいんだよ。寂しかったね。これからはお姉ちゃんがいるから!いっぱい、いっぱいうっとおしがられるくらい可愛がるから!

 ん!

 そうだよ!私は悪役令嬢として生活するんだもん。

 うっとおしがられたって、平気だぞ!

 邪魔にされても邪険にされても、平気だぞ!

 そっか。

 私、悪役令嬢だもん。好き放題わがまま言ってればそれでいいんだ。ふへ、ふへ、ふへへ。

 好き放題わがまま言ってりゃ夢の三食昼寝付き、趣味に没頭できて人付き合いもしなくていい引き籠り天国生活が待っているなんて……。

 あーん。

 私、さいっこうに運がいい!ひゃほーい!

「ああ、うちの子たち、世界一可愛い……。可愛い、可愛い。なぁそう思うだろう?可愛いに可愛いがプラスされて、もう可愛いしかない」

 お父様がまた侍女ロッテンに自慢げに話をするが、ロッテンさんは冷静に対処した。

 うん、これは、お父様のデレデレ自慢の対応に慣れきっている様子。

「ご主人様、お仕事に遅れてしまいますので朝食をお召し上がりください」

「えー、せっかく、天使の戯れを堪能……」

 ロッテンさんが冷たい目でお父様をにらみつけた。

 お、おおう。あんなイケオジに冷たい目をできるなんてロッテンさんしゅごい豪胆の持ち主。

「お食事する風景もさぞ可愛らしいことでしょう」

 そして、その台詞一つで、お父様と私の心を掌握。

 そ、そうよね!イーグルたんが食事する姿はきっと可愛いわよね!

「じゃぁ、ご飯食べに行きましょう!」

 お姉様だもの。お義弟と手をつないで移動するのは普通よね!へへへ!役得役得!と、イーグルと手をつなぐ。

 イーグルたんの小さくて可愛らしくてぽにぽにとお肉がついた……ん?

 なんか、イーグルたんの手は、3歳児にしては細くない?

 そういやぁ、さっきぎゅってした時にも、細かった気がする。

「食事……」

 イーグルたんが怯えたように下を向いてしまった。

 あれ?もしかして食べるのが嫌いなの?お腹空いてないとか?で、あんまり食べられなくて痩せてる?

「ぼく、へたくしょなの……。たべるのへたくしょだから……。みっともないの」

 はぁ?

「下手くそって、何が?」

「じぇんぶ……パンくずおとしゅし、お口のまわりよごしゅし、ナイフとフォークもうまくちゅかえない……だから、一緒にたべりゅときらわれちゃ」

「最低!最低の、ド最低!」

 思わず怒りに我を忘れて、大声で叫んでしまった。

 もしかして、食事のマナーを厳しくしつけられるうちに、イーグルは食事が嫌いに……いや、食事の時間に恐怖を覚えるようになってしまったのかもしれない。

 この、細くて頼りない手は、食べることが苦痛で思うように食べられなかったからなの?

「ぼく……」

 あ、しまった。イーグルたんが泣く。

「ごめんなさい。突然びっくりしたわよね。違うの、最低だと言ったのは、いーぐるた……イーグルの周りの大人たちのことよ。子供を育てたことがないのかしらね?」

 ロッテンさんも珍しくうんうんと頷いている。

「3歳は上手に食べられなくても当たり前でございます。席に座っていられるだけでもごりっぱでございますよ」

 その言葉に、イーグルたんがびっくりしている。

「そうよ!パンくずなんて私もいっぱいこぼしちゃうし、お父様だってときどきこぼしてるわ!」

「あはは、そうだぞ。それに、口の周りを汚しちゃうなんて……それはもう、可愛い姿が見られるなんて、ご褒美でしかないよ!」

 お父様の言葉にハッとする。

 そういえば、私が上手く食べられなくて口の周りを汚しちゃうと「ほらほら、口の周りが汚れているよフローレン、お父様が拭いてあげように」って、いつも嬉しそうだわ。

 まさか、まさか……!

 超天使のご褒美映像が私に与えられるというの?

「お、お父様、イーグルがお口の周りを汚したら、私、私が拭いてもいい?お父様は駄目よ、邪魔しないで、私が拭いてあげるの!ね?」

 お父様がハッと口を押えて悶えている。いや、ちょっと待って、イケオジが頬を染めて口を押えて悶えてる姿、大天使様のご褒美映像!いや、違う、そうじゃなくて、なんで悶えてるの?


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