お詫びの才能
「なんだ!この本は!」
たしかに本には俺が貰った才能の名前が書いてあった。だが、どんな力なのか全く書いてない。厳密に言えば書いてあるのだが、内容が雑すぎるのだ。
俺が貰った一つ目の才能は「神眼」というものだ。
説明は「目がよく見えるようになる」だ。いや、分かんねーよ。もっと他にないのかよ。神眼って名前で目がよくなるだけだったら、名前詐欺だぞ。
二つ目は「魔法剣」という才能。
説明は「剣に色々付与ができる。」だ。まあ、さっきに比べればマシだが、魔法って小説の中とかの力だ。手から火を出したりするやつ。それの剣ってイマイチ感覚が分からないな。
書いてある感じだと、分からない部分は自分で試せってことなのか?まあ、どっちにしろ明日までに、ある程度使いこなせるようにしないとな。
俺はさっそく1人で才能の練習を始めた。
◇
翌日の昼、俺はレズールとの戦いに向かった。
昨日で何となく使えるようになったが、完璧ではない。戦いの中で上手く使えないと俺は負けるだろう。そしたら俺はあいつの奴隷になる。それだけはごめんだ!
戦いの場所に行くと、既にレズールは待っていた。
「お、逃げずに来たみたいだね。その心だけは認めてあげるよ。ま、どうせ負けるけどね」
「うるせーよ。絶対にお前を倒す」
「言っていい冗談とダメな冗談があるんだぞ?お前のはダメな方だ。分かったか?ウィル」
俺はレズールを睨みつけて、
「御託はいい。さっさと始めるぞ」
「せいぜい楽しませてくれよ?」
俺とレズールは向かい合い、そして、ほぼ同時に動き出す。
剣と剣がぶつかり合う。力は互角だ。だが、こいつには才能がある。
すると、急にレズールの力が強くなり、俺は軽々と弾き飛ばされた。
「おいおい、その程度で俺に戦いを挑んできたのか?」
レズールの才能は「制御」。自分の力を自由に調節できる。
普通、人間は100%の力は出すことができない。せいぜい80%が限界だ。だが、この才能は自分の力の100%を出すことができる。もちろん反動はあるが、それすらも調節することができる。使い方を学べば、相当強くなれる。
さすがに普通じゃ勝てないな。...そろそろ使うか。
俺はまず「神眼」を使う。この才能はどうやら自分が見たいものが何でも見えるようになるらしい。今、俺が見始めたのはレズールの動きの少し未来だ。
これを見れば、奴が次にどう動くのか分かるので、どれだけ速くなろうが対処できる。
レズールはどんどん攻めてくるが、その攻撃は一切俺には当たらない。
「なぜだ!なぜ当たらない!」
「さー、何でだろうな」
「ぐっ、てめえっ!!」
レズールは動きを速くするが、意味はない。俺には次に奴がどう動くのか、丸分かりだからな。
そして次に俺は反撃の一撃をお見舞いする。
「がはっ!!」
それはレズールの胸に直撃する。まあ、浅めに斬ったので、これで終わりではないはずだ。
「くそっ!!どんな手を使ったのかは知らないが、お前はこれで終わりだ」
どうやらレズールは100%を使うつもりのようだ。
なら、俺ももう一つの手を使うまでだ。