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最弱剣士



 世界とは残酷だ。

 一つも望み通りにならない。



 この世の人間は一人一つ才能を持っている。才能は人によって様々だ。人々は自分の才能を生活に活かして、過ごしている。


 俺、ウィルネラ=シークスにはその才能がない。こんな人間今までいないそうだ。両親は俺のことを慰めてくれたが、周りの人間は俺を忌み嫌っていた。


 それも仕方がないのかもしれない。なぜなら、才能は神様からの贈り物と言われているからだ。その才能がないということは神様から見放されたということになる。


 それでも何かできないかと思い、父親の剣を借りて俺は剣術を磨いた。誰にも負けない力を得るために。


 俺が10歳になる年、両親は無理して俺を剣術学校へと入れてくれた。家はそこまで裕福ではない。なのに、俺が剣を磨いていることを知っていたから、両親は入学させてくれたのだ。


 とても嬉しかった。やっと剣術を学ぶことができる。そう思っていた。だが、その気持ちはすぐに無くなった。


 最初の頃は剣術を学んでいた。元々、我流だが剣を振っていた俺はそれなりに成績が良かった。でも、授業の内容に才能が含まれるようになると、才能のない俺はすぐに成績が落ちていった。


 周りは剣術と才能を織り交ぜて戦っているのに対し、俺は剣術のみで戦うしかなく、いつしか勝つことができなくなっていた。


 俺は同級生から馬鹿にされ、教師からは見放された。それでも俺を庇ってくれる人はいた。学校は実家から遠く、寮で暮らしていた俺は両親に相談することもできなかった。

だから、そうやって庇ってくれる人が唯一の救いだった。


 だが、ある日事件は起きた。

 俺を庇ってくれてた人の一人であるダンテが、誰かに重傷を負わされていたのだ。


 犯人の見当は大体ついている。同級生のレズールだ。あいつは俺に才能がないと分かると、俺を蔑み、罵倒し、暴力を振るってきた。


 俺はレズールのもとへ向かった。


「おい!レズール!」


「おやおや、最弱剣士のウィルじゃないか。何の用かな?」


「とぼけんな!お前がダンテに危害を加えたんだろ!」


「そうだけど。何か悪いのかな?」


「…てめぇっっ!!」


「調子に乗んなよ、ウィルネラ。お前が俺に勝てると思ってるのか?才能のないお前が。」


 そんなことくらい分かっている。だが、このままでは引き下がれない。


「俺と勝負しろ、レズール。俺が勝ったらダンテに謝罪してもらうぞ。」


「え?俺とお前が勝負?あはは!これは傑作だなー。いいぜ、戦ってやるよ。その代わり俺が勝てば、お前には一生俺の奴隷になってもらうぞ。それでもいいのか?」


「ああ、いいぜ。勝負は明日の昼だ!逃げんなよ」


「お前の方こそちゃんと負けに来いよ?あははは!」



「はぁーー。」


 ああ言ったものの、正直俺があいつに勝てることはできないと思っている。悔しいが、レズールは強い。この学校であいつに勝てる奴はおそらくいないだろう。


 何かいい方法はないかと思って、歩いてると教会を見つけた。…神頼みでもしてみるか。


 そう思って、俺は教会に入る。教会の中には誰もいなかった。中を歩いていくと、中央に神をかたどった像があった。


(あぁー、神様ー!どうにかレズールに勝つ方法を教えてください!!)


 ダメもとでそう願っていると、


『その望み叶えてあげようか?』


 そんな声が聞こえた。


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