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Re:Maria Rose  作者: 以星 大悟(旧・咖喱家 )
第4章Ⅱ ヴィクトワール家の幸福な日常
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番外編Ⅰ その頃父と娘は

 マリアローズが王都へ旅立ってから数日後のセイラム領領都アーカム領役所。

 そこではセイラム領の領主一族最後の生き残り、グリンダ・ウォルド=エマーソンは淑女の酒宴発祥とされている悪い事をした時の罰「セイザ」を、実父アッシュ・ウォルド=エマーソンに科していた。

 理由は亡き母を忘れたかのようにベアトリーチェに好意を寄せ、王都に旅立つ前に振られ今度は今までグリンダの母親役を買って出てくれていたエミリー・ワトーへ好意を寄せ僅か数日で結婚にまで至った、その事にグリンダは怒っていた。


 父はまだ亜人として若く男である。

 異性に興味を持ち恋をするのは当然だとグリンダは理解していた。

 ただし母が無くなってまだ数年、ベアトリーチェに振られてまだ数日。

 娘として父の節操の無さには怒らずにはいられなかった。

 

「まあまあ落ち着きなさいグリンダ、まあこの男は今でこそ真面目だがマーガレットと結婚するまでは……やめておこう」

「グスタフさん、全然擁護になってませんよ」

「お父様、喋る許可は出してませんよ?」

「はい……」


 グリンダは内心、エミリーが母親になるのは賛成だった。

 母を目の前で失い、その心の傷を傍に寄り添って癒してくれた人が父と結婚するのは賛成したいと思っていた、ただしほんの数日前に振られたばかりでなかったらの話だった。

 さらに言えばエミリーはベルベットから淑女の酒宴を託され、営業を再開したばかり。

 アッシュはアッシュで領主代行の下で政治家としての勉強を始めたばかり。

 せめてもう少し落ち着いてからというのが娘としての本音だった。

 何よりグリンダは恋心に区切りをつけ、前へと進もうとしている矢先だったのでより一層、父が節操のない男に思えてならなかった。


「言っておきますがお父様、私は結婚自体には反対していません。ただその……急だったから…それで戸惑っているだけで……」

「じゃあ!?」

「喋って良いなんて言ってない」

「はい……」


 まるで汚物を見るかのような目で父を見据えるグリンダを見たグスタフは、ああそう言えば浮気した時にマギーもこんな目で自分を見ていたな……と思いながら、どうやってグリンダを落ち着かせるか思案する。

 そして結婚ではなく婚約だとどう説明するか?

 そうただアッシュが先走っただけなのである。

 セイラム領が落ち着いてから二人は結婚する予定なのだが、アッシュは嬉しさのあまりグリンダに今日明日結婚するかのように伝えてしまい。初恋を片思いのまま終わらせたばかりのグリンダは思わず腹を立ててしまった。

 

「ただでさえ内密に進めている州制度の試験導入、その事前調整が難航している時に!選挙だってあるのに!お父様は領議会議員になるんでしょ!!今が一番大切な時期なのに!!」


 半分は八つ当たり。

 もう半分は大切な時期に寄り道をしようとうする父を心配しての怒り。

 グスタフはそんなグリンダを止めようとしつつ、アッシュにとっていい薬だと思う。


 この後、エミリーがやって来てアッシュが先走って間違った説明をしていた事を教えられたグリンダは、エミリーと共に初めての母娘共同作業、アッシュへのお説教をさらに行うのであった。

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