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3 言葉もありませんじっちゃん

思った通りに進まない

牛歩な自分がもどかしいっす

『カイちゃんはリョウによく似てるわね~』

ばっちゃんが嬉しそうに笑って言っていた

私はばっちゃんに似たかったよ、兄はばっちゃん似だ、弟は母似、私はじっちゃん似

女の子なのにジジイ顔って、じっちゃんキツめの顔だけど目尻のシワが少し和らげてるし

兄弟だからどことなく類似性はあるみたいだが、やや目尻の下がった美人のばっちゃん顔の兄と優しげな母親に似た顔の弟に挟まった私はキツめのアーモンド型のつり目で甘さが全く足らない

睨むな!にらんでないけど?兄弟間でよく起こるケンカの常套句

兄弟でさえ不機嫌な時の私の目で見られるとイラつくらしい

初対面のお兄さん達もどうやら私とは目を合わせてくれる気はないみたいだ

のど越しの良い飲み物をチビチビしながら1人1人ジッと見つめてみた

首のところにあるチョーカーのせいで圧迫された首回りは飲食すると違和感が増のでチビチビしか飲み込めない

一通り順番に視線を向けたが見事に視線を避けられたオールスルーですか


あの時、蔵の壁のじっちゃん作品手のひら認証システムはちゃんと作動して壁はドアサイズで向こう側に消えた、そうです消えましたよ開くとかスライドとかじゃなく消えた!じっちゃんすげー

手のひらに何の感触もなくなって、当然前のめりに2歩ほど飛び出した

そこはフローリングの床じゃなく土と石でできた建物の壁と床しかない古い遺跡のような場所だった

間もなく夕暮れの空の色、初夏の空気が少し温度を下げてきたくらいの時間帯

4、5人のおじさん達が焚き火の用意などされていて全員がとっさに姿勢を低くしたり腰の危なそうな物に手をかけた、剣?

ヤバい…いくら平和ボケしたマイクロ警戒心の私も前を向いたまま直ぐに後ろに下がった2歩3歩下がる

でも裸足の足の裏は触れるはずの蔵のフローリングにたどり着かない、日中かいたのとは違う汗が出た

後ろを確かめたいけどおじさん達から目を逸らすのも怖い、ジワジワ下がるしかない

その時、視界の端にいた暗いロングコートの人が何かつぶやいた、この暑い中ロングコート?変なとこに疑問点を感じてちゃんと聞いてなかった言葉は聞いた事のある言葉に聞こえたのに意味を理解する前に何か網のような軽い感じの物が降ってきた

何?私は魚か?街中に迷い込んだ猪か?人里に下りた野猿か?

びっくりはしたが直ぐに網の重さは消えてちょっと息が苦しくなった

〖いきなり何するんですか?!〗

声を出したつもりなのに出てない、私の耳は何も聞こえない

慌てて喉元に手をやれば3センチ幅のリボン状の布が巻き付いていた、細い鎖のネックレスさえ違和感感じる体質なのに

はがそうとしても両面テープで貼り付けたみたい皮膚との隙間に爪先さえ入らない

何これ?

声が出ない、呼吸はできる、音は聞こえる

さっきの網みたいな物が降ってきたせいでしゃがんだ姿勢のままへたり込んでしまった

周りを見渡したが私が出てきたはずの蔵への出入り口らしいものは見当たらない

緊張からか呼吸がしずらいからか思考回路がショートした

茫然と座り込んでだ私を遠巻きにしていたおじさん達がもめ始めた様子が目に映る

みんなでロングコート野郎に詰め寄っている

でもおじさん達の声は聞こえない

焚き火のはぜるパチパチは聞こえるし鳥のさえずりとかおじさん達の足音は聞こえるのに声だけが聞こえない

じっちゃん探すどころでは無くなった

〖ここどこよ?じっちゃんの蔵って何なのよ?

普通、蔵の壁に穴開けたら裏庭にでるでしょう?じっちゃんったら、近道作ったのか~洗濯物取り込むの楽になった?って感じでしょうが!

蔵の壁ってスッゴいぶ厚いからね1尺くらいあるよ30センチの壁に穴あけて何がしたかったんだ?

毎回毎回黙って消えて!周りの迷惑考えてよ!

私は花火大会楽しみにしてたのに!変な首輪みたいなの着けられて声でないし!どうすればいいのよ!!絶対じっちゃんのせいだ!〗

確たる証拠はないけど、この理不尽な状態は絶対じっちゃんが関係しているに違いない

本能的にそう直感した。そして自力でどうにも出来ない事に脚を突っ込んでしまったと理解したとたん私の涙腺が決壊した

音には出なくったって黙ってられない、この際周りのおじさん達は一旦見なかった事にして

心のままに泣き叫んだ

次回、視点変えてみます

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