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変社会

作者: 崎本龍

葛坂雄二は会社で嫌われていた。

雄二は大手会社の部長だったが部下のちょっとしたミスに対しても異常なまでに怒鳴ったり侮辱したり自分のやり方を押し付けたりするなどしていた。

時には何もしていないのに怒鳴ったりする時もあった。

雄二は自分の立場もあってそれを悪い事と思っていなかった。

中には雄二に怒鳴られる毎日を送った事によって鬱病になり会社を辞めたりしたものも何人かいた。


そんなある日、雄二は社長に呼ばれた。

「社長、お話とは何でしょうか?」

すると社長は話した。

「葛坂君、君を部長から平社員に降格する事に決定した」社長の話を聞いて雄二は耳を疑った。そして思わず聞いた。

「なぜ私が降格なのですか?」

「君は毎日、部下の社員たちを怒鳴ったりしているようだね。実はある知り合いの企業が会社で君みたいに怒鳴ったり怖がらせたりする社員たちを解雇した結果、会社の業績が一気に上がり社員の仕事の効率も良くなったという話を聞いたんだ。だから君を降格する事に決めたんだ」

雄二は納得がいかなかったがしかし辞めるわけにもいかないため会社に残る事にした。


数カ月後、雄二が平社員として会社の部屋に入ると他の社員たちは冷たい眼差しで見ていた。

雄二は自分の席に座るが悔しそうな表情を浮かべた。

まさか自分がまだここに座ると思わなかったため。

そして雄二は仕事をしていくが調子が悪かった。

「葛坂さん、ここに資料置かないでくださいよ」それは自分が毎日怒鳴っていた社員だった。

葛坂は怒鳴ろうと思ったが立場的に同じため「すみません」と大人しく謝った。


翌日、雄二が会社の前に行くと社員たちがいたが挨拶の態度が雑になっていた。

前は部長だったから丁寧に挨拶してくれたが今は部長だった時の態度もあって前と同じようにはいかなかった。

さらに雄二は仕事でミスをしてしまう。

「葛坂さん気をつけてくださいよ」前まで怒鳴っていた社員に怒られる。

雄二にとっては、屈辱的たった。

それからというものの雄二は、毎日、怒りの中で仕事をしていた。

そして何故か次第に社員たちの間では、笑顔が増えていきやる気に満ちていた。


3ヵ月が経ったある日、雄二が屋上で休んでいるとそこに社員2人が来た。

「しかし今度の部長、良いよな」

「そうだな。優しいし態度も良いし前の部長がゴミに思えるほどだな」

社員2人は雄二がいる事に気付いていない。

「しかし葛坂さん、随分落ちたよな、可哀想に」

「仕方ねえじゃん。ただ威張って怒鳴ってるだけの奴なんだから。それに社員みんなに嫌われていたんだし」

社員2人は笑顔で雄二の悪口を言っていた。

――こんな会社潰れろ。

雄二は社長を憎んだ。そして祈った。

しかしその祈りも空しく雄二が平社員になって以降、会社はどんどん業績を上げていき、社員たちの笑顔も増えていった。

社長は雄二を降格させて正解だと考えた。

雄二はショックだった。

そして会社が嫌になり辞める事となった。


ボロボロの雄二が街中をさまよっているとそこに1つの集団があった。

そしてこんな会話が聞こえた。

「俺たち怒鳴ったり威張ったりしなければどうだったんだろう」

「後悔しても遅い。もう俺たちのような奴らは社会は必要としていないんだから」

「しかし嫌なもんだな。今や多くの会社は怒鳴ったり威張ったりする人間は会社が必要としないんだから」

「それにそういう奴を解雇して業績を上げた会社がたくさん出てきたしこれからも出てくると予測されているからもう俺たちのような性格悪い奴は社会では生きていけないんだろうな」

「それと話によればそういう社員を解雇した結果、前と比べても鬱病になる人や退社をする人が減ったという話もあるらしいが」

その話を聞いた雄二は悲しく感じた。

数年後、雄二は自衛隊にいた。

「約束を守れ。それが出来ないなら自衛隊をやめろ」

雄二は訓練生の監視として自衛隊で活動をしていた。

訓練はしないが訓練をする隊長の代わりに怒鳴るという作業を任されていた。

それは怒鳴るという事は体力を使う事であり訓練をしている隊長にとっては体力的に負担だにと考えこの枠が設けられた。

雄二の怒鳴るという行為は自衛隊という組織で役に立つ事となった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しませていただきました。 降格により落ちていく雄二は少し可哀想な気もしましたが、最後には最適な道を見つけられたようで良かったです。
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