外伝 神
人間の血が入っている者は神になれるのか?
「なれる」と言われている。
北欧神話では人間と夫婦になった神が沢山出てくるし、フレイアにも人間の愛人オッタルがいるし、ロキも半分人間、半分神だと言われている。
「人間の血が入っている」ではなく、純粋な人間が神になれるのか?
これも「なれる」と言われている。
有名なのが「商業の神 関羽雲長」ではなかろうか?
「学業の神 菅原道真」も知っている人もいるかも知れない。
「後の世の人々に奉られている、形容する言葉が『神』以外見つからない」という意味であれば『家事五神』と後に呼ばれる五人が異世界に存在する。
・裁縫のヘレネー
高貴な富裕層中年貴族女性の間で大流行する「スカジャン」産みの親。化学繊維がない異世界でサテン生地はシルクで再現するしかなく、スカジャンは金持ち貴族にしか手が出ない高級品となった。背中にヘレネーは竜や虎の刺繍を施すが、虎は異世界にはおらず「空想上の幻獣だ」と言われる。その時にヘレネーが言った「日本と逆じゃないっすか!」は意味不明ながらも後の専門家が色々な解釈を加え、名言とされている。
ヘレネーは「スカジャンの『スカ』とは何か?」という質問に対し、「よこす・・・いや、説明してもわからないと思う」と意味深な言葉を残しており、専門家は「恐らく『横すべり現象』と言おうとしたのだろう」と解釈を入れたが『横すべり現象』が何なのかは今だもって不明である。
・掃除のアストレア
忙しく冒険メイドとして、各地を飛び回っていた彼女は普段掃除出来ないかわりに年に一回掃除を行う「年末大掃除」という概念を異世界で初めて産み出す。
また一緒に冒険していた魔法使いの少女と魔法道具「全自動掃除機」を産み出し世界に広める、が、アストレアは「ルンバ」と名付けたつもりが伝わっていくうちに「ブンボボ」に変わっており「可愛くない!」とアストレアには不評であったが、すでに「ブンボボ」という名前は市民権を獲得しており、変更は出来なかった。
・洗濯のエイラ
「液体漂白剤」「柔軟剤」彼女は発明で洗濯の歴史を何万年も時代を進めたと言われている。それより彼女の名を世に知らしめているのは「混ぜるな危険」の概念を産み出した事と、「混ぜるな危険」のマークが洗剤を混ぜようとしている他のメイドをエイラが慌てて止めている風景をディフォルメしたもので「エイラマーク」と呼ばれている事だ。
彼女は後に魔法使いと共同で魔法道具「全自動洗濯機」「全自動乾燥機」を開発し、家事の手間を大幅に減らす事でも知られている。
・料理のグレース
「パンの常識を変えた」「発酵食品の麒麟児」など、様々な賛辞を送られているが、一部では「悪魔の料理の創造主」と言われ恐れられる、それに対しグレースは「いっぺん騙されたと思って納豆食べてみて!美味しいし体に良いから!」と言うもわかりあえず最後には諦めるが、その時に口にした「ダメな人は死ぬまでダメ」が異世界の諺になる事を彼女は知らない。
・育児のウェヌス
魔王の育ての親で人間、という事以外詳しくはわかっていない。
しかし「ウェヌス」は日本語にすると「ビーナス」、女神の名を付けられているので恐らく転生者ではないか?と言われている。
ウェヌスは文書に一度だけ登場する。
「料理のグレース」が王女に付き添い、魔王城を訪れた時にウェヌスと少しだけ会ったのだ。