外伝 フレイヤとスクルドのおしごと
「いやー、想定外だわ」
「何がですか?」
「地球の人間を異世界に生まれ変わらせる、っていうのは考えてたんだよ。ホラ、地球って人口多すぎじゃん?だから私みたいな本職じゃない女神まで駆り出されて生まれ変わりの仕事やらされる事があるの。だけど異世界の人を地球に生まれ変わらせる・・・なんて仕事が私に回ってくるとはねぇ。いやー感慨深い。」
「フレイヤ様、生まれ変りの評価高いですもんね。そりゃ、仕事も回ってきますよ。私も頑張らなきゃ」
「スクルド、あんた頑張る気なんてないでしょうが。中途半端に未来を予知出来るってのも考えものねぇ、結果が見えてたら頑張る気なんかしないもんね。」
「いや、努力次第で未来は変えられるんですよ?未来予知をした上で、そうならないように努力するんです。努力が無駄になる事なんてありません」
「なんだ、アンタが頑張らないのってただ単にアンタが怠け者だってだけだったんだ。それより私に生まれ変わらせられるヤツがどんなヤツか予知してよ」
「何か人聞き悪い事を言われた気もしますが・・・見えました。もうすぐ勇者パーティの戦士がフレイヤ様のところへ来ます。」
「戦士っていうと、やっぱりモンスターと戦って命を落としたのかしら?」
「いえ、トイレで足を滑らせて頭を打って・・・打ちどころが悪かったんでしょうね」
「ろくでもない死にかたねえ・・・でも私のところに戦闘職の人が来るのは初めてね。生まれ変ってもやっぱり戦闘職なのかしら?」
「地球で戦闘職なんて軍人と格闘家だけですよ。生まれ変った人は女子校の家政部の部長に生まれ変ります。ホラ、生まれ変っても刃物を使わせれば右に出る者はありません。」
「刃物って言っても包丁と裁縫用のハサミじゃないの!」
「トレードですね」
「どういうこと?」
「こないだフレイヤ様が生まれ変わらせた人、アストレアでしたっけ?元々その女子校の体育教師なんですよ。彼女、もうすぐ冒険者の夢をあきらめて異世界初の冒険メイドになります。しかも勇者パーティ入りしますよ、戦士の抜けた穴がありますからね」
「冒険メイドって具体的に何やるのかしら?そんな事より、前世の記憶があるのに戦闘職じゃない、ってショックじゃないかしら?」
「最初はやっぱりショックを受けますね。でも同じ学校の同じ家政部に『家事能力全般』のスキルを持ってる人が、もう一人います。その人と家事能力を極める研究をするみたいですよ?」
「そんな人が地球にいるんだ!?一体誰なの!?」
「美咲さんです。グレースさんの同位体の」