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カラオケボックスにて

「か、神原さんあなた一体・・・」

中島さんが驚きながら言う

「あなた一体、何でそんなに音痴なのよ、アハハハハハハ、もうダメ!アハハハハハハ!何でそんな古い歌うたうのよ、まるでオッサンじゃない!アハハハハハハ!」

なぜ音痴はこんなにウケるのだろう・・・もうカラオケには来るまいと心に誓ったんだ。グレースの音感と歌声なら、とちょっと期待したんだ。後で気付いた、グレースはカラオケボックス初体験だった・・・俺以上なんて最初から望めなかったんだ。

「だから美咲、誘っても頑なにカラオケには来なかったんだ・・・美咲、だから選択授業家庭科なんだ。音楽にさそっちゃってごめんね・・・」

浅田さん、冷静に分析しないで!あやまらないで!ごめん!美咲ちゃん!君の知らないところで君の株を大暴落させてしまった!でも君の体がとんでもない音痴なのがいけないんだよ?人の事言えないけど。


話は学園での三時間目の休み時間にさかのぼる。

グレースというか、美咲は中島さんに話しかけた。

「中島さん、何してるの?」

「座っているのよ、立ってるように見える?」

このひねくれかた・・・年季が入ってるな、相等嫌な思いをしてきたんだろうな、「私に話しかけるなオーラ」がハンパじゃない。というか何で中島さんに話しかけただけで、こんなに周りの注目集めてるんだろう?話しづらいったらない・・・というか元々ノープランで話す内容なんてないけど。

中島さんは口を開かないし、美咲は周りに圧倒され「えっと、あの・・・」ともじもじしている。

見かねた陽菜が助け船を出す。

「ホラ、美咲注目の的だよ?話すなら放課後にみんなの目と耳がないところでね?たとえば・・・カラオケボックスとか!」

「私は別にあなたたちと話さなくても・・・」

「私は中島さんと話したいなー!じゃあ放課後カラオケで決定ね!」陽菜が勝手に話を進める。

グレースの主人格は陽菜をイシスが自分の後任にしようとしていて、グレースの教育係に任命したノーマのように家事能力はそれほど高くはないが、空気が読めて機転が効く少女だと思った。いや「家事能力が低い」っていうのは想像だろう、本人が聞いたら怒るぞ!とは思ったがここは流れに乗っておこう。

そして放課後に中島さんを二人でカラオケボックスに引っ張って来て今に至るという訳だ。


「歌で世界を平和にしよう」って人たくさんいるし、そういう物語とかアニメもたくさんあるけど、いまだに世界から戦争や争いがなくならないのって「平和の歌声が音痴じゃない」んじゃないかな?だって、あんな頑なだった中島さんが美咲ちゃんの歌声聞いて、心を開いたんだよ?


美咲の歌を聞いてひとしきり笑った中島さんは、ゆっくりと自分の身の上を話し始めた。

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