外伝 フレイヤとウルドのおしごと
「フレイヤ様、いつまで過去の事をグチグチ言ってるんですか?もっと未来をみましょうよ!」
「ウルド、アンタそれ『過去の女神』の言う事じゃないからね?何か最近仕事が増えてるだけじゃなくて、アンタらの仕事が私に回って来てる気がするのよ。」
「仕事を任されるようになったのは良い事じゃないですか!その仕事に一生懸命取り組む事が大事なんじゃないですか?大事なのは過去じゃない、今でしょ!」
「だからアンタ『過去の女神』がそんな前向きな事言っちゃダメでしょ!それとアンタが言ってる事が微妙に古いのはアンタが『過去の女神』である事と関係あるのかしら?」
「でもフレイア様が生まれかわりを問題なくこなしている、って評価なのは本当みたいですよ?グレースでしたっけ?うまくやってるみたいじゃないですか!」
「グレースは問題ないのよ・・・その後生まれかわらせた子がね?幽閉されてる間中、ずっと暇潰しに刺繍してるみたい」
「確か名前がヘレネーさんでしたっけ?問題ないと思うんだけどなー?だって・・・てコレはまだ内緒なんだった。」
「そこまで話したら話なさい!気になって眠れなくなるじゃない!」
「わかりましたよ・・・秘密なんで私が言ったって話しちゃダメですよ?私達姉妹が『運命の三女神』って呼ばれてるのは知ってますよね?妹のスクルドは未来に起こる事を少しだけ見通せるんです。そこでですね、ヘレネーさんの運命の人がもうすぐヘレネーさんが幽閉されている地方に赴任します!それで幽閉されているヘレネーさんを助け出すその人が誰だか知ってますか?」
「わからないわ、もったいぶらずに教えてちょうだい!」
「何と!その人は王子様です!その人は最初は評判になっていたヘレネーさんの刺繍を一目見ようとヘレネーさんが幽閉されている塔に訪れるんです。そこでヘレネーさんに一目惚れするんです『恩人に雰囲気が似ている』って。最初ヘレネーさんは断るんですよ、男に興味はないし年齢も違いすぎるって。最後には根負けして付き合い始めるんです。終いには『娘にグレースって名前つけても良いから、もうグレースさんの話は止めて』って嫉妬までするようになるんですよ。いつの間にか二人は周りが羨むおしどり夫婦です。うらやましいですねー」
「そっか、良かった。・・・てちょっと待って!グレースに引き続きヘレネーまで上手くいったら、ますます生まれ変わりの仕事が増えるんじゃない!?何でアンタが暇そうにしてるのに、私がアンタ達の仕事をしなくちゃならないのよ!」
「頑張りましょう。明日があるさ!」
「いちいち言ってる事が前向きで古臭い!『過去の女神』ってそういう意味だったの!?」